【ITニュース解説】Kubernetes Architecture Overview
2025年09月04日に「Dev.to」が公開したITニュース「Kubernetes Architecture Overview」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
KubernetesはGoogle製のオープンソースで、アプリをコンテナで動かす際、そのデプロイ、管理、拡張、障害時の自動復旧を効率化する。管理を行うマスターノードと、アプリを実行するワーカーノードで構成され、大規模なシステム運用を支えるツールだ。
ITニュース解説
Kubernetesは、Googleが開発したオープンソースのコンテナ管理ツールである。これは「K8s」とも略され、アプリケーションをコンテナという形でデプロイし、管理する仕組みを提供する。オンプレミス環境やクラウド環境、仮想マシン上など、多様なプラットフォームで動作し、多くの大手企業がシステムのデプロイと運用にKubernetesを活用している。
アプリケーションをサーバーにデプロイする方法は、時代とともに進化してきた。最も初期の「伝統的な」方法では、一つの物理サーバーに複数のアプリケーションを直接インストールしていた。これでは、アプリケーション同士が互いに影響を与え合ったり、サーバーリソースを効率的に利用できなかったりする問題があった。次に登場したのが「仮想化」である。これは、一つの物理サーバー上に複数の仮想マシンを作り、それぞれの仮想マシン内でアプリケーションを独立して動かす方法だ。これにより、アプリケーションの分離とリソースの効率的な利用が進んだが、仮想マシン自体がOSを含むため、起動に時間がかかり、リソース消費も大きかった。
そして、現在主流となりつつあるのが「コンテナ」によるデプロイ方法である。コンテナは仮想マシンよりも軽量で、必要なOSの機能だけを共有してアプリケーションを動かすため、高速に起動し、リソース消費も少ない。アプリケーションとその実行環境をまとめてパッケージ化し、どの環境でも同じように動かせるという大きなメリットがある。しかし、コンテナが普及するにつれて、新たな課題が浮上した。例えば、多数のコンテナをどのように効率的に管理するか、アプリケーションの需要が増えたときにコンテナの数をどのように自動的に増やすか(スケーリング)、そしてもしコンテナを動かしているサーバーに障害が発生した場合に、サービスを停止させずにどのように復旧させるか、といった問題である。これらの課題を解決するために、Kubernetesが開発され、提供された。
Kubernetesは、これらのコンテナに関する管理の課題を解決するために機能する。例えば、複数の関連するアプリケーションを「名前空間」という仕組みでグループ化し、管理を容易にする。また、「サービス」という機能を使って、外部からのアクセスを正しいアプリケーションのコンテナに振り分ける。さらに、もしコンテナを動かしているサーバー(ノード)に問題が発生しても、Kubernetesは自動的にそのノード上のコンテナを別の正常なノードに移動させ、アプリケーションが継続して利用できる状態を保つことで、高い可用性を実現する。
この高度な管理を可能にするのが、Kubernetesのアーキテクチャである。Kubernetesクラスターは主に「コントロールプレーン」と「ノード(ワーカーノード)」という二つの主要な部分で構成される。
コントロールプレーンは、Kubernetesクラスター全体の「頭脳」であり、アプリケーションの管理や高可用性の維持を担当する部分である。このコントロールプレーン上では、実際にユーザーのアプリケーションは実行されない。コントロールプレーンは複数のコンポーネントから成り立っている。 まず、「APIサーバー」はKubernetesの「心臓」とも言える存在で、クラスター内のすべてのコンポーネントがAPIサーバーを通じてのみ通信を行う。直接他のコンポーネントと通信することはなく、APIサーバーが通信のハブとなる。 次に、「コントロールマネージャー」は、デプロイメント(アプリケーションの配置)、サービス(ネットワークサービス)、ストレージなど、目的ごとに異なる様々な「コントローラー」を含んでいる。これらのコントローラーは、クラスターの状態を監視し、期待される状態になるように調整する役割を担う。 「クラウドコントロールマネージャー」は、もしKubernetesクラスターがAWSやGCPといったクラウドプラットフォーム上で動いている場合にのみ存在するコンポーネントで、クラウド固有のサービス(ロードバランサーやストレージなど)とKubernetesを連携させる役割を持つ。 「スケジューラー」は、新しいコンテナを実行する際に、どのノード(ワーカーノード)に配置するのが最適かを判断し、リソースを効率的に割り当てる調整役である。 そして、「etcd」は、Kubernetesクラスター全体のすべての状態(設定情報、ノードの情報、Podの情報、サービスの情報など)を永続的に保存する分散型データベースである。このetcdに保存されているデータが、クラスターの状態の真実の源となるため、etcdのデータのバックアップはKubernetesの可用性にとって非常に重要となる。
一方、「ノード(ワーカーノード)」は、実際にアプリケーションのコンテナが実行される場所である。予算に応じて、複数のノードをクラスターに追加し、多数のアプリケーションを動かすことが可能だ。各ワーカーノードもまた、いくつかの主要なコンポーネントで構成されている。 「コンテナランタイムインターフェース(CRI)」は、コンテナを実行するためのソフトウェアで、Dockerやcontainerdなどがこれに該当する。このCRIの上で、アプリケーションの最小単位である「Pod」が実行される。一つのPodは、一つまたは複数のコンテナを含むことができる。 「Kubelet」は、各ノード上で動作するエージェントである。コントロールプレーンのAPIサーバーから指示を受け取って実行し、ノード自身の情報や、そのノード上で実行されているコンテナ(Pod)の状態を継続的にAPIサーバーに報告する。また、コンテナやPodが期待通りの状態で稼働していることを常に監視し、ノード上でのPodのライフサイクルを管理する責任も持つ。 「Kubernetesサービスプロキシ(Kube-proxy)」は、各ノード上でネットワークのルールを維持する役割を担う。これにより、クラスター内部や外部からの通信が、正しいPodにルーティングされることを保証する。
以上がKubernetesの基本的なアーキテクチャとその各コンポーネントの概要である。これらの仕組みが連携して動作することで、Kubernetesはコンテナ化されたアプリケーションを効率的かつ信頼性高く管理・運用することを可能にしている。