【ITニュース解説】進化するPromiseオブジェクト [JS Modern Features no.2]

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ITニュース概要

ES2020以降、Promiseオブジェクトに新しい機能が追加された。`Promise.allSettled()`は全ての結果を返し、`Promise.any()`は最初に成功した結果を返す。`AbortController`でPromise処理を中断可能になった。これらの機能で、エラーハンドリングや非同期処理の制御がより柔軟になる。

ITニュース解説

Promiseオブジェクトは、JavaScriptで非同期処理を扱うための重要な仕組みだ。簡単に言うと、「将来のある時点である値が得られる」ことを約束するオブジェクトのこと。例えば、Webサーバーからデータを取得する処理や、ファイルの読み込み処理など、時間がかかる処理をスムーズに進めるために使われる。 この記事では、ES2020以降に追加されたPromiseの新しい機能について解説する。ES2020以降では、Promiseに関連する機能がいくつか追加され、より柔軟で効率的な非同期処理が可能になった。 まず、`Promise.allSettled()`について説明する。これは、複数のPromiseを並行して実行し、すべてのPromiseが完了(成功または失敗)するのを待つメソッドだ。`Promise.all()`と似ているが、`Promise.all()`は、いずれかのPromiseが失敗すると、すぐにエラーが発生して処理が中断される。一方、`Promise.allSettled()`は、すべてのPromiseの結果(成功した場合はその値、失敗した場合はその理由)を配列として返すため、個々のPromiseの成否に関わらず、すべての処理結果を知りたい場合に便利だ。例えば、複数のAPIからデータを取得する場合、一部のAPIが失敗しても、他のAPIからのデータは取得したい、という場合に`Promise.allSettled()`が役立つ。 次に、`Promise.any()`について。これは、複数のPromiseを並行して実行し、最初に成功したPromiseの結果を返すメソッドだ。すべてのPromiseが失敗した場合にのみ、AggregateErrorというエラーが発生する。`Promise.race()`と似ているが、`Promise.race()`は、最初に完了(成功または失敗)したPromiseの結果を返すのに対し、`Promise.any()`は、最初に成功したPromiseの結果のみを返す点が異なる。例えば、複数のミラーサイトから同じデータをダウンロードする場合、最初にダウンロードが完了したサイトのデータを利用したい、という場合に`Promise.any()`が役立つ。 そして、`AbortController`とPromiseを組み合わせた非同期処理の中止について説明する。`AbortController`は、非同期処理を途中でキャンセルするための仕組みを提供する。`AbortController`の`abort()`メソッドを呼び出すことで、関連付けられたPromiseをrejectさせることができる。例えば、Webサーバーから大量のデータをダウンロードしている途中で、ユーザーがキャンセルボタンを押した場合、`AbortController`を使ってダウンロード処理を中断することができる。`fetch` APIと組み合わせることで、ネットワークリクエストをキャンセルすることも可能になる。 これらの新しい機能を使うことで、より複雑な非同期処理をより簡単に、そしてより安全に実装できるようになる。例えば、複数の処理を並行して実行しつつ、エラーが発生した場合でも他の処理を継続したり、必要に応じて処理を途中でキャンセルしたりすることができる。 これらの機能は、ES2020以降でJavaScriptに導入された比較的新しい機能だが、現代のWeb開発においては非常に重要な役割を果たす。非同期処理はWebアプリケーションのパフォーマンスに大きく影響するため、これらの機能を理解し、適切に活用することで、より高速で安定したアプリケーションを開発することができる。 Promiseオブジェクト自体は、非同期処理のコールバック地獄(コールバック関数がネストしすぎてコードが読みにくくなる現象)を解消するために導入されたもの。それが進化し、より多様な非同期処理のニーズに応えられるようになった。Promiseの基本的な使い方を理解した上で、これらの新しい機能を学ぶことで、より高度な非同期処理を実装できるようになるだろう。 システムエンジニアを目指す初心者にとっては、最初は少し難しく感じるかもしれないが、実際にコードを書いて試してみることで、これらの機能の便利さを実感できるはずだ。Web開発の現場では、非同期処理は避けて通れないため、Promiseとその周辺の機能をしっかりと理解しておくことが重要だ。これらの知識は、将来的に必ず役に立つだろう。

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