【ITニュース解説】NotebookLM、音声解説の出力形式に「概要」「評論」「議論」の形式を新たに追加

GoogleのNotebookLMというサービスが、2025年9月3日に音声解説機能のアップデートを発表した。このアップデートで、音声解説の出力形式に「概要」「評論」「議論」という3つの新しい形式が追加され、段階的にユーザーに提供されている。システムエンジニアを目指す初心者にとって、このアップデートがどのような意味を持つのか、NotebookLM自体がどのようなサービスなのかを含めて解説する。

まず、NotebookLMは、大量のテキスト情報を整理し、理解を深めるためのツールだ。具体的には、ユーザーがアップロードしたドキュメントやノートをAIが解析し、その内容に関する質問に答えたり、要約を作成したり、関連情報を抽出したりすることができる。システム開発の現場では、仕様書、設計書、技術ドキュメントなど、大量の情報を効率的に処理する必要がある。NotebookLMは、このような作業を効率化するための強力な武器となる可能性がある。

今回のアップデートのポイントは、音声解説の出力形式の拡充だ。「概要」は、ドキュメント全体の要点を簡潔にまとめたものを音声で提供する。これは、忙しいエンジニアが、移動中や作業中にドキュメントの内容をざっと把握したい場合に非常に役立つ。例えば、会議の前に、関連するドキュメントの概要を音声で聞くことで、短時間で会議の準備をすることができる。

「評論」は、ドキュメントの内容に対するAIの分析や意見を音声で提供する。単なる要約だけでなく、AIがドキュメントの内容を深く理解し、その上で独自の視点からコメントを加えることで、ユーザーは新たな発見や気づきを得ることができる。例えば、ある技術ドキュメントについて、AIがその技術のメリット・デメリットを分析し、具体的な活用事例を提示してくれるといった使い方が考えられる。

「議論」は、ドキュメントの内容に関する異なる意見や視点をAIが提示し、それらを比較検討する形で音声で提供する。これは、複雑な問題や複数の解決策が存在する場合に、それぞれのメリット・デメリットを比較検討し、最適な判断を下すために役立つ。例えば、新しいシステムアーキテクチャを検討する際に、異なるアーキテクチャの候補について、AIがそれぞれの特徴やリスクを説明し、議論を深めるための材料を提供するといった使い方が考えられる。

今回のアップデートは、システムエンジニアがより効率的に情報を収集し、理解を深め、意思決定を行うための支援を強化することを目的としている。特に、音声解説という形式を採用することで、テキストを読む時間がない場合でも、手軽に情報を取得できるようになった点が大きなメリットだ。

システムエンジニアの学習においても、NotebookLMは有効活用できる。技術書やオンラインドキュメントをNotebookLMに取り込み、概要を聞いたり、AIによる解説を聞いたりすることで、理解を深めることができる。また、自分で書いたコードや設計書をNotebookLMに解析させ、改善点や潜在的な問題を指摘してもらうことで、スキルアップにつなげることも可能だ。

ただし、NotebookLMはあくまでツールであり、AIが生成した情報が常に正しいとは限らない。特に「評論」や「議論」形式では、AIの主観的な意見が含まれる可能性があるため、鵜呑みにせず、批判的に検討することが重要だ。NotebookLMを活用する際には、常に自分の知識や経験に基づいて判断し、AIの情報を参考として活用するという姿勢が求められる。

今回のアップデートは、NotebookLMが単なる情報整理ツールから、より高度な情報分析・意思決定支援ツールへと進化する可能性を示唆している。システムエンジニアは、このような新しい技術を積極的に活用し、自身のスキルアップや業務効率化につなげていくことが重要だ。