【ITニュース解説】ITエンジニア志望学生の8割超が生成AIを活用、paizaが調査

ITエンジニアを目指す学生の多くが、生成AIをすでに活用しているという調査結果が出た。この調査は、ITエンジニア向けのプラットフォーム「paiza」が、2026年から2029年に卒業予定の学生1075人を対象に行ったものだ。この結果から、IT業界を目指す上で、生成AIの理解と活用がますます重要になっていることがわかる。

調査によると、学生全体の84%が生成AIを日常的に、または時々利用していると回答した。これは、ほとんどの学生が何らかの形で生成AIに触れていることを示している。特に注目すべき点は、卒業年次が若いほど利用率が高いということだ。2026年卒と2027年卒の学生では、90%以上が生成AIを利用していると答えている。これは、若い世代ほど新しい技術に対する抵抗感が少なく、積極的に取り入れている傾向があることを示唆している。

では、なぜこれほど多くの学生が生成AIを利用しているのだろうか。背景には、生成AIがプログラミング学習や課題解決に役立つという認識がある。生成AIは、自然言語で指示を与えることで、プログラムコードの生成やデバッグのサポート、ドキュメントの作成など、さまざまなタスクを支援できる。たとえば、プログラミングの課題でエラーが発生した場合、エラーメッセージを生成AIに入力することで、原因の特定や修正方法の提案を得ることができる。また、新しいプログラミング言語を学ぶ際に、サンプルコードの生成や構文の説明を求めることで、学習効率を高めることも可能だ。

さらに、生成AIは、アイデア出しや設計段階でも活用できる。システム開発の要件定義を行う際に、生成AIに具体的な要件を伝えることで、実現可能なシステム構成や機能の提案を得ることができる。これにより、開発者は、より創造的な作業に集中し、効率的にプロジェクトを進めることができる。

生成AIの利用目的は多岐にわたるが、主なものとしては、プログラミングコードの生成、デバッグ支援、ドキュメント作成、学習支援などが挙げられる。これらの目的を達成するために、学生たちは、様々な生成AIツールを活用している。例えば、GitHub Copilot、ChatGPT、Bardなどが代表的なツールだ。GitHub Copilotは、コードの自動補完や提案を行うことで、コーディング作業を効率化する。ChatGPTやBardは、自然言語による質問応答や文章生成に優れており、プログラミングに関する疑問の解決やドキュメント作成に役立つ。

これらのツールを活用することで、学生は、より高度なプログラミングスキルを習得し、実践的な課題解決能力を身につけることができる。また、生成AIを活用することで、開発プロセス全体を効率化し、より短期間で高品質なソフトウェアを開発することが可能になる。

ただし、生成AIの利用には注意点もある。生成AIは、あくまでツールであり、その出力結果を鵜呑みにすることは危険だ。生成されたコードや文章には、誤りや不適切な表現が含まれている可能性もあるため、必ず人間が内容を確認し、修正する必要がある。また、生成AIに依存しすぎると、自分で考える力や問題解決能力が低下する恐れもある。生成AIは、あくまで学習や開発を支援するツールとして活用し、自身のスキルアップを怠らないことが重要だ。

ITエンジニアを目指す上で、生成AIの理解と活用は不可欠なスキルとなりつつある。今回の調査結果からも、その重要性が改めて示されたと言えるだろう。しかし、生成AIは万能ではない。その特性を理解し、適切に活用することで、学習効率を高め、より高度なスキルを習得することができる。今後は、生成AIを効果的に活用するための学習方法や、倫理的な利用に関する知識も重要になるだろう。

学生のうちから生成AIに触れることは、将来的にエンジニアとして活躍するための大きなアドバンテージとなる。しかし、その利用は、常に批判的な視点と自己学習の意識を持って行う必要がある。生成AIは、あくまでツールであり、自身のスキルアップをサポートするものとして捉え、積極的に活用していくことが重要だ。