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【ITニュース解説】how fast is swift? Heavy Metal Edition (feat Nardi)

2025年09月17日に「Reddit /r/programming」が公開したITニュース「how fast is swift? Heavy Metal Edition (feat Nardi)」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Swiftの速度を粒子シミュレーションで検証した記事。M1 Air環境で、SwiftはRustより遅いがJavaScript (V8)より速いと判明した。特にSIMD命令のサポートが優れている。

ITニュース解説

今回のニュース記事は、プログラミング言語「Swift」の実行速度について、実際のプログラムを使って詳しく検証した結果を報告している。特に、システムエンジニアを目指す皆さんにとって、どの言語がどれくらいの速さで動くのか、なぜその速度差が生まれるのかを理解することは、将来のシステム設計や開発において非常に重要な基礎知識となる。

まず、Swift言語について簡単に説明する。Swiftは、Apple社が開発したプログラミング言語で、主にiPhoneやiPadのアプリ、macOSのデスクトップアプリ、Apple Watchのアプリなど、Apple製品向けのソフトウェア開発に広く使われている。この言語は、安全性とパフォーマンス、そして開発のしやすさを両立させることを目指して設計された。しかし、その「パフォーマンス」が具体的にどの程度なのか、特に計算負荷の高い処理においてどれくらいの速さが出せるのかは、常に注目されるポイントだ。

今回の検証では、「粒子シミュレーション」という、非常に多くの計算を必要とする処理を用いて、Swiftの速度を測定している。粒子シミュレーションとは、多数の小さな粒子の動きや相互作用をコンピュータ上で再現するもので、例えば物理学の研究、映画の特殊効果、ゲーム内の液体や煙の表現など、幅広い分野で利用される。このようなシミュレーションは、一つ一つの粒子の位置や速度を繰り返し計算するため、プログラミング言語の実行速度が直接シミュレーション全体の時間に影響する。そのため、言語の性能を測るには格好の題材となる。

比較対象として選ばれたのは、高性能なことで知られる「Rust」と、ウェブ開発で広く使われる「JavaScript」だ。Rustは、メモリの安全性を保ちながら非常に高速なプログラムを作成できることで評価されているシステムプログラミング言語である。C言語やC++言語に代わる次世代のシステム開発言語として注目されており、高いパフォーマンスが求められる場面で選ばれることが多い。一方、JavaScriptはウェブブラウザ上で動作するスクリプト言語として広く普及しており、ウェブサイトの動的な部分や、最近ではサーバーサイド(Node.jsなど)でも使われる。JavaScriptの実行環境として「V8エンジン」というものがよく使われるが、これはJavaScriptのコードを高速に実行できるように最適化されたプログラムだ。一般的にスクリプト言語は、Rustのようなコンパイラ言語に比べて実行速度が劣ると言われがちだが、V8エンジンのような高度な最適化によってその差は縮まっている。

検証は「M1 Air」というApple製のノートパソコンで行われた。M1チップは、Appleが独自に設計したCPU(中央処理装置)で、従来のIntel製チップに比べて高い処理性能と省電力性を兼ね備えているのが特徴だ。このチップは、ARMアーキテクチャという設計思想に基づいており、スマートフォンやタブレットで培われた技術が取り入れられている。M1 Airのような高性能なハードウェア上で、各言語がどれだけの能力を発揮できるかを見ることは、実際の開発環境に近い条件での評価となるため、非常に有意義だ。

さて、気になる検証結果だが、「SwiftはRustより遅いが、JavaScript (V8) よりは速い」という結論が出た。これは、Swiftが、最高峰のパフォーマンスを誇るRustには一歩及ばないものの、ウェブ開発で主流のJavaScriptよりは高い実行速度を持っていることを示している。言い換えれば、Swiftは「高速な部類に入る言語」として位置づけられる。システム開発において、どの程度の速度が求められるかは用途によって異なるが、Swiftが多くの一般的なアプリケーションで十分な性能を発揮できることが裏付けられたと言えるだろう。

さらに、この検証ではSwiftが「SIMD命令のサポートが素晴らしい」という特筆すべき点も指摘されている。SIMDとは「Single Instruction, Multiple Data」の略で、「単一の命令で複数のデータを同時に処理する」という意味を持つ。これは、コンピュータのCPUが持つ特別な機能の一つで、例えば大量のデータに対して全く同じ種類の計算(例:全ての数値に同じ数を足す、全ての画素の色を明るくするなど)を高速に行う際に役立つ。通常、CPUは一度に一つのデータに対して一つの計算を実行するが、SIMD命令を使えば、複数のデータをまとめて一回の命令で処理できるため、処理効率が劇的に向上する。今回の粒子シミュレーションのように、無数の粒子の位置や速度を計算する場面では、同じような計算が大量に発生するため、SIMD命令の活用は実行速度に大きく影響する。SwiftがこのSIMD命令を非常に効率良く利用できるということは、特定の種類の計算において、そのポテンシャルを最大限に引き出し、驚くほど高速な実行を実現できる可能性を秘めていることを意味する。

今回の検証結果は、システムエンジニアを目指す皆さんにとって、各プログラミング言語の特性や得意分野を理解する良い機会となる。Swiftは、単にApple製品のアプリを作るだけでなく、そのパフォーマンスとSIMDサポートの強みを活かせば、より幅広い分野での活躍が期待できる言語だ。どの言語を選ぶかは、開発するシステムの要件、求められる性能、開発チームのスキルセットなど、多くの要因によって決まるが、今回の情報が皆さんの言語選択の一助となれば幸いだ。技術の進化は速く、常に新しい情報にアンテナを張り、その本質を理解しようと努めることが、優秀なシステムエンジニアへの道につながるだろう。