【ITニュース解説】The Dumbest Python Mistakes I Made (And What They Taught Me)

2025年09月04日に「Medium」が公開したITニュース「The Dumbest Python Mistakes I Made (And What They Taught Me)」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

Pythonでのプログラミングで著者が経験した「愚かな」失敗談と、そこから得られた教訓を紹介。コードを書く上で避けられない間違いをどう学びと成長に繋げるかを解説している。

ITニュース解説

プログラミングを学ぶ上で、間違いは避けられない。むしろ、間違いから学び、理解を深めることが、より良いシステムエンジニアになるための重要なステップだ。多くの経験豊かなプログラマーも、初心者時代に同じような間違いを経験し、そこから多くを学んできた。ここでは、Pythonプログラミングにおいてよくある「うっかり」ミスと、それらが教えてくれる大切な教訓について解説する。

まず、仮想環境を使わないという間違いがある。複数のPythonプロジェクトを開発する際、それぞれ異なるライブラリやそのバージョンを必要とすることがよくある。例えば、あるプロジェクトではrequestsライブラリのバージョン2.0が必要だが、別のプロジェクトではバージョン3.0が必要といった場合だ。仮想環境を使わないと、これらのライブラリがシステム全体にインストールされるため、バージョン衝突が起こり、どちらかのプロジェクトが正しく動作しなくなる可能性がある。仮想環境とは、プロジェクトごとに独立したPython実行環境を作成する仕組みで、各プロジェクトが必要とするライブラリとそのバージョンを、他のプロジェクトに影響を与えることなく管理できる。pip install virtualenvやPython 3.3以降に標準で付属するvenvモジュールを使って仮想環境を構築し、プロジェクトの依存関係をrequirements.txtファイルに記録することは、開発現場では基本的な慣習であり、将来のトラブルを未然に防ぐ重要な習慣となる。

次に、リストをイテレート中に変更するという間違いがある。Pythonのリストをforループなどで順に処理している最中に、そのリストの要素を追加したり削除したりすると、予期せぬ結果を招くことが多い。例えば、特定の条件を満たす要素をリストから削除しようとした場合、要素が削除されるとその後の要素のインデックスがずれてしまい、期待通りの処理ができなかったり、一部の要素がスキップされたりすることがある。この問題を避けるためには、元のリストを変更するのではなく、リストのコピーを作成してそれをイテレートするか、あるいは変更が必要な場合は新しいリストを作成してそこに条件を満たす要素を追加していくといった安全な方法を選ぶべきだ。これは、プログラムがデータの状態を正しく管理するための基本原則の一つである。

さらに、スコープを誤解するという間違いもよくある。Pythonには、変数が有効な範囲(スコープ)という概念がある。関数内で宣言された変数は、その関数内でのみ有効なローカル変数となり、関数外からはアクセスできない。一方、関数の外で宣言された変数はグローバル変数となり、プログラム全体からアクセス可能だ。この違いを理解せずに、関数内でグローバル変数と同じ名前のローカル変数を宣言してしまい、意図しない場所で変数の値が変わったり、逆にグローバル変数を更新したつもりがローカル変数を操作していたりすることが発生する。globalキーワードを使えば関数内からグローバル変数を変更できるが、コードの可読性を下げ、思わぬバグを生む原因になりやすいため、できるだけ避けるべきとされている。変数のスコープを正しく理解することは、複雑なプログラムの挙動を予測し、バグを減らす上で不可欠である。

また、エラーハンドリングを無視するという間違いも深刻な問題を引き起こす可能性がある。プログラムは常に完璧に動作するとは限らない。ユーザーからの予期せぬ入力、ネットワークの切断、ファイルが見つからないといった外部要因、あるいはプログラム自体の論理エラーなど、様々な理由でエラーが発生し、プログラムが突然停止(クラッシュ)することがある。このような事態に備え、Pythonではtry-exceptブロックを使ってエラーが発生しそうなコードを保護し、エラーが発生した場合の代替処理や、エラーメッセージの表示、ログ記録などを行うことができる。エラーハンドリングを適切に行うことで、プログラムの堅牢性が高まり、ユーザーエクスペリエンスが向上するだけでなく、問題の原因特定も容易になる。これは、安定したシステムを構築するために欠かせない技術である。

テストを書かないという間違いも、後々の開発コストを増大させる原因となる。コードを書いた直後はうまく動いているように見えても、機能を追加したり、既存のコードを修正したり(リファクタリング)する際に、意図せず他の部分に影響を与えてしまい、新たなバグを生み出す可能性がある。このような問題を未然に防ぎ、あるいは早期に発見するために、自動テストの導入は極めて重要だ。単体テストは個々の関数やメソッドが正しく動作するかを確認し、結合テストは複数のコンポーネントが連携して動作するかを確認する。Pythonにはunittestpytestといった優れたテストフレームワークがあり、これらを活用することで、コードの品質を高いレベルで維持し、安心して変更を加えられるようになる。テストを書くことは、開発期間の短縮と品質保証に直結する。

値をハードコードするという間違いも避けたい。データベースの接続情報、APIキー、特定のパスやURLなどの設定値をプログラムコードの中に直接書き込んでしまうと、その値が変更された場合や、開発環境・テスト環境・本番環境など異なる環境でプログラムを実行する場合に、コード自体を修正して再デプロイする必要が生じる。これは手間がかかるだけでなく、設定ミスやセキュリティリスクにも繋がる。これらの設定値は、環境変数や専用の設定ファイル(例: .envファイル、JSON、YAML形式のファイル)に記述し、プログラムからはそれらを読み込むようにすべきだ。これにより、コードと設定が分離され、柔軟性、再利用性、そしてセキュリティが向上する。特に、認証情報などの機密情報は、コードリポジトリにコミットされないように注意する必要がある。

最後に、早すぎる最適化という間違いもある。プログラミング初心者は、コードを書き始めた段階から、いかに効率的で高速なコードを書くかにこだわりがちだ。しかし、まだ正しく動作しないコードに対して最適化を行うことは、時間と労力の無駄になることが多い。多くの場合、「まずは動くものを作る、それから早くする」というアプローチが推奨される。プログラムのボトルネック(性能上の弱点)は、開発者が予想もしない場所にあることが多い。まずはコードが意図した通りに機能することを最優先し、その後にプロファイリングツールなどを使ってパフォーマンスの問題箇所を特定し、集中的に最適化を行うべきだ。早すぎる最適化は、コードの可読性を損ない、複雑さを増し、かえってバグを生む原因となることさえある。

これらの間違いとそこから得られる教訓は、Pythonプログラミングに限らず、システムエンジニアとして成長していく上で非常に価値のあるものだ。失敗を恐れず、その原因を深く理解し、より良いコードを書くための知識として吸収していく姿勢こそが、プログラミング能力を着実に向上させる秘訣となるだろう。

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