【ITニュース解説】A small checklist for Elementor users
2025年09月04日に「Dev.to」が公開したITニュース「A small checklist for Elementor users」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
WordPressのページビルダーElementorで効率的なサイトを構築する指針。最初に色やフォント等のグローバル設定でデザインを統一し、コンテナで構造を単純化。テンプレート機能を活用し、表示速度やアクセシビリティも初期段階から考慮することが重要だ。
ITニュース解説
WordPressでウェブサイトを視覚的に構築できるElementorは、初心者からプロまで幅広く利用されている非常に強力なツールである。しかし、その多機能性ゆえに、計画なく直感的に操作を進めてしまうと、構造が複雑で表示が遅く、後から修正が困難なウェブサイトになりがちだ。一貫性があり、高速で、保守性に優れたウェブサイトを効率的に構築するためには、いくつかの重要な原則と手順を理解しておく必要がある。
ウェブサイト制作を開始する際、多くの人が白紙のページにいきなり画像やテキストなどの要素(ウィジェット)を配置し始めるが、これは避けるべきアプローチだ。まず取り組むべきは、サイト全体に適用されるデザインの基本ルールを定義する「サイト設定」である。ここで、ブランドを象徴するメインカラーやアクセントカラー、Webサイト全体で利用するフォントの種類やサイズ、見出し(H1からH6)や本文、リンクのスタイル、ボタンのデザインなどを一元的に設定する。これを「グローバルスタイル」と呼び、サイトの設計図の役割を果たす。最初にこの設計図を固めておくことで、後から「サイトのテーマカラーを少し変更したい」といった要望が出た際に、設定を一箇所変更するだけでサイト全体に反映させることが可能になる。もし、個々のウィジェットごとに手作業で色やフォントを設定してしまうと、修正が必要になった際に何十ものウィジェットを一つずつ探し出して変更しなければならず、膨大な手間と修正漏れのリスクを生むことになる。
次に重要なのが、ページの骨格となるレイアウトの構築方法である。Elementorには、従来の「セクション・カラム」構造と、より新しく柔軟な「コンテナ」構造がある。コンテナはFlexboxという現代的なWeb技術を基盤としており、より軽量で効率的なコードを生成するため、パフォーマンスの観点からも積極的に利用することが推奨される。レイアウトを組む際には、コンテナの中にコンテナを入れ、さらにその中にもコンテナを配置する、といった複雑な入れ子構造(ネスト)は極力避けるべきだ。HTMLの階層が深くなるほど、ブラウザがページを解釈して表示するまでの処理が重くなり、表示速度の低下につながる。ナビゲーターパネルの表示が複雑なツリー状に見える場合は、構造が複雑化しているサインであり、よりシンプルな構成にできないか見直す必要がある。また、サイトの共通部分であるヘッダーやフッター、ブログ記事一覧といった定型的なページは、個別に作成するのではなく、「テーマビルダー」機能を用いてテンプレートとして管理することが不可欠だ。これにより、サイト全体のデザインに一貫性を持たせることができる上、修正もテンプレートを一つ編集するだけで済む。さらに、記事のタイトルや投稿日、著者名などを自動的に取得して表示する「ダイナミックタグ」を活用すれば、手作業による入力ミスを防ぎ、コンテンツ管理を大幅に効率化できる。
ウェブサイトの品質は、見た目のデザインだけでなく、ユーザー体験を左右するパフォーマンスやアクセシビリティによって大きく決まる。まず、パソコンの大きな画面で美しく見えても、スマートフォンで表示が崩れていては意味がない。そのため、制作の過程で常にスマートフォンやタブレットなど、異なる画面サイズでの表示を確認する「レスポンシブ対応」が必須となる。特に、スマートフォンで閲覧した際に意図しない横スクロールが発生していないかは厳しくチェックする必要がある。これは多くの場合、要素の幅や余白の設定が不適切なことが原因だ。また、サイトの表示速度はユーザーの満足度に直結する。アップロードする画像は事前に圧縮してファイルサイズを小さくし、表示されるサイズに合わせて最適化する、過度なアニメーションは避ける、機能を追加するプラグイン(アドオン)は必要最小限に厳選するなど、日頃からパフォーマンスを意識した制作を心掛けることが重要だ。定期的にLighthouseのような分析ツールでサイトのパフォーマンスを計測し、問題点を早期に発見・修正する習慣も役立つ。
さらに、ウェブサイトは年齢や身体的な特性に関わらず、誰もが快適に利用できるべきであるという「アクセシビリティ」の考え方も、現代のサイト制作では標準的な要件となっている。具体的には、ページ内で最も重要な見出しであるH1タグは一つだけ使用し、H2、H3と続く見出しタグを文書の論理的な構造に合わせて正しく使うこと、視覚に障害のあるユーザーがスクリーンリーダーで内容を理解できるよう、意味を持つ画像にはその内容を説明する代替テキスト(alt属性)を設定すること、そして文字と背景のコントラストを十分に確保して誰にでも読みやすくすることなどが挙げられる。
最後に、ウェブサイトを公開する前には、最終的なクリーンアップ作業を行う。制作過程で作成したテスト用のページや下書き、使用しなかった画像データなどを削除し、サイトをきれいな状態に整理する。そして、Elementorが生成したCSSやJavaScriptファイルを最適化し、サーバーのキャッシュをクリアした上で、一般のユーザーと同じ環境(ログアウトした状態)でサイト全体を最終確認する。これらの地道なチェックリストを一つずつ実践していくことで、単に見た目が良いだけでなく、高速で使いやすく、将来にわたって維持・管理が容易な、資産価値の高いウェブサイトを構築することが可能になる。