【ITニュース解説】MS-DOS用エディタの名作「VZ Editor」がオープンソースソフトウェアに

VZ Editor Ver1.6がオープンソースとして公開されたことは、システムエンジニアを目指す初心者にとって、過去のソフトウェア開発を知り、学ぶ上で非常に有益な出来事だ。VZ Editorは、MS-DOSという古いオペレーティングシステム上で動作するテキストエディタであり、かつて多くのプログラマーやライターに愛用されていた。

まず、MS-DOSについて簡単に説明する。MS-DOSは、Microsoft社が開発した、初期のパーソナルコンピュータで広く使われたオペレーティングシステムだ。現在主流のWindowsやmacOSのように、マウス操作を基本とするGUI（グラフィカルユーザーインターフェース）ではなく、キーボードからコマンドを入力して操作するCUI（キャラクタユーザーインターフェース）が特徴だ。

VZ Editorは、このMS-DOS上で動作するテキストエディタだ。テキストエディタは、プログラミングのソースコードを書いたり、文章を作成したりするために使用されるソフトウェアだ。VZ Editorは、その軽快な動作と、カスタマイズ性の高さから、特にプログラマーに人気があった。

今回のオープンソース化によって、VZ Editorのソースコードが誰でも自由に見られるようになった。これは、システムエンジニアを目指す人が、過去のソフトウェアがどのように作られていたのかを学ぶ上で、貴重な機会となる。

具体的にどのような点が学べるのか。まず、VZ Editorのソースコードを読むことで、C言語というプログラミング言語の使い方が学べる。VZ EditorはC言語で書かれており、当時のプログラマーがどのようにC言語を使ってソフトウェアを開発していたのかを知ることができる。C言語は現在でも、組み込みシステムやOSの開発など、重要な分野で使われているため、学ぶ価値は大いにある。

次に、限られたリソースの中でソフトウェアを効率的に動作させるための工夫を学べる。MS-DOS時代のコンピュータは、現代のコンピュータに比べて性能が非常に低い。そのため、当時のプログラマーは、メモリの使用量を最小限に抑えたり、処理速度を向上させたりするために、様々な工夫を凝らしていた。VZ Editorのソースコードには、そのような工夫が随所に散りばめられており、効率的なプログラミングのヒントを得ることができる。

さらに、ソフトウェアの設計思想や構造を学べる。VZ Editorは、テキストエディタとしての基本的な機能を備えているだけでなく、マクロ機能やキーボードカスタマイズ機能など、高度な機能も搭載している。これらの機能がどのように実装されているのかを学ぶことで、ソフトウェア全体の設計思想や構造を理解するのに役立つ。

オープンソース化されたVZ Editorは、GitHubというプラットフォームで公開されている。GitHubは、ソフトウェア開発者がソースコードを共有したり、共同で開発したりするためのプラットフォームだ。VZ Editorのソースコードをダウンロードして、自分のコンピュータで実際に動かしてみたり、ソースコードを修正して機能を拡張したりすることも可能だ。

VZ Editorのソースコードを読むことは、決して簡単ではないかもしれない。しかし、一つ一つのコードを丁寧に読み解き、当時のプログラマーの思考を追体験することで、現代のソフトウェア開発にも役立つ貴重な知識やスキルを身につけることができるだろう。

今回のVZ Editorのオープンソース化は、過去の遺産を未来に活かす、素晴らしい試みだと言える。システムエンジニアを目指す初心者は、ぜひこの機会にVZ Editorのソースコードに触れてみて、ソフトウェア開発の奥深さを体験してほしい。