【ITニュース解説】登録者にフィッシングメール、メアド流出か - フォトクリエイト

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ITニュース概要

インターネット写真サービス「フォトクリエイト」で、登録者のメールアドレスが流出した可能性がある。これにより、一部登録者に偽サイトへ誘導するフィッシングメールが送信された。同社は現在、原因や影響範囲など詳細を調査中である。

ITニュース解説

インターネット上で写真サービスを提供するフォトクリエイト社において、一部の登録者に対してフィッシングメールが送信された事案が発生した。同社は、登録されているメールアドレスが外部に流出した可能性を認め、詳細な調査を進めている。この出来事は、システム開発や運用に携わるシステムエンジニアにとって、情報セキュリティの重要性を改めて認識させる事例である。 まず、今回の事案の中心となっている「フィッシングメール」について理解する必要がある。フィッシングとは、実在する企業やサービスの名前を騙って電子メールを送りつけ、受信者を偽のウェブサイトに誘導し、ID、パスワード、クレジットカード番号といった重要な個人情報を盗み出す詐欺の手口である。今回の場合、攻撃者はフォトクリエイトから流出した可能性のあるメールアドレスリストを悪用し、同社を装ったメールを送信したと考えられる。受信者がそのメールを本物と信じてリンクをクリックし、偽サイトでIDやパスワードを入力してしまうと、その情報が攻撃者に渡り、アカウントの乗っ取りや不正利用といった二次被害につながる恐れがある。 次に、なぜメールアドレスが流出してしまったのか、その原因をシステムエンジニアの視点で考察する。情報漏洩の原因は多岐にわたるが、最も可能性が高いのは、企業のシステムに対する外部からの不正アクセスである。攻撃者は、ウェブサイトやサーバーに存在する「脆弱性」を突いて侵入を試みる。脆弱性とは、プログラムの設計ミスや不具合によって生じるセキュリティ上の欠陥のことだ。例えば、データベースへの命令文を不正に操作する「SQLインジェクション」という攻撃手法を用いられると、攻撃者はデータベースに格納されている顧客情報を丸ごと盗み出すことが可能になる。また、ウェブサーバーやOS、使用しているソフトウェアにセキュリティパッチが適用されておらず、既知の脆弱性が放置されていた場合も、侵入の足がかりとなる。このほか、サーバーのアクセス権限設定に不備があったり、管理者アカウントのパスワードが単純で推測されやすいものだったりした場合も、不正アクセスの原因となり得る。 このような情報漏洩インシデントを防ぐために、システムエンジニアは多層的な防御策を講じなければならない。第一に、システムを設計する段階からセキュリティを考慮に入れる「セキュアバイデザイン」という考え方が重要である。機能要件だけでなく、どのようにしてデータを安全に保つかを初期段階から設計に組み込むのだ。開発段階では、SQLインジェクションのような脆弱性を生み出さない安全なコードを書く「セキュアコーディング」の実践が求められる。 システムの運用段階においては、継続的なセキュリティ対策が不可欠である。OSやミドルウェア、アプリケーションの脆弱性情報を常に収集し、セキュリティパッチが公開されたら速やかに適用する「脆弱性管理」は基本中の基本だ。加えて、外部からの不正な通信を検知し、遮断するWAF(Web Application Firewall)やIDS/IPS(不正侵入検知・防御システム)といったセキュリティ機器を導入することも有効な対策となる。さらに、データベースに保存されるメールアドレスやパスワードなどの個人情報は、必ず「暗号化」しておく必要がある。暗号化とは、データを特定のルールに基づいて意味のない文字列に変換する技術であり、万が一データが盗まれても、第三者がその内容を読み取ることを困難にするための最後の砦となる。 また、どれだけ対策を講じても、攻撃を100%防ぐことは難しいのが現実である。そのため、万が一インシデントが発生してしまった場合に備え、迅速に対応するための体制を整えておくこともシステムエンジニアの重要な役割だ。これを「インシデントレスポンス」と呼ぶ。不審なアクセスを検知するためのログ監視体制を構築し、異常を検知した際には、被害範囲を特定し、原因を調査し、システムの復旧と再発防止策の策定を速やかに行う必要がある。今回のフォトクリエイト社の対応も、このインシデントレスポンスの一環と言える。 今回の事例は、メールアドレスという情報一つが漏洩するだけでも、フィッシング詐欺のような具体的な被害に直結する危険性を示している。システムエンジニアを目指す者にとって、プログラミングやインフラの知識だけでなく、ユーザーの大切な情報をいかにして守るかというセキュリティの視点を常に持ち、システム開発・運用に取り組むことの重要性を教えてくれる教訓的な出来事である。

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