【ITニュース解説】国内クラウド市場、2024年は9兆7000億円。5年後には約2倍の19兆2000億円規模に。IDC Japan
2025年08月28日に「Publickey」が公開したITニュース「国内クラウド市場、2024年は9兆7000億円。5年後には約2倍の19兆2000億円規模に。IDC Japan」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
IDC Japanの調査によると、2024年の国内クラウド市場は9兆7000億円規模で、前年比29.2%増と大きく成長。年平均14.6%の成長を続け、5年後の2029年には約2倍の19兆2000億円に達する見込み。クラウド市場は今後も拡大していくと予想される。
ITニュース解説
IDC Japanが発表した国内クラウド市場予測について解説する。この予測によると、2024年の国内クラウド市場は9兆7084億円となり、前年比で29.2%増加した。さらに、年平均成長率14.6%で成長を続け、2029年には約2倍の19兆2000億円規模に達すると見込まれている。
この成長の背景には、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速がある。多くの企業が、ビジネスの効率化や新たな価値創造のために、クラウド技術の導入を積極的に進めている。クラウドは、初期投資を抑えつつ、必要な時に必要な分だけリソースを利用できるため、企業の規模や業種を問わず、柔軟なIT戦略を実現する上で不可欠な要素となっている。
クラウド市場は大きく分けて、IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、SaaS(Software as a Service)の3つのカテゴリに分類できる。
IaaSは、仮想サーバーやストレージなどのインフラをインターネット経由で提供するサービスだ。企業は自社でハードウェアを保有・管理する必要がなく、必要なリソースを柔軟に拡張・縮小できる。これにより、設備投資コストの削減や運用負荷の軽減が可能になる。
PaaSは、アプリケーション開発・実行に必要なプラットフォームをインターネット経由で提供するサービスだ。開発者は、OS、ミドルウェア、データベースなどを個別に用意する必要がなく、アプリケーションの開発に集中できる。また、PaaSには、開発に必要な様々なツールやサービスが組み込まれているため、開発効率の向上にもつながる。
SaaSは、ソフトウェアをインターネット経由で提供するサービスだ。ユーザーは、ソフトウェアをインストールする必要がなく、Webブラウザなどを通じて、すぐに利用を開始できる。SaaSは、多くの場合、月額課金や年額課金で提供されるため、初期費用を抑えつつ、最新のソフトウェアを利用できる。
今回のIDC Japanの予測では、特にSaaS市場の成長が著しいとされている。これは、企業が業務効率化やコラボレーション強化のために、クラウド型の業務アプリケーションの導入を積極的に進めていることが背景にある。例えば、顧客関係管理(CRM)、人事管理(HRM)、会計システムなどの分野で、SaaSの利用が拡大している。
クラウド市場の成長は、システムエンジニア(SE)にとって、新たなキャリアチャンスを意味する。クラウド技術に関する知識やスキルを持つSEの需要は、今後ますます高まるだろう。クラウド環境の設計・構築、運用・保守、セキュリティ対策など、幅広い分野でSEの活躍が期待される。
システムエンジニアを目指す初心者は、まずクラウドの基礎知識を習得することが重要だ。IaaS、PaaS、SaaSの違いや、それぞれのメリット・デメリットを理解することから始めるとよい。また、主要なクラウドベンダー(AWS、Azure、GCPなど)が提供するサービスについても、基本的な内容を把握しておくと役立つ。
さらに、クラウド環境での開発・運用スキルを習得することも重要だ。プログラミング、ネットワーク、データベース、セキュリティなどの基礎知識に加え、DockerやKubernetesなどのコンテナ技術、Infrastructure as Code(IaC)などの自動化技術についても学習することをおすすめする。
クラウド市場の成長は、単なるIT技術のトレンドではなく、企業のビジネス戦略の中核を担う重要な要素となっている。システムエンジニアとして、クラウド技術を習得し、企業のDXを支援することで、社会に貢献できる可能性が広がっている。今回の市場予測は、SEを目指す皆さんにとって、大いに励みになるはずだ。積極的に学習に取り組み、クラウド分野で活躍できるSEを目指してほしい。