【ITニュース解説】Honoでインタラクティブなコンポーネントを作る時、React Server Componentsが良いと思った【ボイラープレートを追加】
2025年09月03日に「Zenn」が公開したITニュース「Honoでインタラクティブなコンポーネントを作る時、React Server Componentsが良いと思った【ボイラープレートを追加】」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
Honoで動きのあるコンポーネントを作るなら、React Server Components (RSC) の活用が効果的だ。サーバーでコンポーネントを処理し、高速な表示と開発の効率化を両立できる利点を解説。手軽に試せるボイラープレートも提供中だ。
ITニュース解説
このニュース記事は、ウェブアプリケーション開発において、特に「Hono(ホノ)」というフレームワークを使って「インタラクティブなコンポーネント」を効率的に作るための新しいアプローチについて解説している。具体的には、従来の様々な方法と比較しながら、「React Server Components(以下、RSC)」という技術をHonoと組み合わせることで得られるメリットを紹介している。システムエンジニアを目指す初心者がこれらの技術を理解するための第一歩として、順を追って説明していく。
まず、「Hono」とは何か。これは、JavaScriptやTypeScriptを使ってウェブアプリケーションを開発するための軽量で高速なウェブフレームワークである。ウェブサーバーとして機能し、ユーザーからのリクエストを受け取って、その内容に応じた処理を行い、結果をユーザーに返す役割を担う。例えば、ウェブサイトのURLにアクセスしたときに、そのページの内容を生成したり、フォームに入力されたデータを処理したりする際にHonoのようなフレームワークが使われる。その特徴は、非常にコンパクトで動作が速く、多様なランタイム(ウェブアプリケーションを動かす環境)で動作することにある。
次に、「インタラクティブなコンポーネント」とは何だろうか。これは、ユーザーの操作に応じて動的に変化するウェブページの一部を指す。例えば、ボタンをクリックすると内容が表示されたり、入力フォームに文字を入力するとリアルタイムでヒントが表示されたり、といった動きをする部分のことだ。このような動きを実現するには、ウェブブラウザ上でJavaScriptが動作し、ユーザーの操作を検知してページの表示を更新する必要がある。
Honoでこのようなインタラクティブなコンポーネントを作る場合、いくつかの一般的な方法がある。一つは「CSR(Client Side Rendering)」と呼ばれる手法だ。これは、ウェブサーバーは最小限のHTMLだけを返し、残りのページの表示やインタラクティブな要素はすべてブラウザ側のJavaScript(クライアントサイド)で生成・制御する方法である。ReactやVueといったJavaScriptフレームワークがよく使われる。もう一つは「HonoX」というHono向けのフルスタックフレームワークを利用する方法、あるいは自分でJavaScriptを使ってインタラクティブな要素をHTMLに組み込む「自前でハイドレーション」という手法もある。「ハイドレーション」とは、サーバー側で生成された静的なHTMLに対し、ブラウザ側でJavaScriptを適用してインタラクティブな機能を持たせるプロセスのことだ。さらに、Next.jsやWakuといった既存の強力なフレームワークを使う選択肢もある。これらは、サーバーとクライアントの両方でレンダリング(ページの生成)を行うことで、パフォーマンスと開発効率の両立を目指す。
しかし、これらの方法にはそれぞれ特徴があり、開発の複雑さやパフォーマンス面での課題が生じる場合がある。そこでこのニュース記事では、HonoとRSCを組み合わせるアプローチを提案しているのだ。
では、「React Server Components(RSC)」とは何か。これは、Reactという人気のあるJavaScriptライブラリの新しい機能で、コンポーネントの一部を「サーバー側」でレンダリングできるようにするものだ。従来のReactコンポーネントの多くは、ユーザーのブラウザ(クライアント側)で実行されることを前提としていた。しかしRSCでは、サーバー側でレンダリングされたコンポーネントは、HTMLのようにブラウザに送信される。これにより、ブラウザで実行されるJavaScriptの量を大幅に減らすことができる。これは、ウェブページの読み込み速度向上や、ユーザーのデバイスへの負担軽減につながる大きなメリットだ。サーバー側でデータ取得などの重い処理を行うため、クライアント側では純粋に表示とユーザーインタラクションの処理に集中できる。
このRSCをHonoと組み合わせることで、どのような利点が得られるのだろうか。記事の著者は、その良かった点を3つ挙げているが、具体的な内容は省略されているため、RSCの一般的なメリットとHonoの特性を踏まえて推測する。
まず一つ目の利点は、パフォーマンスの向上とクライアントサイドJavaScriptバンドルサイズの削減が挙げられるだろう。Honoは非常に軽量なフレームワークであり、そこにRSCを組み合わせることで、インタラクティブな部分以外の多くのコンポーネントをサーバー側で処理できる。これにより、ブラウザがダウンロードして実行しなければならないJavaScriptの総量が減り、ページの表示速度が向上する。特に、インターネット環境が不安定なユーザーや、処理能力の低いデバイスを使っているユーザーにとって、このメリットは大きい。
二つ目の利点は、開発の複雑さの軽減とデータ取得の効率化だろう。RSCでは、サーバーコンポーネントから直接データベースにアクセスしたり、APIを呼び出したりすることができる。これにより、従来のクライアント側でデータを取得してからコンポーネントをレンダリングするパターンに比べて、データの流れがシンプルになり、開発者はデータの取得と表示ロジックをより密接に記述できるようになる。また、サーバーコンポーネントは状態(ステート)を持たず、クライアントコンポーネントのように再レンダリングを考慮する必要がないため、ステート管理の複雑さが軽減される側面もある。
三つ目の利点としては、Honoの柔軟性とRSCの強力な機能を両立できる点が考えられる。Honoは、そのシンプルさと高速性から、特定の用途に特化したウェブサービスやAPIのバックエンドとして選ばれることが多い。そこにRSCを組み合わせることで、Honoの軽量さを保ちつつも、Reactのエコシステムが提供する強力なコンポーネント指向開発のメリットや、サーバーサイドレンダリングの利点を享受できる。これにより、Honoを使いながらも、モダンで高度なユーザーインターフェースを持つウェブアプリケーションを開発する道が開けるのだ。これは、既存のフルスタックフレームワークに縛られず、より自由度の高いアーキテクチャを選択したい開発者にとって魅力的だろう。
さらに記事では、HonoでRSCを「さっと動かせるようにボイラープレートを用意した」と述べられている。「ボイラープレート」とは、開発を始める際に必要となる基本的な設定やコードがあらかじめ用意されたテンプレートのことだ。通常、新しい技術を導入する際には、環境構築や設定に多くの手間がかかるものだが、このボイラープレートを利用すれば、システムエンジニアを目指す初心者でもすぐにHonoとRSCを使った開発を体験できるようになる。これは、新しい技術学習のハードルを大きく下げる非常に価値のある提供だ。
まとめると、このニュース記事は、Honoという高速で軽量なウェブフレームワークを活用しながら、React Server Componentsという新しい技術を組み合わせることで、ウェブアプリケーションのパフォーマンスを向上させ、開発体験を改善し、さらに開発の柔軟性を高めることができる、というメッセージを伝えている。特に、ボイラープレートが提供されていることで、この新しいアプローチを試してみたいと考える開発者にとって、大きな助けとなるだろう。ウェブ開発の現場では常に新しい技術が生まれており、それぞれの技術がどのような課題を解決し、どのようなメリットをもたらすのかを理解することが、システムエンジニアとして成長する上で非常に重要だ。このHonoとRSCの組み合わせも、そうした技術の一つとして注目に値する。