【ITニュース解説】📚 My First Java Project: A Simple Library Management System

2025年09月05日に「Dev.to」が公開したITニュース「📚 My First Java Project: A Simple Library Management System」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

Java初心者の学生が、学習初期にコンソール版の図書館管理システムを開発した。書籍管理、貸出、認証機能を実装する中で、Javaのクラス、コレクション、メソッドを実践的に習得。デバッグや設計の重要性を体感し、開発への自信を深めた。初心者には「まず作ってみる」ことの重要性を伝えている。

ITニュース解説

Java学習の初期段階にある大学生が、教科書の問題を解くだけでなく、実際に動くシステムを構築したいという思いから、簡易的な図書館管理システム(LMS)を開発した経緯が紹介されている。このプロジェクトは、誰もが身近に感じる図書館という題材を扱うことで、親しみやすさを持ちながら、Javaの基本的な要素であるクラス、オブジェクト、コレクション、そしてメソッドといった概念を実践的に学ぶ機会となった。さらに、完成したシステムが小さくても、自らの手で作り上げたという達成感は、今後の学習と開発への大きな自信に繋がったと述べられている。これは、システムエンジニアを目指す初心者にとって、理論学習から実践へと移行する最初の大きな一歩の重要性を示していると言える。

開発されたLMSは、コンソール(テキストベースの画面)で操作するJavaプログラムである。主な機能としては、まず「新しい本の追加」がある。これにより、本のID、タイトル、著者といった詳細情報をシステムに登録できる。次に、「利用可能な本の表示」機能を通じて、現在図書館に登録されている全ての本のリストを確認できる。さらに、「本の検索」機能では、本のID、タイトル、著者といった情報を使って特定の本を探し出すことが可能だ。図書館システムとして核となる「本の貸し出しと返却」機能も実装されており、本が貸し出されているか、返却されているかをシステム上で管理できる。そして、システムのセキュリティとユーザー管理のため、「ユーザー認証」機能が導入されており、ユーザーはシステムを利用する前にログインまたは新規登録を行う必要がある。これら一つ一つの機能は単純に聞こえるかもしれないが、全体として連携させて動作させるには、プログラミングにおける論理的な思考と実装の労力が必要とされる。

プロジェクトの開発にあたり、著者は当時Javaの基本的な文法(ループ、変数など)とオブジェクト指向プログラミング(OOP)の初歩的な知識しか持っていなかったという。しかし、このプロジェクトを通じて、それらの知識を具体的なシステム構築へと応用することを学んだ。システムは「構造」として、まずBookクラスが定義された。このクラスは、図書館内の「本」という実体をプログラム上で表現するための設計図のようなものであり、各本が持つ「ID」「タイトル」「著者」といった情報を保持するための変数(フィールド)を持っている。また、これらの情報を作成時に入力するための「コンストラクタ」や、外部から情報を安全に取得・設定するための「ゲッター」および「セッター」といったメソッドも含まれている。このように実世界の概念をクラスとしてモデル化することは、オブジェクト指向プログラミングの基本的な考え方の一つである。

「データ管理」においては、複数の本をまとめて管理するためにArrayList<Book>が使用された。ArrayListは、要素の追加や削除が容易で、可変長なリスト構造を持つため、図書館の本のコレクションを動的に管理するのに適している。また、ユーザー情報や貸し出し中の本の管理にはHashMapが活用された。HashMapは、「キー」と「値」のペアでデータを格納する構造であり、例えばユーザー名(キー)とパスワード(値)、または本のID(キー)と貸し出し状況(値)といった関連付けられたデータを効率的に検索・取得するのに役立つ。開発は「段階的なステップ」で行われた。まずユーザー認証のためのuserAuth()メソッドを実装し、次に本の追加機能であるaddBook()と表示機能であるshowBooks()を追加した。その後、検索機能と本の貸し出し・返却機能を構築していった。このように、プロジェクトを小さな機能単位に分割し、一つずつ完成させていく方法は、全体の複雑さを軽減し、管理しやすくする上で非常に効果的である。

