【ITニュース解説】Ubuntu 25.04(plucky)の開発; Qt 5の除外へ向けての第一歩

2024年11月08日に「Gihyo.jp」が公開したITニュース「Ubuntu 25.04(plucky)の開発; Qt 5の除外へ向けての第一歩」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

Ubuntu 25.04「plucky」の開発が始まった。大きな動きがない時期だが、GUIアプリ開発で使われる「Qt 5」を除外する計画が提案されている。これは、今後のUbuntuのシステム構成に影響を与える可能性がある。

ITニュース解説

Ubuntu 25.04「plucky」の開発が進み、Qt 5の除外という重要な動きが報じられた。これはシステムエンジニアを目指す初心者にとっても、今後の技術動向を理解する上で非常に重要な情報なので、一つずつ詳しく解説していく。

まず、「Ubuntu」とは何か。これはLinuxと呼ばれるOS(オペレーティングシステム)の一種であり、パソコンを動かすための基本的なソフトウェアである。WindowsやmacOSと同じように、ユーザーがパソコンを操作するための画面や機能を提供する。Ubuntuは特にサーバー用途や開発環境として広く利用されており、無料で利用できるオープンソースソフトウェアである点が大きな特徴だ。世界中の開発者コミュニティによって開発・維持されており、定期的に新しいバージョンがリリースされている。

次に、「Ubuntu 25.04(plucky)」という表記についてだが、これはUbuntuの特定のバージョンを指している。「25.04」はリリース時期を示し、2025年4月にリリースされる予定であることを意味する。Ubuntuのバージョン名は、通常「西暦の下二桁.月」という形式で表される。そして「plucky」というのは、そのバージョンに付けられた開発コードネームだ。Ubuntuの各バージョンには、形容詞と動物の名前を組み合わせたコードネームが付けられる慣習があり、開発中のバージョンを識別するために使われる。新しいバージョンを開発するということは、現在のUbuntuに新機能を追加したり、既存の機能の改善やバグの修正、セキュリティの強化を行ったりすることを意味する。これにより、ユーザーはより安全で高性能なシステムを利用できるようになる。

現在、「pluckyの開発が本格的に開始されたものの、宣言されたスケジュール上、大きな動きがない時期に入った」とある。これはソフトウェア開発の一般的なサイクルにおいて、開発初期段階によく見られる状況を指している。開発が始まったばかりの時期は、土台となる部分の準備や、今後の開発方針の決定、大まかな計画立てが行われることが多く、ユーザーが直接目にするような大きな機能追加やインターフェースの変更がすぐに現れるわけではない。裏側で地道な作業が進められている時期だと言える。

そして今回のニュースの焦点の一つ、「Qt 5の除外のための計画」について説明する。まず「Qt(キュート)」とは、GUI(Graphical User Interface)アプリケーションを開発するためのソフトウェアフレームワークのことだ。GUIとは、私たちがパソコンやスマートフォンの画面上で目にする、ボタンやウィンドウ、メニューといった視覚的な操作要素を指す。Qtは、プログラマーがこれらのGUIを持つアプリケーションを効率的に開発できるように、たくさんの部品やツールを提供してくれる「道具箱」のようなものだと考えるとわかりやすい。特にC++言語で書かれたアプリケーションの開発で広く使われており、デスクトップアプリケーションだけでなく、組み込みシステムやモバイルアプリケーションなど、様々な分野で活用されてきた歴史がある。

「Qt 5」というのは、そのQtフレームワークのバージョンの一つだ。現在、Qtには「Qt 6」という新しいバージョンが存在し、開発の主流はそちらに移行している。古いバージョンであるQt 5を「除外する」という計画は、UbuntuのシステムからQt 5に関連するライブラリやツールを段階的に削除していくことを意味する。これは、なぜ行われるのだろうか。

主な理由としては、技術の進化とメンテナンスのコストが挙げられる。ソフトウェアは常に進化しており、新しいバージョンでは性能の向上、新機能の追加、セキュリティの強化が行われる。古いバージョンを使い続けることは、最新の技術トレンドに対応できないだけでなく、潜在的なセキュリティリスクを抱え続けることにもつながる。また、古いバージョンのソフトウェアをサポートし続けるには、開発者コミュニティにとって多大な労力とコストがかかる。新しいバージョンのQt 6に移行することで、開発者は最新の機能を利用できるだけでなく、セキュリティパッチの提供なども長期にわたって保証されるため、より安定した開発環境を構築できる。Ubuntuプロジェクトとしては、より新しいQt 6をサポートすることにリソースを集中させ、システム全体を最新かつ効率的な状態に保ちたいと考えているのだ。

このQt 5の除外は、システムエンジニアを目指す初心者にとってどのような意味を持つのか。まず、技術の変化はIT業界において常に起こるものであり、古い技術が新しい技術に置き換わっていくプロセスを目の当たりにすることになる。Qt 5を使って開発された既存のアプリケーションは、将来的にQt 6への対応が求められる可能性があり、もし対応されなければ、新しいバージョンのUbuntu上では正常に動作しなくなるかもしれない。これは、システムを運用する側から見れば、使用しているアプリケーションが最新のOSに対応できるか常に確認する必要があることを意味する。

また、アプリケーションを開発する側から見れば、新しい技術であるQt 6の知識を習得し、それを使って開発を進めていくことが求められる。古い技術に固執せず、常に新しい技術や標準に目を向け、学習し続けることの重要性を示していると言えるだろう。ソフトウェア開発の世界では、数年で主要な技術やフレームワークが大きく変化することも珍しくないため、新しいものへの適応能力は非常に重要なスキルとなる。

今回のUbuntu 25.04の開発とQt 5の除外の動きは、オープンソースプロジェクトがどのように進化し、古い技術から新しい技術へと移行していくのかを示す良い事例だ。安定性と最新性のバランスを取りながら、より良いシステムを提供するための努力が続けられていることがわかる。システムエンジニアとして働く上で、このような技術のライフサイクルと変化の兆候を常に把握し、それに対応できる知識とスキルを身につけていくことが求められるだろう。