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【ITニュース解説】エッチなASMRを禁止する法案がミシガン州で提出される

2025年09月17日に「GIGAZINE」が公開したITニュース「エッチなASMRを禁止する法案がミシガン州で提出される」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

アメリカ・ミシガン州の共和党議員グループが、エッチなASMRやポルノといった複数のオンラインコンテンツの禁止を目的とした法案を提出した。

ITニュース解説

アメリカ・ミシガン州で、特定のオンラインコンテンツ、具体的にはポルノやエロティックなASMRなどを禁止する法案が提出されたというニュースは、一見すると法律や社会の問題に見えるかもしれない。しかし、この種の法案が成立し施行されることになれば、インターネットの基盤を支えるシステムエンジニアの仕事に直接的かつ大きな影響を与えることになる。システム開発や運用、そして技術的な課題解決に取り組む上で、このような動きは避けて通れないテーマとなるだろう。

まず、この法案の核心は、オンライン上に存在する特定のコンテンツを「禁止する」という点にある。ここでシステムエンジニアが直面する最初の大きな課題は、「何をもって禁止対象とするか」というコンテンツの定義と識別の問題だ。例えば、「エロティックASMR」という表現は、人によって受け取り方が異なる非常に曖昧な概念である。このような主観的な判断を必要とするコンテンツを、コンピュータシステムでどのようにして自動的に、かつ正確に識別するのかは、高度な技術的挑戦となる。

この課題に対処するためには、AI(人工知能)や機械学習の技術が不可欠になる。システムエンジニアは、画像認識AIを用いて動画内の視覚的要素を分析したり、音声認識AIで特定のキーワードやトーンを検出したり、さらには自然言語処理技術を使ってコメントやタイトルから性的な暗示を読み取るといった、複数の技術を組み合わせたシステムを開発することになるだろう。しかし、AIは学習データに基づいて判断するため、意図しないコンテンツを規制対象としてしまったり(誤検出)、逆に規制対象のコンテンツを見逃してしまったり(見逃し)するリスクが常に存在する。システムエンジニアは、これらの誤りを最小限に抑えつつ、システムの精度を高めるためのアルゴリズム設計やデータ管理に取り組む必要がある。

次に、この規制が実際に導入された場合、インターネット上でコンテンツを配信・共有するプラットフォーム事業者、例えばYouTubeのような動画サイトや、SNS、ブログサービスなどは、規制に対応するためのシステムの構築を迫られることになる。プラットフォームは、ユーザーがアップロードする膨大な量のコンテンツをリアルタイムで監視し、法案が定める禁止コンテンツを発見した際には、そのコンテンツを削除したり、投稿者のアカウントを停止したりする仕組みを導入しなければならない。これには、既存のシステムを改修するだけでなく、新しいコンテンツモデレーション(監視・管理)ツールや、通報システム、コンテンツ審査ワークフローなどを開発する必要がある。高速な処理能力、そして膨大なデータを効率的に管理するためのデータベースやストレージシステムの設計も、システムエンジニアの重要な任務となる。

また、インターネットは国境を越えるグローバルなネットワークであるため、ミシガン州という特定の地域の法律が、世界中のユーザーがアクセスするコンテンツにどこまで適用されるかという点も、技術的な対応を要する。プラットフォーム側は、ミシガン州からのアクセスに対してのみ規制を適用するよう、地域制限技術を導入する可能性がある。これは、ユーザーのIPアドレス(インターネット上の機器を特定する番号)に基づいて地域を判別し、特定のコンテンツへのアクセスを制限する技術だ。しかし、VPN(仮想プライベートネットワーク)などの技術を使えば、ユーザーは自分の実際の所在地を隠し、異なる地域のIPアドレスからアクセスできるため、このような回避策に対する技術的な対応も検討する必要がある。システムエンジニアは、これらの技術的限界を理解した上で、規制の実効性を最大限に高めるシステムを設計することが求められる。

さらに、コンテンツの審査や削除の過程では、ユーザーが投稿したデータや、それに付随する個人情報を取り扱うことになる。これには、プライバシー保護やデータセキュリティに関する厳格な要件が伴う。システムエンジニアは、ユーザーのデータを不正アクセスや情報漏洩から守るためのセキュリティ対策を万全に施す必要がある。また、法的な規制に則ってデータを適切に保管したり、あるいは必要に応じて削除したりするためのデータ管理ポリシーをシステムに組み込むことも求められる。これは単なる技術的な課題にとどまらず、法律や倫理に関する深い理解も必要とされる領域だ。

このように、一見すると法律や政治の問題に見えるオンラインコンテンツ規制は、その実現のために多岐にわたるシステム開発と運用、そして高度な技術的解決策をシステムエンジニアに要求する。コンテンツの自動識別、大規模なデータ処理、地域制限、セキュリティ、プライバシー保護といった要素はすべて、システムエンジニアが日々の業務で扱う技術そのものである。システムエンジニアは、単にコードを書くだけでなく、法律や社会的な要請、そして倫理的な側面を深く理解し、それらを技術的にどう解決するかを考える、より広い視野が求められるようになる。

ミシガン州の法案はまだ提出された段階であり、実際に成立するかどうか、またどのような形で施行されるかは不透明だ。しかし、このようなコンテンツ規制の動きは、今後も世界中で増えていく可能性を秘めている。インターネット上のコンテンツが社会に与える影響が大きくなるにつれて、それに対する規制の動きも活発になるだろう。システムエンジニアを目指す者にとって、このニュースは単なる情報として聞き流すのではなく、将来自身が関わるかもしれない技術的課題として捉え、その影響範囲や解決策について深く考える良い機会となる。技術は中立的だが、その利用方法やそれを取り巻く法制度によって、社会に大きな影響を与えることを理解し、責任感を持ってシステム開発に取り組むことの重要性を示唆していると言える。