【ITニュース解説】Not Just Scraping: OSINTGraph Turns Your Target’s Instagram Network into an Investigable Graph with an Integrated AI Agent
2025年09月04日に「Dev.to」が公開したITニュース「Not Just Scraping: OSINTGraph Turns Your Target’s Instagram Network into an Investigable Graph with an Integrated AI Agent」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
OSINTGraphは、Instagramの公開データを収集し、人々のつながりをグラフで可視化するツールだ。フォローやコメントをノードと関係として表示し、AIがグラフ分析を手助けすることで、隠れた人間関係や興味などを効率的に調査できる。
ITニュース解説
このニュース記事は、OSINTGraphというツールを通じて、公開されているソーシャルメディアの情報がどのように収集・分析され、どのような洞察を生み出すかについて解説している。システムエンジニアを目指す初心者にとっても、データ収集、データベース、AI活用といった現代のIT技術の要素がどのように組み合わされているかを理解する上で非常に参考になるだろう。
まず、OSINT(Open Source Intelligence)とは何かという点から始めよう。OSINTは、インターネット上で誰でもアクセスできる公開情報(オープンソース)を利用して、特定の対象に関する調査を行い、その情報を分析して意思決定に役立てる手法のことだ。私たちが日々利用しているInstagramのようなソーシャルメディアも、その公開情報源の一つとなる。Instagramでの何気ない投稿、誰かの投稿への「いいね」、友人とのコメントのやり取りなどは、一つ一つは些細な行動に見えるかもしれないが、これらが集まることで、その人の習慣、興味、人間関係といった詳細な情報が明らかになることがある。OSINTは、これらの散らばった情報を体系的に集め、意味のある形に整理するアプローチなのだ。
OSINTGraphは、まさにこのOSINTの手法をInstagramに応用したPython製のコマンドラインツールである。このツールの主な目的は、特定の個人のInstagramネットワークに関するあらゆる公開データを収集し、それを視覚的に理解しやすい「グラフデータベース」としてマッピングすることだ。グラフデータベースとは、データとそのデータ間の関係性を「ノード」(点)と「リレーションシップ」(線)で表現するデータベースの一種で、複雑なつながりを直感的に把握できる点が特徴だ。
OSINTGraphの場合、ノードにはInstagramのプロフィール、個別の投稿、コメントが含まれる。そして、リレーションシップには、「フォローしている」「いいねした」「返信した」「コメントした」といった、ユーザー間の様々なインタラクションが定義される。これらのノードとリレーションシップによって構成されたグラフを分析することで、これまで見えなかった多くの情報が一目で把握できるようになる。
例えば、OSINTGraphを使えば、以下のような具体的な情報を簡単に調べることができる。ターゲットとなる人物が誰と相互にフォローし合っているのか、どのような投稿に最も多くコメントを残しているのか、ターゲットと特定の人との間でどのような公開のやり取り(お互いの投稿へのコメント、共通のフォロワーがいるか、頻繁な返信など)があるのか、そして、ターゲットがどのような種類の投稿に最も頻繁にインタラクションしているのか、といった具合だ。これらの情報は、単なるスクレイピング(Webサイトからデータを収集する技術)では得られない、関係性に基づいた深い洞察を提供する。
OSINTGraphがどのように動作するかについても説明しよう。このツールは、比較的シンプルな偵察手法を用いて関連データを収集する。まず、「osintgraph discover」というコマンドを実行すると、ターゲットとなるアカウントの公開されているInstagramデータ(プロフィール情報、フォロワーリスト、フォローしているアカウントリスト、投稿、コメント、いいね履歴など)をすべて集める。次に、「osintgraph explore」というコマンドを使うと、さらに深く掘り下げて、ターゲットがフォローしているアカウントのデータも収集する。なぜフォローしているアカウントのデータが重要かというと、人は興味のあることや所属するコミュニティ、組織(友人、職場、学校、趣味のグループなど)に関連するアカウントをフォローする傾向があるため、これらの情報がターゲットの全体像をより豊かにする手がかりとなるからだ。収集されたすべてのデータはNeo4jというグラフデータベースに格納される。Neo4jは、グラフ構造のデータを効率的に保存し、複雑な関係性に対するクエリ(問い合わせ)や可視化を得意とするデータベースだ。
巨大なグラフデータを目の前にしても、その分析は依然として骨の折れる作業になることがある。そこでOSINTGraphは、「AIエージェント」という強力な機能を統合している。「osintgraph agent」というコマンドを使うと、このAIエージェントがグラフデータを理解し、ユーザーが自然言語(普通の英語)で質問するだけで、グラフ内の情報から答えを見つけ出してくれる。例えば、「@john_doeが『パーティー』についてしたすべてのコメントを見つけて」と質問すれば、AIエージェントが数百ものコメントを手動で読むことなく、関連する回答を瞬時に表示してくれるのだ。さらに高度な調査のために、OSINTGraphは「テンプレート」という機能もサポートしている。これは、システムプロンプト(AIへの指示文)を使って、ユーザーが独自のAI「脳」を設計できる機能だ。これにより、特定の目的(手がかりの発見、洞察の生成、アカウントの要約など)に合わせたカスタム分析ロジックをAIに実行させることが可能になる。
OSINTGraphは、主に無料のサービスで構築されており、誰でもアクセスしやすいように設計されている点も特筆すべきだ。ただし、ツールを利用する際には、自分のメインのアカウントではなく、ダミーのInstagramアカウントを使用することが推奨されている。このツールは、調査を行う人々のための強力な手段であると同時に、私たちがオンラインで何を共有しているかについて、もっと注意を払うべきだという大切なメッセージも伝えている。システムエンジニアを目指す者として、このようなツールの仕組みや、それが社会に与える影響について深く考えることは、非常に有益な経験となるだろう。