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【ITニュース解説】Day 7 of My Quantum Computing Journey: Completing Week 1 & First Steps into Quantum Programming

2025年09月14日に「Dev.to」が公開したITニュース「Day 7 of My Quantum Computing Journey: Completing Week 1 & First Steps into Quantum Programming」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

量子コンピュータ学習の1週目が完了。量子力学の基礎知識とQiskitでの実践的量子プログラミングを習得した。シュレーディンガー方程式から量子ゲート、ベル状態の作成、測定までを体験し、理論と実装を結びつけた。量子回路の基礎を固め、次週の応用学習へ進む。

ITニュース解説

このニュース記事は、量子計算の学習カリキュラム「QuCodeチャレンジ」の第7日目、つまり第1週の終わりに焦点を当てている。この日は、量子力学の理論的な基礎と、Qiskitというツールを使った実践的な量子プログラミングが初めて結びついた重要な節目であった。参加者は、量子力学の基本的な原理を深掘りすると同時に、抽象的な数学概念が実行可能な量子コードとして具体化する経験を得た。

量子力学の根幹をなす概念の一つに「シュレーディンガー方程式」がある。これは、量子システムが時間とともにどのように変化するかを記述する物理学の基本的な方程式だ。この方程式は、量子システムが情報損失のない「ユニタリーな」方法で進化することを示している。古典システムが不可逆的なプロセスで情報を失うのに対し、量子システムでは情報が保存される。量子コンピュータにおける全ての量子ゲート操作は、このシュレーディンガー方程式によって記述されるユニタリーな時間発展に対応している。例えば、ハダマールゲートやCNOTゲートを量子回路に適用することは、特定の条件下でシュレーディンガー方程式の解を実行していることに等しい。

量子状態が時間とともに変化する数学的なメカニズムは、「時間発展演算子」と呼ばれるもので提供される。これは、ある時点の量子状態から未来の量子状態を導き出すためのもので、ユニタリー性や可逆性といった性質を持つ。この数学的枠組みは、量子回路における各ゲートが特定のユニタリーな時間発展を表現することと直接的に関連している。

量子システムから古典的な情報を得るためには「量子測定」が必要不可欠となる。量子測定にはいくつかの公準(基本的な原則)があり、物理量は「エルミート演算子」で表現され、測定結果はその演算子の「固有値」として得られる。ある量子状態を測定した際、特定の固有値が得られる確率は数学的に計算できる。測定が行われると、量子システムは測定結果に対応する「固有状態」へと瞬時に変化する。これは「波束の収縮」として知られる現象で、例えば「0」と「1」の重ね合わせ状態にあったキュービットが、測定によって「0」か「1」のどちらか一方に確定する。この波束の収縮は量子力学の最も特異な側面の一つであり、量子計算では、この測定による収縮が量子アルゴリズムから計算結果を取り出す唯一の方法であると同時に、量子的な特徴である重ね合わせやエンタングルメントを破壊してしまうため、その取り扱いが重要となる。

これらの理論学習と並行して、Qiskitを用いた実践的なプログラミングセッションが行われた。このセッションでは、量子コンピュータと古典コンピュータの根本的な違いや、量子計算がなぜ重要なのかが解説された。古典コンピュータが情報をビット(0か1)で表現し逐次処理を行うのに対し、量子コンピュータはキュービット(0、1、または重ね合わせ状態)で情報を表現し、並列処理の可能性を秘める。N個のキュービットは同時に2のN乗個の状態を表現できるため、指数関数的な計算能力の向上が期待できる。量子計算は、量子現象のシミュレーション、探索・最適化問題における高速化、機械学習など、多岐にわたる分野での応用が期待されている。

QiskitはPythonベースの量子プログラミングフレームワークで、量子回路や演算子のコア機能を提供するSDK、クラウドで量子ワークロードを実行するRuntime、拡張機能のEcosystemから構成される。量子プログラム開発の一般的な流れは、まず問題を量子回路に変換し、次にターゲットとなるハードウェア向けに回路を最適化(トランスパイル)し、量子プロセッサやシミュレータで実行し、最後に結果を分析するという手順を踏む。

量子ゲートは量子アルゴリズムの基本的な操作単位だ。シングルキュービットゲートには、ビットを反転させるPauli-Xゲート、位相を反転させるPauli-Zゲート、そして重ね合わせ状態を作り出すハダマールゲートなどがある。これらはQiskitでは簡単なコマンドで記述できる。2つのキュービットを扱うゲートとしては、量子もつれを生成するCNOTゲート(Controlled-Xゲート)がある。これは、制御キュービットが「1」の状態にある場合にのみ、標的キュービットの状態を反転させる働きをする。

これらのゲートを組み合わせて、「ベル状態」のような基本的な量子もつれ状態をQiskitで構築する演習も行われた。ベル状態は、2つのキュービットが完全に相関する最も単純な量子もつれ状態の例である。例えば、初期状態が両方とも0の2つのキュービットにハダマールゲートを適用し、次にCNOTゲートを適用することで、「(|00⟩ + |11⟩)/√2」というベル状態を生成できる。この状態では、片方のキュービットを測定すると、もう片方のキュービットの状態も瞬時に確定するという、量子もつれの特徴が明確に現れる。

