【ITニュース解説】そろそろ、電子マネーを卒業するときかも

クレジットカードのタッチ決済普及と電子マネーの将来

最近、クレジットカードのタッチ決済を導入する店舗が増えている。特に、空港など外国人観光客が多く利用する場所では、電子マネーが利用できず、タッチ決済のみに対応しているケースも見られる。これは、国際的な決済手段であるクレジットカードの普及と、それに伴うインフラ整備が進んでいることを示唆している。システムエンジニアを目指す上で、この変化を理解することは、今後のキャッシュレス決済システムの動向を予測し、適切なスキルを習得するために重要だ。

タッチ決済とは

クレジットカードのタッチ決済とは、カードを専用のリーダーにかざすだけで支払いができる非接触型の決済方法だ。従来のクレジットカード決済では、カードをリーダーに挿入したり、磁気ストライプを読み取らせたりする必要があったが、タッチ決済ではNFC（Near Field Communication）と呼ばれる近距離無線通信技術を用いることで、よりスピーディーかつ安全な決済を実現している。

タッチ決済の仕組み

タッチ決済の仕組みを理解するには、NFC技術の基礎知識が必要だ。NFCは、短い距離で無線通信を行うための技術で、例えば、ICカードやスマートフォンなどに搭載されている。タッチ決済では、クレジットカードに埋め込まれたNFCチップと、店舗に設置された決済端末のNFCリーダーが通信を行い、決済情報をやり取りする。

決済の流れは以下のようになる。

1. 利用者がクレジットカードを決済端末にかざす。
2. クレジットカードのNFCチップと決済端末のNFCリーダーが通信を開始する。
3. クレジットカードから決済端末へ、カード情報や決済金額などの情報が送信される。
4. 決済端末は、送信された情報を決済代行会社へ送信し、承認を求める。
5. 決済代行会社は、カード会社に承認を依頼する。
6. カード会社が承認すると、決済代行会社を通じて決済端末へ承認結果が返送される。
7. 決済端末は、決済が完了したことを利用者に通知する。

この一連の流れは、ほんの数秒で完了する。

タッチ決済のメリット

タッチ決済には、利用者と店舗側の双方にとって多くのメリットがある。

• スピード: カードを挿入したり暗証番号を入力したりする手間が省けるため、決済時間を大幅に短縮できる。
• 安全性: カードを店員に手渡す必要がないため、スキミングなどの不正利用のリスクを軽減できる。また、決済時に暗証番号の入力を求められる場合もあるため、セキュリティが高い。
• 利便性: 現金を持ち歩く必要がなく、スマートフォンやスマートウォッチなどのデバイスでも利用できる場合がある。
• 衛生面: カードや端末に直接触れる機会が減るため、衛生的に利用できる。

店舗側にとっては、決済処理の効率化、顧客満足度の向上、現金管理コストの削減などのメリットがある。

電子マネーとの違い

電子マネーとタッチ決済は、どちらもキャッシュレス決済の一種だが、いくつかの違いがある。

• チャージの有無: 電子マネーは、事前にチャージが必要な場合が多いが、タッチ決済はクレジットカードと連携しているため、チャージの必要がない。
• 国際的な互換性: タッチ決済は、国際ブランド（Visa、Mastercardなど）が提供しているため、世界中で利用できる場合が多い。一方、電子マネーは、地域や国によって利用できる種類が異なる。
• 決済インフラ: タッチ決済は、クレジットカードの決済インフラを利用するため、導入が比較的容易である。一方、電子マネーは、独自の決済インフラを構築する必要がある場合がある。

システムエンジニアが知っておくべきこと

システムエンジニアを目指す上で、タッチ決済の普及は、キャッシュレス決済システムの開発・運用に関する知識の重要性が高まっていることを意味する。具体的には、以下の点を理解しておく必要がある。

• NFC技術: タッチ決済の基盤となるNFC技術の仕組みやセキュリティに関する知識。
• 決済プロトコル: クレジットカード会社や決済代行会社との間でやり取りされる決済プロトコルに関する知識。
• セキュリティ: 不正アクセスやデータ漏洩を防ぐためのセキュリティ対策に関する知識。
• API連携: 決済システムと他のシステム（例えば、POSシステムやECサイト）を連携させるためのAPIに関する知識。

これらの知識を習得することで、より安全で効率的なキャッシュレス決済システムの開発に貢献できるようになる。

今後の展望

クレジットカードのタッチ決済は、今後ますます普及していくことが予想される。政府が推進するキャッシュレス化政策や、東京オリンピック・パラリンピックなどの国際的なイベント開催などが、その流れを加速させるだろう。

また、スマートフォンの普及により、モバイル決済の利用も増加している。Apple PayやGoogle Payなどのプラットフォームでは、クレジットカードを登録することで、タッチ決済を利用できる。

このような状況を踏まえ、システムエンジニアは、常に最新の技術動向を把握し、柔軟に対応できるスキルを身につけておくことが重要だ。キャッシュレス決済システムの開発・運用は、今後ますます重要な分野になっていくと考えられる。