初めてのプロジェクトでは、予想外の問題やバグに遭遇することは避けられない。著者も複数の課題に直面し、それらを乗り越えることでJavaへの理解を深めた。一つ目は「Scannerに関する問題」である。Javaでユーザーからの入力を受け取る際に使用するScannerクラスでは、nextInt()next()の後にnextLine()を使うと、入力バッファに残った改行文字を読み取ってしまうために意図しない挙動を示すことがある。この「バッファ問題」は、初心者がよく遭遇する典型的な課題である。二つ目は「ArrayListのエラー」である。ArrayListを使用する際には、存在しないインデックスにアクセスしようとするとIndexOutOfBoundsExceptionという実行時エラーが発生する。これは、リストのサイズを正確に把握せずに要素にアクセスしようとした際に起こり得る。三つ目は「HashMapの混乱」である。HashMapから値を取得するget()メソッドの正しい使い方を理解するのに苦労したという。キーが存在しない場合にnullが返されることや、キーのデータ型と検索に使用するデータ型が一致する必要があるなど、HashMapの動作特性を学ぶ必要があった。四つ目は「mainメソッドの肥大化」である。プログラムの主要なロジックを全てmainメソッドの中に書いてしまうと、コードが長くなり、可読性や保守性が低下する。著者はこれを、プログラムのロジックをより小さな独立したメソッドに分割することで解決し、コードの整理とモジュール化の重要性を学んだ。これらの課題は、デバッグ(バグを見つけて修正する作業)を通じて一つずつ解決され、結果としてJavaの挙動やエラーメッセージの意味を深く理解する貴重な学習機会となった。必要に応じてChatGPTのようなAIツールをデバッグに活用した経験も、現代の開発プロセスにおけるツール利用の一例として示されている。

このプロジェクトを通じて、著者はいくつかの重要な教訓を得た。第一に「デバッグは学習である」という点だ。プログラムのエラーやバグは単なる障害ではなく、なぜそのエラーが発生したのか、どのように解決すべきかを深く考えることで、プログラミング言語やシステム動作の仕組みに対する理解を深める最高の教材となる。第二に「分割統治」の原則である。複雑な問題を一度に解決しようとするのではなく、小さな機能やタスクに分割して取り組むことで、全体像を把握しやすくなり、コードの整理と管理が容易になる。これはメソッドにロジックを分割することで実現された。第三に「オブジェクト指向プログラミング(OOP)の早期適用」の価値である。Bookクラスを設計し、オブジェクトとして扱うことで、現実世界の本をプログラム内で効果的に表現できることを実感した。これにより、OOPの概念が単なる理論ではなく、実用的な設計手法であることを理解した。第四に「始めたことを完遂すること」の重要性である。たとえ小さなプロジェクトであっても、計画から実装、そして完成までをやり遂げることで得られる達成感は、今後のモチベーション維持に不可欠である。最後に「構築することで学ぶ」という考え方だ。全ての知識を完璧に習得してからプロジェクトを始めるのではなく、実際に手を動かして作りながら学ぶことの効率性と効果を強調している。これは、実践こそが最も速い学習方法であるというメッセージである。

この簡易図書館管理システムは「プロトタイプV1」として位置づけられており、将来的にはさらなる機能拡張や技術的な改善が計画されている。まず、現在のコンソールベースのインターフェースから、「JavaFX」や「Swing」といったJavaのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)フレームワークを使用して、より視覚的に操作しやすい画面を持ったアプリケーションへと進化させる予定である。次に、現在のシステムはプログラムが終了するとデータが失われるため、「MySQL」のようなデータベースシステムと連携させることを計画している。データベースを使用することで、追加した本の情報やユーザーデータ、貸し出し履歴などを永続的に保存し、プログラムを再起動してもデータが保持されるようになる。これは、実際の業務システムにおけるデータ管理の基本となる。さらに、将来的には「フルスタック開発」を学び、ウェブアプリケーションとしてLMSを構築することも視野に入れている。ウェブ版にすることで、ブラウザを通じてどこからでもシステムにアクセスできるようになり、より多くのユーザーが利用可能となる。これらの各アップグレードは、著者が次のレベルの技術スキルを習得するための新たな挑戦となるだろう。

このプロジェクトは、システムエンジニアを目指す全ての初心者に対し、今すぐにでも開発を始めることの重要性を訴えかけている。全ての技術を習得してからではなく、実際に手を動かして作りながら学ぶことが、最も効率的で確実な学習方法である。たとえ「簡易図書館管理システム」のように規模が小さいプロジェクトであっても、それは学んだ知識を現実世界の問題解決に応用できることの証明となり、自信と成長の糧となる。著者は、自身の学習と開発の旅を今後も共有していくと述べており、初心者にとって大きな励みとなるだろう。プロジェクトのGitHubリポジトリも公開されており、実際にコードを確認したり、改善の提案をしたりすることが可能である。