【ITニュース解説】「MS Edge」にアップデート - 「クリティカル」脆弱性を解消

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ITニュース概要

マイクロソフトはブラウザ「Microsoft Edge」のセキュリティアップデートを公開した。極めて危険な「クリティカル」な脆弱性を修正し、ユーザーが安心してインターネットを利用できるよう安全性を強化した。

ITニュース解説

マイクロソフトが提供するWebブラウザ「Microsoft Edge」に対して、セキュリティを強化するためのアップデートが公開された。このアップデートは「クリティカル」と評価される、非常に深刻な脆弱性を解消するためのものである。一見すると日常的なソフトウェア更新の一環に見えるが、このニュースはシステムエンジニアを目指す上で理解しておくべき、情報セキュリティの根幹に関わる重要な要素を数多く含んでいる。 まず、「脆弱性」という言葉について理解する必要がある。脆弱性とは、コンピュータのOSやソフトウェアに存在する、プログラムの設計ミスや不具合によって生じる情報セキュリティ上の弱点や欠陥のことである。これは建物のセキュリティに例えるなら、鍵のかからない窓や、誰でも簡単に入れる隠し通路のようなものだ。攻撃者はこの弱点を狙い、不正なプログラムであるマルウェアを送り込んだり、システムに不正に侵入したりする。結果として、個人情報の漏洩、データの破壊や改ざん、コンピュータの乗っ取りといった深刻な被害につながる可能性がある。Webブラウザはインターネットの入り口であり、外部のさまざまなWebサイトと通信するため、特に攻撃の標的になりやすいソフトウェアの一つである。 ニュース記事にある「クリティカル」という言葉は、脆弱性の深刻度を示すための評価レベルのうち、最も高い危険度を持つものを指す。脆弱性の深刻度は、攻撃の容易さや、攻撃が成功した場合の影響の大きさなどに基づいていくつかの段階に分類される。一般的に、専門機関によって「緊急(Critical)」「重要(High)」「警告(Medium)」「注意(Low)」といったレベルで評価される。「クリティカル」と評価された脆弱性は、攻撃者が特別な認証やユーザーの操作を必要とせず、インターネット経由で遠隔からシステムを完全に制御できてしまうような、極めて危険なものであることが多い。これを放置することは、自宅の玄関の鍵を開けっっぱなしにして外出するようなものであり、極めて無防備な状態と言える。そのため、開発元から修正プログラムが提供された場合は、一刻も早く適用することが強く推奨される。 ソフトウェアに脆弱性が発見された場合、開発元はその弱点を修正するためのプログラムを作成し、ユーザーに提供する。これが「セキュリティアップデート」や「セキュリティパッチ」と呼ばれるものである。「パッチ」とは英語で「当て布」を意味し、その名の通りソフトウェアに空いた穴(脆弱性)を塞ぐ役割を果たす。多くのソフトウェアでは、自動更新機能が備わっており、ユーザーが意識しなくても最新の状態が保たれるようになっている。しかし、設定によっては手動での更新が必要な場合もある。重要なのは、脆弱性の情報が公になると、その情報を悪用しようとする攻撃者が世界中で一斉に活動を開始するということだ。修正プログラムが公開されているにもかかわらず、適用を怠っているコンピュータは、攻撃者にとって格好の標的となる。そのため、アップデートの通知を見たら、可能な限り速やかに適用することが、自身の情報を守るための基本的な対策となる。 今回のMicrosoft Edgeのアップデートも、こうした脆弱性への対応の一環である。現在のMicrosoft Edgeが、Google Chromeと同じ「Chromium(クロミウム)」というオープンソースのブラウザエンジンを基盤として開発されていることを知っておくことは重要だ。オープンソースとは、プログラムの設計図であるソースコードが公開されており、誰でも利用や改良ができるソフトウェアを指す。Chromiumは多くのブラウザで共通の土台として使われているため、Chromiumで脆弱性が発見されると、それはEdgeやChromeだけでなく、同じ基盤を持つ他の多くのブラウザにも共通する問題となる。そのため、GoogleのChromium開発チームが脆弱性を修正すると、マイクロソフトもその修正を取り込んでEdgeのアップデートをリリースするという流れが一般的だ。この事実は、現代のソフトウェアが様々な部品(コンポーネント)の組み合わせで成り立っていることを示す良い例である。 システムエンジニアを目指す者にとって、このニュースは単なる個人のPCの話では終わらない。企業や組織では、何百、何千という数のコンピュータが利用されており、それら全てのセキュリティを維持管理するのがシステムエンジニアの重要な役割の一つとなる。これを「脆弱性管理」や「パッチマネジメント」と呼ぶ。具体的には、まず、国内外のセキュリティ機関などから日々公開される新しい脆弱性情報を常に収集し、自社で利用しているシステムに影響がないかを確認する。影響がある場合は、どのコンピュータに、どのソフトウェアに問題があるのかを正確に把握し、修正パッチを適用する計画を立てる。業務時間中に全てのコンピュータをアップデートすると業務に支障が出る可能性があるため、業務時間外に計画的に適用作業を行うこともある。そして、パッチを適用した後に、他のアプリケーションが正常に動作するかどうかの確認も欠かせない。このように、脆弱性への対応は、情報収集、影響範囲の調査、計画、実行、確認という一連のプロセスを伴う専門的な業務である。 今回のMicrosoft Edgeのセキュリティアップデートという一つのニュースは、現代のITシステムが常にサイバー攻撃の脅威に晒されているという現実と、それに対処し続けることの重要性を示している。ソフトウェアの「脆弱性」は日々発見され、その危険度も様々である。特に「クリティカル」と評価される脆弱性は、システム全体を危険に晒す可能性があり、迅速な対応が不可欠だ。開発元が提供する「アップデート」や「パッチ」は、その危険を取り除くための最も確実な手段である。システムエンジニアは、こうしたセキュリティ情報を継続的に監視し、管理下のシステムを安全な状態に保つ責任を負う。ソフトウェアを常に最新の状態に保つという基本的な行動が、個人ユーザーにとっても、大規模なシステムを管理するエンジニアにとっても、情報資産を守るための第一歩であり、最も重要な防御策の一つなのである。

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