【ITニュース解説】From Feature Factory to Problem Solver: How I Actually Learned to Think Like a Senior Developer
2025年09月05日に「Dev.to」が公開したITニュース「From Feature Factory to Problem Solver: How I Actually Learned to Think Like a Senior Developer」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
指示された機能をただ実装するのではなく、真の問題解決を目指すのがシニア開発者の思考法だ。常に「なぜ?」と問い、根本原因を探り、システム全体を俯瞰して考える。オーナーシップを持ち、成果を重視する姿勢は、役職に関わらず実践でき、開発者としての成長とプロダクトへの貢献を促す。
ITニュース解説
多くのシステムエンジニアがキャリアの初期に経験する状況に「フィーチャーファクトリー」と呼ばれるものがある。このニュース記事は、筆者がまさにその「フィーチャーファクトリー」での経験を経て、どのようにして単なる作業者から真の問題解決者、つまりシニア開発者のような考え方を持つに至ったのかを語っている。
筆者は数年前、言われた通りの作業を忠実にこなす日々を送っていた。指定されたデザイン通りにコードを書き、タスクを完了させ、それをデプロイする。このサイクルを繰り返すことで成長していると漠然と考えていたが、心の奥底では何かが違うと感じていた。それは、本当の課題を解決しているのではなく、ただ指示されたものを実行しているに過ぎないという感覚だった。
「フィーチャーファクトリー」とは、新しい機能(フィーチャー)を機械的に大量生産する工場のようだ。そこでは、プロダクトマネージャーから「この機能を作ってください」と、まるでチェックリストのようにタスクが渡され、開発者はその機能の背景や目的を深く理解することなく、ただ実装を進める。プロジェクトの成功は、どれだけ早く多くのタスクをこなしたかという「速度」で測られ、その機能がユーザーやビジネスにどれだけ良い影響を与えたかという「影響」はあまり重視されない。筆者の経験では、「今週中にこの3つのタスクを終わらせなさい」といった指示が毎週のようにあり、コードを書き、コードをレビューしてもらい、定例会議に参加するというルーティンをこなしていた。しかし、その過程で、なぜこの機能が必要なのか、より良い方法はないのか、といった根本的な問いを考えたり、学んだり、疑問を投げかけたりすることはなかった。そして、誰も筆者にそれを期待していなかったのである。
このような開発のサイクルは、最初は非常に生産的に感じられるかもしれない。しかし、数ヶ月もすると、筆者は自分が作っている機能が「なぜ」必要なのかを説明できなくなっていた。プロダクトの仕様を決めたり、方向性を議論したりする意思決定の場にも全く関与できていなかった。さらに深刻だったのは、同じバグが何度も再発し、そのたびに同じような一時的な修正を繰り返していたことだ。「コードを書く、タスクを閉じる、また同じことの繰り返し」というループに陥っていることに気づき、このままでは本当に成長できないと悟ったという。
この状況を変えるきっかけとなったのは、ある晩、またしても同じ再発バグを修正しているときだった。筆者は作業の手を止め、「なぜこのバグはこんなに頻繁に起こるのだろう?そもそも、この機能の設計自体に欠陥があるのではないか?」と自問した。このシンプルな疑問が、筆者の考え方を大きく変えるきっかけとなった。それまでのように、ただ指示された通りにバグを修正するのではなく、筆者はその機能がユーザーにどう使われるのか、その製品全体の流れを深く調査し、品質保証(QA)担当者と協力して、そのバグの根本原因となっている挙動について詳しく話し合った。そして最終的に、その機能の構造自体を変更する提案を行った。この提案は成功し、バグは完全に解消されただけでなく、ユーザーがその機能を使う際の体験も格段にシンプルで快適になった。この時初めて、筆者は単にコードを書いたのではなく、根本的な問題を解決したという実感を味わったのである。
