【ITニュース解説】Using Docker in China: Practical Workarounds for Developers
2025年09月05日に「Dev.to」が公開したITニュース「Using Docker in China: Practical Workarounds for Developers」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
中国でDockerを使う際の課題と対策を紹介。Dockerイメージのダウンロード制限に対し、中国国内のミラーサイト利用、VPN経由でのアクセス、AWS EC2などを活用したイメージ取得の3つの方法を解説。ミラーサイトは手軽だが不安定な場合も。VPNは組織によってはブロックされる可能性あり。EC2経由は確実だが手間がかかる。
ITニュース解説
中国でDockerを使う開発者向けの、ネットワーク制限下での実用的な対策を解説する。中国国内でのDocker利用は、ネットワーク制限によりDockerイメージのpullが遅延したり、完全に不可能になったりすることがある。この記事では、そのような環境下でもスムーズにDocker開発を進めるための3つのアプローチを紹介する。
1つ目の対策は、Dockerイメージミラーの利用だ。Alibaba Cloud、Huawei Cloud、DaoCloudなどの中国国内のクラウドプロバイダーは、Docker Hubのミラーサイトを運営している。Dockerの設定ファイル(/etc/docker/daemon.json)にこれらのミラーサイトのURLを登録することで、Docker Hubへの直接アクセスを避け、イメージのpull速度と信頼性を大幅に向上させることができる。設定例は以下の通り。
1{ 2 "registry-mirrors": [ 3 "https://registry.docker-cn.com", 4 "https://mirror.ccs.tencentyun.com" 5 ] 6}
設定後、Dockerデーモンを再起動する必要がある。ただし、中国国内のミラーサイトは、不安定であったり、予告なく変更されたりする可能性があるため、定期的な設定の更新が必要になる場合がある。中国への渡航予定がある場合は、事前に必要なDockerイメージをローカルに保存しておくことが推奨される。これにより、中国到着後にミラーサイトに依存することなく、イメージをロードできる。ローカルミラーアーカイブを構築しておくとさらに便利だ。
2つ目の対策は、VPNの利用だ。VPNを利用して中国国外にトラフィックをトンネリングすることで、ネットワーク制限を受けずにDocker Hubにアクセスできる。VPNの主な欠点は、不安定であることと、一部の組織やISPによってブロックされる可能性があることだ。Trojan-Qt5は、Trojanプロキシプロトコルを使用するクライアントアプリケーションであり、中国の「グレートファイアウォール」を回避するために設計されている。HTTPSトラフィックを模倣することで、従来のVPNよりも安定してDockerイメージをpullできる。VPNまたはTrojanベースのプロキシは、一時的なイメージpullには十分な場合がある。
3つ目の対策は、AWS EC2(または中国国外の他のクラウドプロバイダー)をイメージダウンロードのプロキシとして利用することだ。まず、シンガポールや東京など、中国に近いリージョンでEC2インスタンスを起動する。次に、そのEC2インスタンスにDockerをインストールし、Docker Hubから必要なDockerイメージをpullする。その後、docker saveコマンドを使用して、イメージをtarballとして保存する。
1docker pull ubuntu:latest 2docker save ubuntu:latest -o ubuntu.tar
作成したtarballを、中国国内でのダウンロード速度が速いファイルホスティングサービス(AWS S3とCloudFront、Google Driveなど)にアップロードする。最後に、中国国内のコンピューターにtarballをダウンロードし、docker loadコマンドを使用してローカルにイメージをロードする。
1docker load -i ubuntu.tar
この方法により、中国国内のミラーサイトで利用できないイメージでも確実にダウンロードできる。
まとめとして、中国でのDocker利用には工夫が必要だが、不可能ではない。渡航前にイメージを保存しておくこと、最初にミラーサイトを試すこと、必要に応じてVPNまたはTrojan-Qt5を利用すること、そしてAWS EC2をプロキシとして活用することを検討すると良い。