【ITニュース解説】大阪メトロ、「自前の再エネで電車を走らせたい」けど「太陽光は発電が不安定」を解決へ パナと実証実験

2025年09月05日に「CNET Japan」が公開したITニュース「大阪メトロ、「自前の再エネで電車を走らせたい」けど「太陽光は発電が不安定」を解決へ パナと実証実験」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

大阪メトロは、鉄道のカーボンニュートラルを目指し、森之宮検車場で実証実験を開始。パナソニックの太陽光発電と純水素燃料電池システムを導入し、発電の不安定さを解消する。鉄道電気系統との連携を検証し、再生可能エネルギーによる鉄道運行の可能性を探る。

ITニュース解説

大阪メトロが、鉄道運行におけるカーボンニュートラル、つまり二酸化炭素排出量を実質ゼロにするための取り組みを進めている。具体的には、自社で発電した再生可能エネルギーを使って電車を走らせることを目指している。そのために、パナソニック エレクトリックワークスと共同で、森之宮検車場において実証実験を行っている。

この実証実験で重要なのは、太陽光発電と純水素燃料電池という2つの技術を組み合わせている点だ。太陽光発電は、太陽の光を利用して電気を作るため、二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギー源となる。しかし、太陽光発電には弱点がある。それは、天候に左右されやすく、発電量が不安定であるということだ。晴れた日にはたくさん発電できるが、曇りや雨の日には発電量が大幅に減ってしまう。夜間には全く発電できない。

そこで、太陽光発電の弱点を補うために、純水素燃料電池が活用される。純水素燃料電池は、水素と酸素を反応させて電気を作る装置だ。この反応の際に排出されるのは水だけで、二酸化炭素は排出されない。水素は、様々な方法で製造できる。例えば、水を電気分解して作ることも可能だ。実証実験では、太陽光発電で余った電気を使って水素を製造し、それを燃料電池に貯めておくことで、太陽光発電ができない時間帯や天候の悪い日に電気を供給することを想定している。

今回の実証実験では、パナソニックの太陽光発電システムと純水素燃料電池システムを組み合わせ、さらに鉄道の電気系統と直接接続する高圧系統連携という方法を試している。通常、太陽光発電などで作られた電気は、一旦、電力会社の送電網に送られてから、必要に応じて各家庭や企業に供給される。しかし、今回の実験では、太陽光発電と燃料電池で作られた電気を、直接、鉄道の変電所に送り、電車を動かすための電力として利用することを想定している。

この高圧系統連携は、電力のロスを減らし、効率的に電気を利用するために非常に重要な技術だ。電力会社の送電網を経由すると、送電ロスが発生し、電気の一部が失われてしまう。しかし、直接、鉄道の電気系統に接続することで、送電ロスを最小限に抑えることができる。

大阪メトロが目指すのは、将来的に、このシステムを実用化し、自社で発電した再生可能エネルギーだけで電車を走らせることだ。これにより、二酸化炭素排出量を大幅に削減し、地球温暖化対策に貢献することができる。また、エネルギーの自給率を高めることで、外部からの電力供給に頼らずに、安定的に電車を運行できるようになる。

システムエンジニアを目指す人にとって、今回の大阪メトロの実証実験は、非常に興味深い事例だ。再生可能エネルギー、燃料電池、高圧系統連携など、様々な技術が組み合わされている。これらの技術を理解し、応用することで、持続可能な社会の実現に貢献できる。例えば、太陽光発電システムの効率を向上させるための研究開発、燃料電池の耐久性やコストを下げるための技術開発、高圧系統連携を安全かつ効率的に行うためのシステム構築など、システムエンジニアが活躍できる分野は多岐にわたる。今回の実証実験を参考に、将来の社会に貢献できるようなシステム開発を目指してほしい。

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