シングルキュービットの状態は「ブロッホ球」という3次元空間で視覚的に表現できる。ブロッホ球の北極が「0」状態、南極が「1」状態、赤道上が重ね合わせ状態を表し、量子ゲート操作はブロッホ球上での回転として表現される。

量子測定は確率的な結果をもたらすため、正確な確率分布を把握するためには同じ回路を何度も実行する必要がある。Qiskitでは、回路をシミュレータや実際のハードウェアで複数回実行し、各測定結果の出現回数(カウント)を得ることで、確率的な挙動を分析できる。ベル状態の場合、例えば「00」と「11」がそれぞれ約50%の確率で出現し、「01」や「10」はほとんど出現しないといった、量子もつれによる強い相関を示す結果が観察される。

実際に量子ハードウェアで回路を実行するためには、「トランスパイル」という最適化プロセスが不可欠である。実際の量子プロセッサは、限られた種類のネイティブゲートしかサポートせず、キュービット間の接続性にも制約があるため、書かれた論理回路を、ターゲットとなるハードウェアの制約に合わせて物理回路へと変換し、最適化する必要がある。Qiskitには、このトランスパイルを自動的に行う機能があり、最適化レベルを調整することで、回路の深さやゲート数を減らし、ノイズの影響を最小限に抑えることができる。現在の量子プロセッサは、IBM EagleやHeronのような超伝導技術をベースにしており、極低温での動作が求められる。また、キュービット間の接続性には限りがあるため、離れた位置にあるキュービットを相互作用させるためには、SWAPゲートのような追加の操作が必要となる場合もある。

量子アルゴリズムをプログラミングする際には、まず問題を量子計算に適した形に定式化し、適切な量子アルゴリズムを選択し、量子ゲートを用いて回路を構築する。その後、ハードウェア向けに回路を最適化し、量子プロセッサまたはシミュレータで実行し、測定結果を分析するという一連のワークフローを踏む。Qiskitでは、例えば「GHZ状態」のような多キュービットの重ね合わせ状態を作成する関数や、ハダマールゲートを重ねて適用することで量子干渉をデモンストレーションする回路なども容易に実装できる。

この1週間の学習は、数学的な形式が実際に動く量子コードとして具現化されるという、深い洞察をもたらした。ディラック記法で表された量子状態がコード上の量子回路となり、抽象的なユニタリー行列が具体的なゲートコマンドに変換され、複雑なテンソル積がマルチキュービット操作としてプログラミングされる様は、数学的基盤が具体的な目的を持つことを実感させた。わずか数行のQiskitコードで、指数関数的に巨大な状態空間を持つ量子システムを構築できる力、そしてグローバーの探索アルゴリズムやショアの因数分解アルゴリズムのような量子アルゴリズムがもたらす速度向上の可能性を実感できることは、量子プログラミングの大きな魅力である。

Week 1の学習は、複素数と線形代数、確率論、古典計算の限界から始まり、シュレーディンガー方程式や量子測定といった量子力学の根幹を理解し、Qiskitを用いた実践的な量子プログラミングへと繋がった。この過程を通じて、参加者は単なる数学的な抽象概念を学ぶ段階から、実際に量子アルゴリズムを実装する量子プログラマーへと進化した。シュレーディンガー方程式は、もはや単なる数式ではなく、量子回路を動かすエンジンとして認識されるようになったのだ。

続くWeek 2では、キュービットとブロッホ球、量子ゲートと回路、重ね合わせと干渉、量子もつれ、量子測定とノー・クローニング定理といった、より深い量子計算の核心概念が扱われる予定である。今日のプログラミングの基礎があれば、これらの高度なトピックも理論的な深さと実践的なコーディング経験の両面から理解を深めることができるだろう。

この学習を通して得られた重要な洞察として、シュレーディンガー方程式があらゆる量子進化を支配する根本的な法則であること、量子測定が量子世界と古典世界を繋ぐ橋渡し役であること、ユニタリー性が情報保存を保証し量子操作が可逆であること、そして量子力学の公準が量子計算の完全な枠組みを提供している点が挙げられる。実践面では、Qiskitが複雑な量子操作をシンプルなPythonコマンドとして提供し、量子プログラミングを身近なものにしていること、量子回路の可視化が数学的概念と実装を結びつける助けとなること、シミュレーションが実際の高価なハードウェアなしでの実験を可能にすること、トランスパイルが実際の量子ハードウェアでの実行に不可欠な最適化プロセスであること、そして測定統計が量子力学的予測を実証する手段となることが明らかになった。

理論と実践が互いに補強し合い、しっかりとした基礎構築がより高度なトピックへのアクセスを容易にし、専門家による指導が抽象的な概念を実用的なスキルへと転換させ、コミュニティでの学習が新たな視点をもたらすという、学習プロセス自体の有効性も再認識された。この1週間は、単なる数学的な抽象化から、現実の量子アルゴリズムを実装する段階へと進化するための重要なステップとなった。