【ITニュース解説】REST API in RUST with ntex

2025年09月03日に「Dev.to」が公開したITニュース「REST API in RUST with ntex」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Rust言語のntexフレームワークでREST APIを構築する方法を解説。データベース接続は扱わず、OpenAPIドキュメントの生成とSwagger UIでの表示に焦点を当てる。初心者向けに、簡単なWebサーバーからTodoリストAPIの実装まで手順を示す。

出典: REST API in RUST with ntex | Dev.to公開日:

ITニュース解説

このニュース記事は、プログラミング言語Rustを使ってREST APIを構築する手順を、システムエンジニアを目指す初心者向けに具体的に解説している。データベースへの接続は今回の範囲外とし、APIの設計、実装、そして自動生成されるドキュメント(OpenAPI仕様とSwagger UI)の提供に焦点を当てている。

まず、開発を始めるための準備として、Rustのプログラミング環境を整える必要がある。Rustの公式ツールである「Cargo(カーゴ)」を使って、新しいプロジェクトを初期化するところからスタートする。Cargoは、Rustのプロジェクト管理ツールであり、依存関係の管理やビルド、テスト、実行など、開発の様々な局面で中心的な役割を果たす。プロジェクトを初期化すると、Cargo.tomlという設定ファイルと、ソースコードを記述するsrc/main.rsファイルが作成される。コードの読みやすさを保つために、rustfmtというツールでコードのフォーマット(書式)を統一する設定も紹介されている。これはチーム開発において、個々人のコーディングスタイルが異なっても、自動的に統一されたフォーマットを適用できるため、非常に重要な工程だ。

次に、APIを構築するための土台となるWebフレームワーク「ntex(エヌテックス)」を導入する。Webフレームワークは、HTTPリクエストの処理やルーティング(URLとコードの紐付け)、レスポンスの生成など、Webアプリケーション開発に必要な共通機能を提供するライブラリ群だ。ntexは非同期処理を効率的に扱うためのフレームワークであり、「async/await(アシンク/アウェイト)」という仕組みを使って、同時に複数の処理を実行できる高性能なAPIサーバーを構築できる。非同期処理の実行には「ランタイム」が必要で、この記事では人気のある「tokio(トキオ)」を選んでntexの依存関係として追加する。

実際にコードを書き始め、最初に「Hello world!」と応答する非常にシンプルなHTTPサーバーを作成する。これは、指定されたURL(この場合はルートパス/)にアクセスがあったときに、文字列「Hello world!」を返すというものだ。ntex::mainというマクロを使うことで、非同期処理を扱うためのメイン関数を簡単に記述できる。作成したサーバーは、cargo runコマンドで簡単に起動でき、curlコマンドのようなツールを使って、その動作を確認できる。

基本的なサーバーが動作したところで、より実践的なAPIへとステップアップする。複数のエンドポイント(特定のURLに紐付けられた処理)を管理しやすくするため、src/servicesという新しいディレクトリを作成し、そこに各エンドポイントの処理をモジュールとして分離する。これにより、コードの保守性が向上し、大規模なアプリケーションでも見通しが良くなる。また、定義されていないURLへのアクセスに対しては、「404 Not Found」というエラーレスポンスを返す「デフォルトサービス」を設定する方法も紹介されている。

API開発ではデータの送受信が不可欠であり、通常はJSON形式が用いられる。RustでJSONデータを扱うために、「serde(サーデ)」と「serde_json(サーデ・ジェイソン)」というライブラリが追加される。serdeは、Rustのデータ構造とJSONのようなデータ形式との間で変換を行うための強力なフレームワークだ。また、APIのエラー応答を統一的に扱うため、「HttpError」というカスタムエラー型が定義される。これにより、APIがエラーを返す際に、一貫した形式でステータスコードとエラーメッセージを提供できるようになる。

具体的なAPIの例として、TODOリストを管理するAPIを作成する。TODOリストの取得、作成、更新、削除といった一連の操作(CRUD操作と呼ばれる)に対応するエンドポイントが定義される。これらのエンドポイントは、src/services/todo.rsというファイルにまとめられる。さらに、TODOアイテムのデータ構造を定義するためにsrc/models/todo.rsが作成され、TodoTodoPartialという二つの構造体が導入される。これらの構造体には、serdeのマクロに加えて「utoipa(ユートイパ)」というライブラリのマクロも適用される。utoipaは、後述するOpenAPI仕様を自動生成するために使用される。

このニュース記事の大きな特徴の一つは、APIドキュメントの自動生成と表示に焦点を当てている点だ。APIの仕様を記述する国際標準である「OpenAPI仕様」を自動生成し、それをブラウザで視覚的に確認できる「Swagger UI(スワガー・ユーアイ)」を提供する。これは、API開発者と利用者双方にとって非常に有用な機能だ。APIのエンドポイントやデータモデルにutoipaのマクロを付与するだけで、APIのパス、期待されるリクエストボディ、可能なレスポンス(成功時、エラー時)などが自動的にOpenAPI仕様としてまとめられる。そして、src/services/openapi.rsというファイルでSwagger UIを提供するためのエンドポイントを設定すると、http://localhost:8080/explorer/のようなURLにアクセスするだけで、インタラクティブなAPIドキュメントを閲覧できるようになる。

最後に、開発したRustアプリケーションを本番環境で運用する際に役立つ「Docker(ドッカー)」の利用法が「ボーナス」として紹介されている。Dockerは、アプリケーションとその実行に必要なすべてのものを「コンテナ」と呼ばれる独立した環境にパッケージ化する技術だ。これにより、開発環境と本番環境の間で一貫した動作を保証し、デプロイ(配置)を容易にする。記事では、Rustアプリケーションをビルドし、実行可能なバイナリを非常に軽量なDockerイメージに格納するためのDockerfileの記述方法が示されている。さらに、Cargo.tomlのリリースプロファイルを最適化することで、最終的なバイナリサイズを最小限に抑える工夫も紹介されており、効率的なデプロイに向けた知見が提供されている。

この一連の解説を通じて、Rustという言語の堅牢性とntexフレームワークの効率性、そして現代のAPI開発に不可欠なドキュメント自動生成の重要性が理解できるだろう。システムエンジニアを目指す初心者にとって、これらの技術はWebサービスのバックエンド開発の基礎を学ぶ上で非常に価値のある内容である。