【ITニュース解説】Libby is adding an AI book recommendation feature
ITニュース概要
電子書籍アプリLibbyにAIによる書籍推薦機能「Inspire Me」が9月に追加。ユーザーはカテゴリーや年齢層、形容詞等の質問に答えることで、地域の図書館にある書籍からAIがおすすめを選んでくれる。利用者の過去の保存タイトルを基にした推薦も可能。プライバシー保護にも配慮し、本のタイトルのみをAIに送信。図書館コミュニティからは懸念の声も上がっている。
ITニュース解説
Libbyは、Overdrive社が提供するデジタル書籍貸し出しアプリだ。このアプリに、AIを活用した書籍推薦機能「Inspire Me」が追加される。Inspire Meは、ユーザーの好みに合わせた書籍を、地域の図書館の蔵書から提案する機能で、まず一部ユーザー向けに試験運用された後、9月に正式に公開される予定だ。 この機能を使うには、ユーザーはまず、いくつかの質問に答える必要がある。質問は、書籍のジャンル(フィクション、伝記など)、対象年齢(大人向け、子供向け)、好みの形容詞(「賢い」「おかしな」など)といった項目から構成される。また、過去に保存した書籍に基づいて推薦してもらうことも可能だ。 AIは、これらの情報をもとに、地域の図書館にある電子書籍やオーディオブックの中から、5冊を推薦する。Overdrive社によると、Inspire Meは、すぐに利用可能な書籍を優先的に推薦するとのことだ。推薦された書籍には、その書籍がユーザーの好みにどのように合致しているかの簡単な説明も表示される。 この新機能に対して、図書館関係者からは厳しい意見も出ている。ある図書館員は、SNS上で「頭から煙が出ている」とコメントし、別のユーザーは「Libbyが劣化するのに、これほど時間がかかるとは思わなかった」と反応している。 Libbyのプライバシーポリシーによれば、Inspire Meは、ユーザーが保存した書籍の中からランダムに選ばれた書籍のタイトルに関連するタグのみをAIモデルに送信する。送信されるのは書籍のタイトルのみで、ユーザー個人やデバイスに関する情報は一切含まれない。Overdrive社は、この機能の設計において、エネルギー消費を最小限に抑えるように配慮しており、今後もその影響を監視していくとしている。 Inspire Meは、AIを活用した比較的穏やかな機能と言えるだろう。しかし、AI技術の利用には常に注意が必要だ。 システムエンジニアを目指す初心者にとって、このニュースはいくつかの点で参考になる。 まず、AI技術の応用例として、書籍推薦という身近なサービスにAIが活用されていることがわかる。AIは、画像認識や自然言語処理といった高度な分野だけでなく、ユーザーの利便性を向上させるためのツールとしても活用できる。 次に、AIの利用におけるプライバシーへの配慮の重要性だ。Libbyの事例では、ユーザーの個人情報を保護するために、送信するデータを最小限に絞り、匿名化するなど、様々な対策が講じられている。システム開発においては、プライバシー保護を考慮した設計が不可欠だ。 さらに、AI技術に対する倫理的な議論の存在も理解しておく必要がある。Libbyの事例では、図書館関係者からAIの導入に対する批判的な意見が出ている。AI技術は、社会に大きな影響を与える可能性があるため、技術的な側面だけでなく、倫理的な側面も考慮する必要がある。 このニュースは、AI技術が社会に浸透していく中で、技術者としてどのような視点を持つべきかを考える良い機会となるだろう。