【ITニュース解説】NotebookLM、「動画解説」機能の日本語対応を段階的に提供開始

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GoogleのAIノートツール「NotebookLM」の「動画解説」機能が、日本語を含む80言語に対応を開始した。これにより、手元の資料を基にした解説動画を日本語で手軽に作成できるようになる。8月25日から1週間以内に順次利用可能となる。(119文字)

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Googleが提供するAI搭載のノートツール「NotebookLM」に、動画の内容を自動で解析し、解説を生成する「動画解説」機能が追加され、日本語を含む多言語での提供が開始された。これは、特にIT技術の学習において、動画コンテンツを扱う方法を大きく変える可能性を秘めている。 まず、NotebookLMとは何かを理解する必要がある。これは単なるデジタルノートやメモ帳ではない。「AIを活用したリサーチアシスタント」と表現するのが最も近いだろう。ユーザーはPDFファイル、テキストドキュメント、Googleドキュメント、WebサイトのURLといった様々な資料を「ソース」としてNotebookLMにアップロードする。すると、NotebookLMに搭載されたAI、具体的にはGoogleの高性能な言語モデルであるGeminiが、それらのソースの内容を深く理解する。ユーザーはそのソースに基づいてAIに質問をしたり、内容を要約させたり、あるいは新しいアイデアのブレインストーミングをさせたりすることができる。例えば、数十ページにわたる技術仕様書をソースとして登録し、「このシステムにおける認証フローの概要を教えてください」と質問すれば、AIが仕様書全体を読み解き、的確な回答を生成してくれる。このように、大量の情報の中から必要な知識を効率的に引き出すための強力なツールである。 今回発表された「動画解説」機能は、このNotebookLMの能力を動画コンテンツにまで拡張するものだ。具体的には、YouTube動画のURLをソースとして指定すると、AIがその動画の内容を自動的に解析する。そして、動画の完全な文字起こし(トランスクリプト)、内容の要約、さらには主要なトピックが語られている部分を時間(タイムスタンプ)付きでリストアップした「目次」のようなものを生成してくれる。これにより、ユーザーは動画を最初から最後まで視聴しなくても、その概要や重要なポイントを素早く把握することが可能になる。 この機能がシステムエンジニアを目指す初心者にとってどれほど有用かは、具体的な学習シーンを想像すると分かりやすい。例えば、プログラミング言語の基本的な文法を解説する1時間のチュートリアル動画を学習する場合を考えてみよう。従来であれば、動画を見ながらメモを取ったり、後で特定の部分を見返したくても、どこでその説明がされていたかを探すのに手間がかかったりした。しかし、NotebookLMの動画解説機能を使えば、まずAIが生成した要約を読んで全体の流れを掴むことができる。さらに、「for文の使い方の部分を教えて」とAIに質問すれば、文字起こしの中から該当箇所を抜き出し、その部分のタイムスタンプを提示してくれるため、即座に動画の該当箇所にジャンプできる。学習内容を復習する際にも、動画を再生する代わりに、生成されたテキストベースの解説を読むだけで済むため、時間を大幅に節約できる。 特に、日本語に対応したという点が極めて重要である。IT技術に関する優れた解説動画は世界中に存在するが、これまでは言語の壁が学習の障壁となることも少なくなかった。英語の動画であっても、この機能を使えばまず文字起こしを取得し、それを翻訳ツールにかけることで内容を理解する手助けになる。そして何より、日本語で制作された膨大な数の技術解説動画を、これからは学習ソースとして最大限に活用できるようになった。国内の経験豊富なエンジニアがYouTubeで共有しているノウハウやチュートリアルを、NotebookLMを使って体系的に整理し、自分だけの学習ノートを構築することが容易になる。 この技術は、個人の学習支援に留まらず、将来のシステム開発の現場においても応用が期待される。例えば、新しいフレームワークやライブラリをプロジェクトに導入するか検討する際、複数の解説動画をNotebookLMに読み込ませ、それぞれの長所と短所をAIに比較・要約させるといった使い方が考えられる。また、オンラインで開催された技術カンファレンスのセッション動画を後から確認する際にも、全ての動画を視聴する時間がない場合に、この機能を使って効率的に情報収集を行うことができるだろう。チーム内での知識共有においても、研修動画の内容をテキスト化してドキュメントとして保存しておけば、後からキーワードで検索することができ、情報の再利用性が格段に向上する。 今回のNotebookLMのアップデートは、AIが単に情報を提供するだけでなく、私たちが情報を消費し、知識として吸収するプロセスそのものを変革しようとしていることを示している。動画というリッチな情報源を、テキストのように検索可能で、構造化された扱いやすいデータに変換するこの技術は、学習効率を飛躍的に高める可能性を秘めている。システムエンジニアを目指す者にとって、プログラミングスキルやシステム設計の知識はもちろん重要だが、同時に、このような最新のAIツールをいかに使いこなし、効率的に学習を進めていくかという能力も、これからの時代に求められる重要なスキルセットの一つとなるだろう。NotebookLMの動画解説機能は、そのための強力な武器となるはずだ。

【ITニュース解説】NotebookLM、「動画解説」機能の日本語対応を段階的に提供開始