【ITニュース解説】ランサムウェアで要再考の「バックアップ」 クラウドが起こした製品の変化とは?

2025年09月05日に「TechTargetジャパン」が公開したITニュース「ランサムウェアで要再考の「バックアップ」 クラウドが起こした製品の変化とは?」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

ランサムウェア攻撃でバックアップデータが標的となり、従来のバックアップ方法が見直されている。マルチクラウド環境の普及も影響し、バックアップ製品は進化。データを複数の場所に分散したり、クラウド上で安全に保管したりする対策が重要になっている。企業は自社の環境に合わせたバックアップ戦略を再検討する必要がある。

ITニュース解説

ランサムウェア攻撃の進化とクラウド普及が、バックアップのあり方に大きな変化をもたらしている。従来のバックアップは、システム障害や災害からの復旧を目的としていたが、近年ではランサムウェア攻撃からの保護という役割が非常に重要になっている。ランサムウェアは、データを暗号化して身代金を要求するマルウェアの一種で、感染すると業務停止につながる深刻な被害を引き起こす。

従来のバックアップ戦略では、バックアップデータ自体がランサムウェアに感染するリスクがあった。攻撃者は、本番環境だけでなく、バックアップデータも暗号化することで、企業に身代金の支払いを強要する。そのため、バックアップデータを安全に保護するための対策が不可欠になっている。

クラウド環境の普及は、バックアップ製品のトレンドに大きな影響を与えている。企業は、オンプレミス環境だけでなく、複数のクラウド環境を利用するマルチクラウド戦略を採用するケースが増えている。これにより、バックアップ対象のデータが分散し、管理が複雑化している。

このような状況に対応するため、バックアップ製品は、以下のような進化を遂げている。

1. 不変ストレージ(イミュータブルストレージ)の採用

不変ストレージは、一度書き込んだデータを変更または削除できないストレージのこと。ランサムウェアに感染した場合でも、不変ストレージに保存されたバックアップデータは保護されるため、安全に復旧することができる。多くのバックアップ製品が、この不変ストレージをサポートしており、ランサムウェア対策の重要な要素となっている。

2. オフサイトバックアップの強化

オフサイトバックアップとは、本番環境とは別の場所にバックアップデータを保存すること。オンプレミス環境にバックアップデータを保存している場合、災害やランサムウェア攻撃によって、本番環境とバックアップデータが同時に被害を受ける可能性がある。オフサイトバックアップは、このようなリスクを軽減するために有効な手段となる。クラウドストレージは、手軽にオフサイトバックアップを実現できるため、多くの企業で利用されている。

3. バックアップデータの検証

バックアップデータが正常に復元できるかどうかを定期的に検証することも重要。バックアップ自体は正常に完了していても、データが破損していたり、ランサムウェアに感染していたりする可能性がある。定期的な検証を行うことで、万が一の事態に備えることができる。多くのバックアップ製品には、自動でバックアップデータを検証する機能が搭載されている。

4. クラウドネイティブなバックアップ

クラウド環境に特化したバックアップ製品も登場している。これらの製品は、クラウド環境の特性を活かし、スケーラビリティや可用性の高いバックアップを実現する。例えば、クラウド事業者が提供するバックアップサービスを利用することで、インフラの管理を気にすることなく、手軽にバックアップを行うことができる。

5. バックアップ製品とセキュリティ製品の連携

バックアップ製品とセキュリティ製品を連携させることで、より高度なランサムウェア対策を実現できる。例えば、セキュリティ製品がランサムウェアを検知した場合に、自動的にバックアップを開始したり、バックアップデータからランサムウェアの感染源を特定したりすることができる。

企業がランサムウェア対策としてバックアップを再考する際には、上記のポイントを踏まえ、自社の環境に最適なバックアップ戦略を策定する必要がある。特に、不変ストレージの採用、オフサイトバックアップの強化、バックアップデータの検証は、ランサムウェア対策の基本となる。クラウド環境の利用状況やセキュリティ対策との連携も考慮し、総合的なバックアップ戦略を構築することが重要。

【ITニュース解説】ランサムウェアで要再考の「バックアップ」 クラウドが起こした製品の変化とは? | いっしー@Webエンジニア