この経験を通して、筆者はシニア開発者になるということは、単に経験年数を重ねることではないと気づいた。それは、物事をどう考え、問題にどうアプローチし、自分の仕事にどれだけ深く配慮できるかという「マインドセット」の問題だったのだ。筆者がこの変化を遂げる上で役立った五つの考え方がある。
一つ目は、「何を」する前に「なぜ」を問い始めることだ。筆者は、指示されたタスクの内容にすぐに飛びつくことをやめた。代わりに、「この機能で本当に解決しようとしている課題は何だろう?」「誰にどのような恩恵をもたらすのだろう?」「もっとシンプルに実現する方法はないだろうか?」といった、根本的な目的や背景を問うようになった。この習慣を身につけたことで、書くコードの量は減ったにもかかわらず、より高品質で効果的な成果を出せるようになったという。
二つ目は、単に割り当てられたタスクをこなすだけでなく、「オーナーシップ」を持つことだ。「それは私の担当ではない」と突っぱねる代わりに、「この問題を一緒に解決しよう」と積極的に関わるようになった。オーナーシップとは物事を自分の管理下に置くことではなく、自分の仕事やチーム、製品に対して責任と深い配慮を持つことだと筆者は理解している。この姿勢はチーム内の信頼を築き、結果としてリーダーシップを発揮することにもつながった。
三つ目は、共感を持って「ノー」と言えるようになることだ。以前の筆者は、どんな依頼に対しても「はい」と答えていた。しかし、今では、時には「この機能はユーザーの本当の課題を解決しないかもしれません。もう一度、その目的や方法を検討し直すことはできないでしょうか?」と、建設的な疑問を投げかけ、提案を再考するよう促すことができるようになった。シニア開発者は、ただ言われた通りに機能を実装するだけでなく、謙虚な姿勢で提案の前提に疑問を投げかけ、より良い方向へと導く役割も担う。
四つ目は、「システム」として物事を考えることだ。筆者は、目の前の孤立したタスクだけを見るのをやめ、そのタスクがシステム全体のアーキテクチャにどのような影響を与えるか、将来的に利用者が増えた際に安定して動くか、今回作ったロジックが他の場所で再利用できるか、といった広い視野で考えるようになった。このような俯瞰的な視点を持つことで、より持続可能で、長期的に価値を提供できるコードを書けるようになったのである。
そして五つ目は、自分の仕事の価値を「アウトプット」ではなく「アウトカム」で測るようになったことだ。筆者は、自分がどれだけのタスクを完了させたか、どれだけのコードを書いたかといった「量」を重視するのをやめた。その代わりに、「この機能は製品をより良くしたか?」「ユーザーの困り事を解決し、使いやすさを向上させたか?」「システム利用時の不要な手間を減らすことができたか?」といった、その仕事がもたらした「結果や影響」に焦点を当てるようになった。この考え方を持つことで、筆者は自分の仕事に本当の価値と意味を見出せるようになったという。
シニア開発者のように考えることは、自分の役職や肩書きとは全く関係がない。それは、好奇心を持って物事を深く掘り下げ、全体像を捉えて問題に取り組む視点を持つこと、そして建設的な疑問を投げかけ、自分が書くコードとその影響に責任を持つという、まさに「マインドセット」なのだ。たとえあなたがまだジュニアやミドルレベルの開発者であっても、これらの考え方は今日からすぐに実践できる。
「フィーチャーファクトリー」のようにただ早く作るだけでなく、問題解決者のように「正しく」作ることを目指すべきだ。あなたは、単にコードの行数を増やすために存在しているのではない。混乱している状況に明確さをもたらし、単なる機能ではなく、真の価値を提供する役割を担っている。自分が思っている以上に、あなたの仕事は大きな影響力を持っているのだ。まだ「シニア」という肩書きを与えられていなくても、今日からシニア開発者のように考え始めることができる。
もしあなたが今、「コードを書く、タスクを閉じる、また同じことの繰り返し」というサイクルに囚われていると感じているなら、一度立ち止まってほしい。視野を広げ、目の前のことだけでなく全体を見渡し、「なぜ」という根本的な問いを投げかけることから、あなたが真のシステムエンジニア、つまり現実世界の課題を解決するエンジニアとして成長する旅は始まるのである。