【ITニュース解説】Webinar: Learn How to Unite Dev, Sec, and Ops Teams With One Shared Playbook
ITニュース概要
Dev, Sec, Opsチームの連携不足は、コードの脆弱性が原因で大きなセキュリティ問題を引き起こし、企業に数百万ドルの損害を与える。共通のルールでチームを統合し、セキュリティを強化して損害を防ぐ重要性を学ぶ。
ITニュース解説
現代のソフトウェア開発において、セキュリティはこれまで以上に重要な課題となっている。私たちが日常的に利用するアプリケーションやサービスは、無数のコードから成り立っており、そのコードに潜むごく僅かな欠陥が、時として深刻なセキュリティインシデントを引き起こす引き金となる。特に、多くのシステムがクラウド上で稼働するようになった現在、一度脆弱性が悪用されると、その被害は瞬く間に拡大し、企業の存続を揺るがすほどの金銭的、社会的な損害につながりかねない。実際に、データ侵害一件あたりの平均被害額は世界的に数億円規模に達しており、これは決して他人事ではない。 このような脅威に対抗するため、ソフトウェア開発の現場では、開発、セキュリティ、運用の各チームが連携する新しいアプローチが求められている。従来、これらのチームはそれぞれ独立した役割を担い、縦割りの組織構造で業務を進めることが一般的であった。まず開発チームがソフトウェアの機能を実装し、完成したものをセキュリティチームが検査し、最後に運用チームが本番環境へ展開して維持管理するという、一方通行のプロセスが主流だった。しかし、この方法には大きな課題が存在した。セキュリティのチェックが開発プロセスの最終段階で行われるため、問題が発見された時点ではすでに多くの開発工数が費やされており、修正には大規模な手戻りが発生する。これにより、リリースが大幅に遅延するだけでなく、修正コストも増大してしまう。また、リリースを優先するあまり、軽微と判断された脆弱性が見過ごされ、それが後に大きな問題へと発展するリスクも常に存在していた。 この課題を解決するために、まず「DevOps(デブオプス)」という考え方が広まった。これは、開発(Development)と運用(Operations)が緊密に連携し、ツールの自動化などを通じて、ソフトウェアのリリースから運用までを迅速かつ効率的に行うための文化や手法である。DevOpsの導入により、開発と運用の間の壁は取り払われ、開発サイクルは大幅に高速化した。しかし、この高速化されたプロセスの中で、セキュリティが依然としてボトルネックとなるケースが少なくなかった。 そこで登場したのが、「DevSecOps(デブセックオプス)」というアプローチである。これは、DevOpsの考え方にセキュリティ(Security)を統合し、開発プロセスの最初期段階からセキュリティを組み込むことを目指すものである。セキュリティを最終関門としてではなく、企画、設計、コーディング、テストといった開発ライフサイクル全体にわたる共有の責任と位置づける。この考え方は「シフトレフト」とも呼ばれる。つまり、開発プロセスの時間軸を左から右へと見立てた場合、従来は右端(最終段階)にあったセキュリティチェックを、できるだけ左側(初期段階)に移行させることを意味する。 DevSecOpsを実践するためには、開発、セキュリティ、運用の三者が一体となって動くことが不可欠であり、そのための指針となるのが「共有されたプレイブック」の存在である。これは、三者が共通の目標、ルール、手順に従って行動するための、いわばチームの憲法のようなものである。このプレイブックには、例えば、安全なコーディングを行うためのガイドライン、使用を許可するライブラリのリスト、開発の各段階で実施すべきセキュリティテストの自動化手順、そして万が一インシデントが発生した際の具体的な対応フローなどが含まれる。開発者はコードを書く段階でセキュリティを意識し、自動化されたツールによって脆弱性を即座に検知・修正する。セキュリティ専門家は、ルール作りや高度な脅威分析に注力し、開発チームを支援する。運用チームは、安全なインフラ構成や本番環境の継続的な監視を通じて、システム全体の堅牢性を維持する。このように、全員が同じプレイブックを共有し、それぞれの立場で責任を果たすことで、チーム間の連携は円滑になり、属人化も防ぐことができる。 このアプローチがもたらす最大のメリットは、セキュリティ品質の向上と開発スピードの両立である。脆弱性を早期に発見し修正することで、手戻りのコストと時間を劇的に削減できる。結果として、より安全なソフトウェアを、より迅速に市場へ提供することが可能になる。これは、顧客の信頼を獲得し、ビジネスの競争力を高める上で極めて重要である。莫大な損害をもたらすデータ侵害のリスクを根本から低減させるDevSecOpsは、もはや一部の先進的な企業だけのものではなく、すべてのシステム開発者が目指すべき標準的な姿となりつつある。