【ITニュース解説】PayPal and Venmo users get a free year of Perplexity Pro and early access to its AI browser
2025年09月04日に「Engadget」が公開したITニュース「PayPal and Venmo users get a free year of Perplexity Pro and early access to its AI browser」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
PayPalとVenmoユーザーは、AI検索やタスク代行が可能な「Perplexity Pro」(通常200ドル)を1年間無料で利用できる。AI搭載ブラウザ「Comet」も早期アクセス可能となる。
ITニュース解説
最近、PayPalとVenmoのユーザーが、AI技術を駆使した新しいウェブブラウザ「Comet」の早期アクセス権と、AIサービス「Perplexity Pro」の1年間無料サブスクリプションを獲得できるというニュースが報じられた。この出来事は、AI技術が私たちの日常的なサービスやツールにどのように統合され、進化していくかを示す良い事例となる。
Perplexityは、NVIDIAやAmazonの創業者であるジェフ・ベゾス氏といった著名な企業や個人から支援を受けているAI企業だ。彼らは、検索や情報整理において高度な人工知能を活用することに特化している。今回の提携の中心にある「Comet」ブラウザは、このPerplexityが開発したAI搭載の新しいウェブブラウザで、その最大の特徴は、AIがブラウザの機能に深く統合されている点にある。
Cometブラウザでは、従来のブラウザのようにウェブページを表示し、検索エンジンを使って情報を探すだけでなく、AIがデフォルトの検索エンジンとして機能する。これは具体的にどういうことかというと、ユーザーが何か疑問に思ったときに、AIが単にウェブサイトのリンクを羅列するのではなく、質問に対してその場で的確な答えを生成したり、開いているウェブページの内容を素早く要約したりする能力を持っているということだ。さらに、画面に表示されている情報に基づいて、AIがユーザーに代わって具体的なアクションを実行することも可能だ。例えば、メールの作成を手伝ったり、特定の場所への道順をGoogleマップで調べたりといった操作を、AIに指示するだけで実行できるのだ。これにより、ユーザーはより効率的かつ直感的に情報にアクセスし、作業を進めることができるようになる。
今回のプロモーションでは、このCometブラウザの早期アクセスに加えて、Perplexityが提供する有料サービス「Perplexity Pro」の1年間無料サブスクリプションも付与される。Perplexity Proは通常、年間200ドルの費用がかかるサービスであり、より高度なAI機能や、優先的な処理能力、専門的なデータソースへのアクセスなどが含まれる。PayPalやVenmoのユーザーがこの高価値なサービスを無料で利用できるのは、大きなメリットと言える。
PayPalがこのような大規模なプロモーションを展開する背景には、彼らが新たに立ち上げた「サブスクリプションハブ」の普及促進という狙いがある。サブスクリプションハブとは、ユーザーがPayPalを通じて支払っている月額や年額の各種サービス(例えば、動画配信サービスや音楽サービスなど)の契約状況を一元的に管理できる機能のことだ。このハブを通じて、複数のサブスクリプションをリンクしたり支払いを管理したりすると、特典として50ドルのクレジットが付与されるなど、ユーザーにとっての利便性を高めつつ、PayPalのプラットフォームの利用を促進しているのだ。
Cometブラウザの技術的な基盤にも注目したい。Cometは「Chromium」というオープンソースのコードベースを基に開発されている。Chromiumとは、Google Chrome、Microsoft Edge、Operaなど、世界中で広く使われている多くの人気ウェブブラウザの土台となっている技術だ。オープンソースであるため、世界中の多数の開発者がこのコードの改善やセキュリティ強化に貢献しており、その結果、高い安定性、セキュリティ、そして拡張性を持っている。CometがChromiumをベースにしていることは、既存の優れたブラウザの利点を継承しつつ、Perplexity独自の強力なAI機能を統合していることを意味する。
実は、Perplexityは過去にGoogleが所有するChromeブラウザを345億ドルという巨額で買収しようと試みたことがある。これは、裁判所の判断によってGoogleがChromeを売却せざるを得なくなる可能性があったためだ。この買収は最終的に実現しなかったものの、このエピソードは、Perplexityがブラウザという「インターネットへの窓口」を非常に重視しており、そこに自社の最先端AI技術を深く統合し、インターネット体験そのものを変革しようという強い意欲を持っていることを示している。
このニュースは、AI技術が単なる独立したツールとしてではなく、私たちの最も身近なウェブブラウザや金融サービスといったインフラに深く組み込まれ、新しい価値を生み出し始めている現状を浮き彫りにしている。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このような技術の統合は、将来的にどのようなサービスやシステムが求められるのか、そしてAIをどのように活用して新しい価値を創造していくべきかという視点を持つ上で非常に重要な示唆を与えるものとなるだろう。AIと既存技術の組み合わせがもたらす可能性は広大であり、今後の進化から目が離せない。