Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

【ITニュース解説】Rust + Flutter: How to Build Fast, Safe, Cross-Platform Mobile Apps

2025年09月15日に「Dev.to」が公開したITニュース「Rust + Flutter: How to Build Fast, Safe, Cross-Platform Mobile Apps」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Flutterで見た目を、Rustでアプリの頭脳となる処理を作り、高速で安全なスマホアプリを開発する方法だ。一度作ったRustの処理はAndroid・iOS両方で使え、バグも減り、効率的にアプリを作れる。

ITニュース解説

RustとFlutterを組み合わせたモバイルアプリ開発は、高速で安全、そして複数のプラットフォームで動作するアプリケーションを効率的に構築するための強力な手法だ。このアプローチの核心は、ユーザーインターフェース(UI/UX)の表示をFlutterに任せつつ、アプリの心臓部となる主要な処理ロジックをRustで実装することにある。この連携によって、開発者は多くの恩恵を受けられる。

まず、非常に高い性能が挙げられる。Rustで書かれたコードは、コンピューターが直接理解できる「ネイティブマシンコード」に変換されるため、処理速度が極めて速い。これは、データの暗号化、画像や動画の処理、ネットワーク通信、複雑な計算など、アプリの速度が直接ユーザー体験に影響する場面で特に重要だ。Rustを使うことで、これらの重い処理もスムーズに実行できる。

次に、クロスプラットフォームで動作するコアロジックを構築できる点も大きなメリットだ。通常、AndroidアプリはKotlinやJava、iOSアプリはSwiftやObjective-Cといった異なる言語で開発される。しかし、Rustで中心となるビジネスロジックを一度書けば、それをAndroidとiOSの両方のアプリで共有できる。これにより、複雑なコードをそれぞれのプラットフォーム向けに二度書く手間が省け、また両方のアプリで同じ動作が保証されるため、一貫性のあるユーザー体験を提供できる。

さらに、Rustは「メモリ安全性」に優れている。Rustの言語設計には、メモリの不適切な扱いに起因するバグを未然に防ぐための仕組みが組み込まれている。例えば、プログラムが意図しないメモリ領域を書き換えたり、解放済みのメモリにアクセスしようとしたりするような危険なバグの多くは、プログラムを実行する前にコンパイルの段階で検知される。これにより、アプリのクラッシュが大幅に減少し、特に認証や暗号化といった機密性の高い処理においても高い信頼性が確保される。

並行処理と非同期処理の容易さも特徴だ。最近のアプリは、複数の処理を同時に行ったり、時間がかかる処理をバックグラウンドで実行したりする必要がある。Rustは、このようなマルチスレッドや非同期プログラミングを安全かつ効率的に記述するための強力なツールを提供している。これにより、重いバックグラウンド処理が実行されていても、Flutterで構築されたユーザーインターフェースが固まることなく、スムーズに動作し続ける。リアルタイムデータの表示、チャット機能、動画ストリーミングなど、応答性が求められるアプリにとってこれは不可欠な要素だ。

Rustの「エコシステム」も非常に充実している。エコシステムとは、開発を助けるライブラリやツールの総称で、Rustでは「クレート」と呼ばれる。暗号化、ネットワーク通信、データベース操作、データ形式の変換(シリアライゼーション)、さらには機械学習まで、多岐にわたる機能を提供する豊富なクレートが存在する。これらの既存のクレートを再利用することで、開発者は高度な機能を迅速にアプリへ組み込める。

そして、アプリの「メンテナンス性」も向上する。中心となるロジックを一つのRustライブラリにまとめることで、コードの重複が減り、長期的な保守作業が簡素化される。AndroidとiOSの両方のアプリが同じコア実装を共有するため、機能の更新やバグ修正も一度の変更で両プラットフォームに適用でき、開発効率が高まる。

要するに、FlutterとRustの組み合わせは、Flutterが提供する滑らかなユーザーインターフェースと、Rustが提供する基盤ロジックの速度、安全性、クロスプラットフォームの一貫性を両立させるアプリ構築を可能にする。この設計思想は、小さな試作アプリから大規模な本格的アプリまで、あらゆる規模のプロジェクトで高い拡張性を示す。

実際に、多くの著名なアプリが同様のアプローチを採用している。例えば、TelegramはC++製のコアエンジンをメッセージング、暗号化、ネットワークプロトコル処理に利用し、高いパフォーマンスとプラットフォーム間の一貫性を実現している。Signalもセキュリティ上重要な暗号化処理にC/C++ライブラリを組み込んでいる。Discordは音声・動画パイプラインの一部にC++を使用し、低遅延で効率的なリアルタイムメディア処理を実現している。Brave Browserのモバイル版も、一貫したレンダリング速度とセキュリティのためにC++製のChromiumエンジンを組み込んでいる。これらの例は、パフォーマンスが重要でクロスプラットフォームなロジックには、ネイティブコードを組み込むことが実績ある手法であることを示している。RustをFlutterアプリに採用することは、この実績ある戦略を現代的かつ安全な形で実現する新しい選択肢となる。

RustとFlutterを連携させる具体的な方法はいくつかあるが、基本的な考え方は、Rustで共通のライブラリを作成し、それをAndroidとiOSのそれぞれのプラビルドに含め、Flutterが利用するDart言語からそのライブラリの機能にアクセスするというものだ。

一つのアプローチは「手動統合」と呼ばれる方法で、Flutterプロジェクト内にRustのライブラリを作成し、各プラットフォーム向けに個別にビルドする。例えば、Android向けには共有ライブラリファイル(.soファイル)を作成し、iOS向けにはXCFrameworkや静的ライブラリ(.aファイル)を作成する。これらのネイティブライブラリをそれぞれのプラットフォームのプロジェクト(Android StudioやXcode)に組み込み、Dart言語の「dart:ffi」という機能を使ってRustで定義された関数を呼び出す。この方法では、RustのコードをC言語のインターフェースとして公開し、Dart側でそのインターフェースに合わせて関数を呼び出すための記述が必要になる。Android NDKやXcodeといった開発環境の知識が必要となり、ビルドプロセスを細かく制御できるため、既存のFlutterプロジェクトにRustを深く組み込みたい場合や、詳細な仕組みを理解したい場合に適している。

もう一つのアプローチは、「flutter_rust_bridge (FRB)」のようなコード生成ツールを使用する方法だ。このツールを使うと、RustとFlutterの間の連携に必要な多くの設定やコードを自動で生成してくれる。具体的には、FRBのツールを使って新しいプロジェクトを作成すると、FlutterとRustの間の連携が最初から組み込まれた状態のプロジェクトが手に入る。Rust側で機能を変更したら、コマンドを実行するだけでDart側から呼び出すためのコードが自動的に更新されるため、手動での設定作業が大幅に削減される。このアプローチは、RustとFlutterを使った新しいプロジェクトを迅速に始めたい場合や、低レベルなビルドの詳細に煩わされたくない場合に非常に有効だ。

どちらの方法を選択するにしても、RustとFlutterの連携は、アプリのUIはFlutterで素早く魅力的に作成し、アプリの根幹を支えるロジックはRustで高速かつ安全に構築するという、現代のモバイルアプリ開発において非常に強力な選択肢を提供する。これにより、開発者は両方の技術の強みを最大限に活かし、ユーザーに最高の体験を提供できるアプリの開発に集中できるだろう。