【ITニュース解説】【Python】青空文庫からテキストを取得する ~夏休みの自由研究①~
2025年09月04日に「Qiita」が公開したITニュース「【Python】青空文庫からテキストを取得する ~夏休みの自由研究①~」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
Pythonを使い、青空文庫から日本の文学作品のテキストデータを取得する方法を紹介する記事。作家ごとの文章データを効率的に集め、自分の文章との比較や、将来的なテキスト分析の準備に活用できる手順を解説している。
ITニュース解説
このQiita記事は、Pythonプログラミング言語を使って青空文庫から文学作品のテキストデータを取得し、その後のデータ分析に備えて前処理を行う一連の手順を解説している。これは、特定の作家の文体と自身の文章の文体を比較するといった、具体的なデータ分析の目標達成に向けた最初のステップであるデータ収集の事例を示している。
まず、青空文庫について理解することが重要だ。青空文庫は、著作権が消滅した日本の文学作品をインターネット上で電子テキストとして無料で公開しているプロジェクトである。夏目漱石や芥川龍之介といった著名な作家の作品群が、誰でもアクセス可能な形で提供されており、プログラミング学習におけるテキストデータ収集の格好の題材となる。
システムエンジニアにとって、データはあらゆるシステムの基盤となる。この記事が示しているのは、いかにして質の良いデータを効率的に取得し、分析に適した形に加工するかというプロセスだ。この作業にPythonが選ばれているのは、データ処理、Webからの情報取得(Webスクレイピング)、ファイル操作といった多様なタスクを、比較的簡潔なコードで実現できる強力なプログラミング言語だからである。
記事では、青空文庫からテキストを取得する具体的な手順が順を追って説明されている。最初のステップは、目的の作品が青空文庫のどのURLに存在するかを特定することだ。Webサイトの構造を理解し、対象の作品ページを見つけ出す作業は、データソースを正確に特定する上で不可欠な工程である。
次に、その作品ページからテキストデータの実体であるZIPファイルをダウンロードする。Pythonではrequestsライブラリがこの役割を担う。requestsは、Webサーバーに対してリクエストを送り、Webページの内容やファイルをダウンロードするための標準的なライブラリであり、Webサービスと連携するシステム開発において頻繁に利用される。ダウンロードしたファイルは、コンピュータのローカル環境に保存される。
ダウンロードしたファイルはZIP形式で圧縮されているため、そのままではテキストとして利用できない。そこで、Pythonのzipfileライブラリを使ってこの圧縮ファイルを解凍し、中身のテキストファイルを取り出す。ZIPファイル内に複数のファイルが含まれる場合もあるため、目的のテキストファイル(多くの場合.txt形式)を正しく識別して抽出する処理が必要となる。
テキストファイルを取り出した後、その内容をPythonプログラム内で読み込む。ここで重要になるのが「エンコーディング」、つまり文字コードの指定だ。日本語のテキストファイルには、Shift_JISやUTF-8といった様々な文字コードが使われている。誤ったエンコーディングで読み込むと、いわゆる「文字化け」が発生し、意味不明な文字列になってしまう。記事では青空文庫のファイルがShift_JISであることを考慮し、適切なエンコーディングでデコードしている。
ファイルを読み込んだテキストデータは、そのままでは分析に適さない場合が多い。青空文庫のテキストには、ルビ(ふりがな)や注釈、改行コード、作家や出版に関する情報など、純粋な本文以外の要素が含まれているためだ。これらを分析に適したクリーンな状態にするために「前処理」が必要となる。
記事では、この前処理にPythonのreライブラリ、すなわち正規表現を活用している。正規表現は、特定のパターンを持つ文字列を効率的に検索、置換、削除するための強力なツールだ。例えば、ルビを表す「|」や「《》」、注釈を表す「[]」といった記号とその中身を削除したり、連続する改行を一つにまとめたり、全角スペースを半角スペースに統一したりする処理が行われる。このような整形作業は、テキストマイニングや自然言語処理を行う上でデータの品質を確保するために非常に重要であり、システムエンジニアがデータを取り扱う上で必須のスキルである。
最終的に、前処理を終えてクリーンになったテキストデータは、新たなファイルとして保存される。この保存作業にはpathlibライブラリが用いられている。pathlibは、ファイルパスやディレクトリの操作をオブジェクト指向的に扱うことができ、OSに依存しないポータブルなコードを書きやすくする。保存時にも、文字化けを防ぐためにUTF-8のような標準的なエンコーディングで保存することが推奨される。
この一連の作業は、システムエンジニアが関わるデータドリブンなシステム開発において、非常に典型的なプロセスである。Webから情報を収集し(Webスクレイピングの基礎)、それを加工・整形し、最終的に次のステップ(データ分析やデータベースへの格納)で利用できる形に変換する。このプロセスをPythonで自動化することで、手作業では膨大かつ非効率な作業を、正確かつ迅速に実行することが可能となる。システム開発では、このようなデータパイプラインを構築する能力が求められる。初心者にとって、具体的な目標(文体比較)を持ってデータ収集から前処理までの一連の流れを実践することは、プログラミングの具体的な応用力と問題解決能力を養う上で非常に良い経験となるだろう。