【ITニュース解説】技術資格に「合格する」ための勉強法 ——IPA&AWS試験で成果を出した“実践ノウハウ”を公開
ITニュース概要
2025年7月10日の勉強会で、IPAとAWSの全認定資格に合格したENECHANGE社の岩本さんが、自身の勉強法を公開した。試行錯誤を重ねて培った「合格する」ためのノウハウのエッセンスが紹介され、実践的な学習法が語られた。
ITニュース解説
システムエンジニアを目指す初心者にとって、技術資格の取得は自身のスキルアップやキャリア形成において非常に重要な意味を持つ。目指すべき分野の専門知識を体系的に学ぶ機会となり、同時に、その知識が確かなものであることを客観的に証明する手段となるからだ。そんな技術資格に「合格する」ための実践的な勉強法が、最近開催された「Study Hack」勉強会で公開された。この勉強会では、IPA(情報処理技術者試験)とAWS認定資格のすべての区分に合格したという実績を持つENECHANGE社の岩本さんが登壇し、自らの試行錯誤を通じて培ってきた貴重なノウハウのエッセンスを紹介した。 まず、IPAとAWSの資格がシステムエンジニアにとってどのような価値を持つのかを理解することは、勉強へのモチベーションにもつながる。IPAが主催する情報処理技術者試験は、ITに関する基礎的な知識から、システム開発、プロジェクトマネジメント、情報セキュリティといった専門性の高い領域まで、幅広い知識を問う国家資格である。これは、ITエンジニアとしての土台を築き、体系的な知識を身につける上で非常に役立つ。一方、AWS認定資格は、Amazon Web Servicesという世界的に広く利用されているクラウドコンピューティングサービスの専門知識を証明する資格だ。クラウド技術は現代のITインフラを支える基盤となっており、その知識とスキルはシステムエンジニアとして働く上で不可欠なものとなっている。これらの資格を取得することは、自身の専門性を高め、転職や昇進の機会を広げるだけでなく、日々の業務における問題解決能力の向上にも直結する。 岩本さんが公開した「合格する」ための勉強法の核となるのは、単に知識を詰め込むのではなく、いかに効率的かつ継続的に学習を進めるかという点にある。そのエッセンスを具体的に見ていこう。 第一に、明確な目標設定が不可欠である。漠然と「資格を取りたい」と考えるのではなく、「なぜこの資格が必要なのか」「いつまでに合格するのか」といった具体的な目標を設定することが重要だ。例えば、特定のプロジェクトで必要だから、キャリアアップのため、といった理由を明確にし、具体的な日付をゴールに設定する。この明確な目標が、学習途中のモチベーション低下を防ぎ、最後まで走り抜ける原動力となる。 第二に、計画的な学習の実施である。合格までの期間を逆算し、長期的な学習計画と、それをさらに細分化した週ごと、日ごとの短期的な計画を立てる。無理なく継続できる学習時間やペースを自分自身で見極め、計画に落とし込むことが成功の鍵となる。計画を立てる際には、学習内容だけでなく、休憩時間や予備日も考慮に入れると良いだろう。 第三に、質の高いインプットとアウトプットの繰り返しが重要である。参考書や公式ドキュメント、オンライン学習教材などを活用して知識をインプットする際、ただ漫然と読むだけでは不十分だ。内容を自分なりに整理し、図にまとめたり、キーワードを抜き出したりして、理解を深める工夫が必要となる。可能であれば、実際に手を動かしてコマンドを試したり、AWSの無料枠などを活用してサービスを触ってみたりする実践的な学習も、知識の定着に大きく貢献する。そして、インプットした知識を定着させるためには、アウトプット学習が不可欠である。特に、過去問演習は資格勉強において最も重要な要素の一つだ。問題を解くことで、自分の知識の定着度を確認し、理解が曖昧な部分や弱点を洗い出すことができる。間違えた問題は、単に正解を覚えるのではなく、なぜ間違えたのか、その選択肢の根拠は何か、関連する知識は何があるのかを徹底的に分析し、学習を深めることが求められる。 第四に、苦手分野の徹底的な克服である。過去問演習を通じて特定された苦手な領域には、集中的に学習時間を割く必要がある。一つの参考書だけでなく、複数の教材を参考にしたり、解説動画を見たり、時には専門書を読み込んだりするなど、多角的にアプローチすることで理解を深める。苦手だからといって避けるのではなく、むしろ積極的に向き合う姿勢が合格へと導く。 第五に、効率的な時間管理とモチベーションの維持である。システムエンジニアを目指す初心者の多くは、学業や仕事と並行して資格勉強を進めることになるだろう。限られた時間を最大限に活用するため、通勤時間や休憩時間といった隙間時間を有効活用する工夫が求められる。また、集中力が途切れないよう、短時間で学習と休憩を繰り返す「ポモドーロ・テクニック」のような時間管理術も有効だ。勉強は長期戦になることが多く、途中でモチベーションが低下することもある。小さな目標を達成するたびに自分を褒める、同じ目標を持つ仲間と情報交換をする、SNSなどで学習進捗を公開してプレッシャーをかけるなど、自分なりのモチベーション維持策を見つけることが重要である。 そして何よりも、岩本さんが「試行錯誤を重ねて培った」と語るように、自分に合った学習方法を見つけ出すプロセスが非常に大切である。誰かにとって効果的だった勉強法が、必ずしも自分に合うとは限らない。様々な学習方法を試し、その都度、自分にとって何が最も効率的で効果的なのかを振り返りながら、最適なスタイルを見つけ出す柔軟な姿勢が求められる。これは、システム開発におけるアジャイル開発のように、試行と改善を繰り返しながらゴールを目指すことに似ている。 最後に、試験本番への万全な準備も忘れてはならない。試験形式に慣れるため、模擬試験を繰り返し受け、本番と同じ時間配分で問題を解く練習を積む。これにより、試験当日の緊張を和らげ、実力を最大限に発揮できるようになる。 技術資格の取得は、単なる知識の獲得に留まらない。計画を立て、継続的に努力し、困難に立ち向かう姿勢は、システムエンジニアとして働く上で求められる問題解決能力や自己管理能力を養うことにもつながる。岩本さんが公開した実践的なノウハウは、これから技術資格取得を目指す全ての人にとって、大いに参考になる貴重な指針となるだろう。