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【ITニュース解説】EFF to court: The Supreme Court must rein in secondary copyright liability

2025年09月14日に「Hacker News」が公開したITニュース「EFF to court: The Supreme Court must rein in secondary copyright liability」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

EFFは、オンラインサービスなどがユーザーの著作権侵害を間接的に助長した際の責任(二次的責任)が広すぎるとして、最高裁にその制限を求めた。これは、新たな技術やサービスの開発を妨げないためだ。

ITニュース解説

EFF(電子フロンティア財団)がアメリカの最高裁判所に対し、著作権侵害における「二次的責任」の範囲を明確にし、現状の拡大しすぎた解釈を抑制するよう求めたというニュースが報じられた。この動きは、インターネット上で新たなサービスや技術を開発するシステムエンジニアを目指す人にとって、非常に重要な意味を持つ。

まず、著作権について簡単に説明する。著作権とは、小説、音楽、絵画、プログラムコードなど、クリエイターが創作した知的財産を保護するための権利だ。これにより、クリエイターは自分の作品が無断でコピーされたり、利用されたりするのを防ぎ、創作活動の対価を得ることができる。もし誰かが他人の作品を許可なく利用すれば、それは著作権侵害となる。

しかし、インターネットが普及し、YouTubeのような動画共有サイトや、ファイル共有サービスなどが登場すると、著作権侵害の問題は複雑になった。例えば、あるユーザーがYouTubeに他人の映画を無断でアップロードした場合、直接著作権を侵害したのはアップロードしたユーザーだ。だが、その動画を公開し、多くの人に見られる場を提供したYouTube側には、何の責任もないのだろうか。ここで登場するのが「二次的著作権侵害責任」という概念である。

二次的著作権侵害責任とは、直接著作権を侵害した本人ではなく、その侵害行為を「助長」したり、「誘発」したり、「共同」で行ったりしたとみなされる第三者にも責任を問うという考え方だ。これは、インターネット上のプラットフォームが、無数のユーザーが生成するコンテンツを全て事前にチェックすることが現実的に不可能である一方で、もし何の責任も負わないとすれば、著作権侵害が野放しになってしまうという状況から生まれた。プラットフォーム側が、著作権侵害が起きていることを知っていたにもかかわらず、放置したり、場合によっては利益を得たりしていた場合に、責任を問われる可能性がある。

問題は、この「助長」や「誘発」といった責任の範囲が、どこまでと解釈されるかだ。EFFは、現在の裁判所の解釈が広がりすぎており、プラットフォーム側が過度な責任を負わされる危険性があると警鐘を鳴らしている。例えば、SNSやブログサービス、クラウドストレージなど、ユーザーが自由にコンテンツを投稿できるサービスは、全てこの二次的著作権侵害責任の対象になり得る。もし責任の範囲が曖昧なまま拡大し続けると、サービス提供者は常に著作権侵害のリスクに怯えながら運営することになる。

EFFが懸念しているのは、こうした状況がインターネットの健全な発展や、新しい技術、サービスの誕生を阻害する可能性があることだ。もしプラットフォーム側が、少しでも著作権侵害のリスクがあるコンテンツに対して、積極的に介入・削除しなければならないとなれば、その監視コストは膨大になる。また、万が一の訴訟リスクを避けるために、あらかじめユーザーが投稿できるコンテンツの種類を厳しく制限したり、技術的な制約を設けたりするようになるかもしれない。これは、イノベーションの妨げになるだけでなく、ユーザーの表現の自由や情報共有の機会を不当に制限することにもつながりかねない。

特に、システムエンジニアを目指す皆さんにとって、この問題は決して他人事ではない。将来、あなたが開発に携わるサービスが、もしユーザーがコンテンツを投稿する機能を持つものであれば、この二次的著作権侵害責任の問題は避けて通れない。例えば、AIの学習データとして既存の著作物を利用する場合や、AIが生成したコンテンツが著作権侵害とみなされるリスクなど、最新技術と著作権法の関係は常に変化し、法的な解釈が求められる場面が増えている。

サービスを設計する段階で、著作権侵害を防ぐための仕組みをどう組み込むか、ユーザーが著作権に配慮した利用ができるようなガイドラインをどう提示するか、あるいは、著作権侵害の通報があった場合にどのように対応するかといったルール作りは、技術的な側面だけでなく、法的なリスクを深く理解している必要がある。安易な機能実装が、将来的に会社を大きな法的トラブルに巻き込む可能性もゼロではない。

EFFは、最高裁判所に対し、過去の判例に基づき、責任の範囲をより具体的に、そして合理的に限定するよう求めている。彼らの主張は、インターネットが自由でオープンなプラットフォームであり続けるためには、技術の発展を阻害しないよう、法律が適切なバランスを保つ必要があるというものだ。つまり、著作権者の権利を保護しつつも、新しいデジタルサービスや、表現の機会を不当に制限しないような、賢明な法的判断が求められている。

最高裁判所がどのような判断を下すかはまだ不明だが、その結果は、今後のインターネットサービスのあり方、そして、そこで働くシステムエンジニアの仕事の進め方にも、少なからず影響を与えることになるだろう。技術者として、単にコードを書くだけでなく、それが社会や法律とどのように関わるのかを理解することは、これからの時代、ますます重要になってくる。このニュースは、著作権という法律が、テクノロジーと密接に結びついている現実を示しているのだ。