【ITニュース解説】“時は来た”―ReiserFS、Linux 6.13でカーネルから完全に削除へ

2024年11月22日に「Gihyo.jp」が公開したITニュース「“時は来た”―ReiserFS、Linux 6.13でカーネルから完全に削除へ」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

古いファイルシステムReiserFSが、Linuxカーネル6.13から削除される。開発が停滞し、メンテナンスも困難になったため。他のファイルシステムへの移行が推奨され、今後は利用できなくなる。Linuxカーネルは常に進化しており、不要な機能は整理される。

ITニュース解説

LinuxカーネルからReiserFSが削除されるというニュースは、システムエンジニアを目指す初心者にとって、ファイルシステムとLinuxの歴史、そして技術の進化について学ぶ良い機会となる。

ReiserFSとは、かつてLinuxで利用されていたファイルシステムの一つだ。ファイルシステムとは、ハードディスクやSSDなどの記憶装置にデータをどのように保存し、管理するかを定める仕組みのこと。Windowsで言うところのNTFSやFAT32、macOSで言うところのAPFSと同じように、Linuxにもext4、XFS、Btrfsなど様々なファイルシステムが存在する。

ReiserFSは、Hans Reiser氏によって開発され、2001年にLinuxカーネル2.4系に初めて組み込まれた。当時のファイルシステムと比較して、特に小サイズのファイルを効率的に扱うことができるという特徴があった。これは、ディレクトリ内に複数の小さなファイルをまとめて格納する「tail packing」という技術によるものだ。ウェブサーバーのキャッシュファイルなど、小さなファイルが大量に存在する環境では、ReiserFSは優れたパフォーマンスを発揮した。

しかし、ReiserFSにはいくつかの問題点もあった。まず、開発者であるHans Reiser氏が重大な犯罪を犯したことにより、コミュニティからの信頼を失った。開発が停滞し、積極的にメンテナンスされることがなくなったことが大きな要因だ。次に、ジャーナリング機能の実装に問題があり、データ消失のリスクが他のファイルシステムよりも高いという指摘もあった。ジャーナリングとは、ファイルシステムの変更内容を事前に記録しておくことで、システムがクラッシュした場合でもデータを復旧しやすくする技術のことだ。ReiserFSのジャーナリングは、完全なデータ保護を提供していなかったため、信頼性に欠ける部分があった。

さらに、ext3、ext4、XFS、Btrfsといった、より高性能で信頼性の高いファイルシステムが登場したことも、ReiserFSの衰退を加速させた。ext3はジャーナリング機能を強化し、ext4はより大容量の記憶装置に対応できるようになり、XFSは大容量ファイルの扱いに優れ、Btrfsは先進的な機能(スナップショット、圧縮など)を備えている。これらのファイルシステムは、ReiserFSが持っていた利点を凌駕し、より多くのユーザーに支持されるようになった。

LinuxカーネルからReiserFSが削除されるということは、ReiserFSを利用するユーザーがほぼいなくなったということを意味する。Linuxカーネルは、常に最新の技術を取り入れ、古い技術を整理することで、効率的かつ安定的に動作するように維持されている。ReiserFSは、その役割を終え、過去の技術として扱われることになったのだ。

システムエンジニアを目指す初心者は、今回のニュースを通して、ファイルシステムの重要性、技術の進化、そしてコミュニティの役割について学ぶことができる。ファイルシステムは、OSの根幹を支える重要な技術であり、システムのパフォーマンスや安定性に大きな影響を与える。新しい技術が登場し、古い技術が淘汰されていくのは、IT業界では日常茶飯事だ。常に新しい技術を学び続ける姿勢が重要となる。また、オープンソースソフトウェアの開発においては、コミュニティの存在が不可欠であり、技術的な優位性だけでなく、コミュニティからの信頼を得ることも重要であることを理解しておく必要がある。

ReiserFSの削除は、過去の技術が終わりを迎える一方で、新たな技術が生まれることの象徴でもある。システムエンジニアは、常に変化するITの世界に対応できるよう、幅広い知識と柔軟な思考を身につけていく必要がある。