【ITニュース解説】New Relic で CSV ファイルを可視化!Log 連携とパース機能
2025年09月05日に「Qiita」が公開したITニュース「New Relic で CSV ファイルを可視化!Log 連携とパース機能」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
New Relicは、CSVファイルをログデータとして取り込み、可視化・分析できるツールだ。Infrastructure AgentとFluent Bitを使い、システムのバッチ処理結果や稼働実績などのCSVデータをNew Relicに連携。項目ごとに属性としてパースすることで、運用管理に必要な情報を効率よく把握できる。
ITニュース解説
システムエンジニアが日々の業務で扱う情報の中には、様々な形式のデータが存在する。特に、バッチ処理の実行結果やシステムの稼働実績といった重要なデータは、CSV(Comma Separated Values)ファイル形式で出力されることが非常に多い。CSVファイルは汎用性が高く、多くのアプリケーションで利用できる反面、ファイルの中身を目視で確認するだけでは、全体的な傾向を把握したり、特定の条件で絞り込んで分析したりすることが難しいという課題がある。この課題を解決し、CSVファイルに込められた情報をより深く理解し、システムの運用管理に役立てるための強力なソリューションとして、「New Relic」という観測プラットフォームと、その連携技術が注目されている。
New Relicは、システムの状態をリアルタイムで監視・分析し、問題を発見したり、パフォーマンスを改善したりするための総合的なツール群を提供する。アプリケーションの動作状況、サーバーのリソース使用状況、ネットワークのトラフィック、そしてシステムのログといった多種多様なデータを一元的に収集し、可視化することで、システムの全体像を「観測」することを可能にする。これにより、システム管理者や開発者は、システムの健全性を常に把握し、予期せぬトラブルにも迅速に対応できる体制を築くことができる。
今回のテーマは、このNew Relicを使い、CSVファイルに記録されたデータを可視化し、分析できるように連携する方法である。具体的には、「New Relic Infrastructure Agent」と「Fluent Bit」という二つのツールを組み合わせて利用する。
New Relic Infrastructure Agentは、監視対象のサーバーにインストールされ、そのサーバーのCPU使用率やメモリ使用量、ディスクI/Oといった基本的なリソース情報に加え、特定のファイルに書き出されるログデータなどをNew Relicのクラウド環境に送信する役割を担う。一方、Fluent Bitは、様々な種類のログデータを収集し、整形して他のシステムに転送するための軽量なログプロセッサである。今回のケースでは、システムが出力するCSVファイルをFluent Bitが読み込み、New Relicが理解しやすい形に変換するという重要な役割を果たす。
連携の仕組みは次のようになる。まず、システムがバッチ処理の結果や稼働実績をCSVファイルとして特定のディレクトリに出力する。次に、Fluent Bitが設定された監視対象のCSVファイルを常に「tail」という機能で監視し、新しい行が追加されるたびにそれを読み込む。ここが重要なポイントだが、Fluent Bitは単にファイルを読み込むだけでなく、その内容を「パース」する機能を持っている。CSV形式のデータをパースするということは、カンマで区切られたそれぞれの項目を個別の情報として識別し、それぞれに名前(キー)を付けて抽出する作業を意味する。例えば、「日時,処理名,結果,処理時間」というCSV行であれば、Fluent Bitは「日時」「処理名」「結果」「処理時間」という四つの情報をそれぞれ独立したデータとして認識する。
Fluent Bitによってパースされ、整形されたCSVデータは、最終的にNew Relic Infrastructure Agentを経由してNew Relicのクラウドに送信される。New Relicでは、送られてきたこれらのデータを「ログ」として取り込み、CSVの各項目は「属性」と呼ばれる付加情報として扱われる。この「属性」としてデータが取り込まれることが、CSVファイル可視化の鍵となる。
New Relicのログ管理画面では、取り込まれたログデータを一覧で確認できるだけでなく、各ログが持つ属性を利用して、強力な検索やフィルタリングを行うことができる。例えば、「結果」が「エラー」となっているログだけを抽出したり、「処理時間」が特定の時間を超えるログだけを表示したりすることが可能になる。さらに、New Relicが提供する「NRQL(New Relic Query Language)」というSQLライクなクエリ言語を使用すれば、これらの属性データに基づいてグラフを作成したり、集計を行ったりすることも自由自在だ。例えば、処理結果ごとの件数を円グラフで表示したり、処理時間の平均値を時系列で折れ線グラフにしたりできる。
このようにして作成されたグラフや集計結果は、「ダッシュボード」という形で一元的にまとめることが可能である。ダッシュボードには、複数のグラフや集計結果を自由に配置できるため、システムのバッチ処理の健全性や稼働状況を、複数の側面から一度に、かつ視覚的に把握できるようになる。異常が発生した際には、どの処理で、どのような問題が起きているのかを素早く特定し、対応へとつなげることができるため、システムの運用管理の効率と品質を格段に向上させることが可能になる。
システムエンジニアを目指す上で、このようなデータの収集、連携、そして可視化の技術は、現代のITシステムを理解し、適切に運用していくために不可欠なスキルである。CSVファイルという身近なデータ形式を、New Relicのような強力な観測プラットフォームと連携させることで、これまで見えにくかったシステムの挙動を「見える化」し、データに基づいた意思決定を行えるようになることは、システムの信頼性向上に大きく貢献するだろう。この技術を習得することで、システムの課題を早期に発見し、より安定した運用を実現する上で大きな一歩となる。