【ITニュース解説】Weekly Report: 複数のマイクロソフト製品に脆弱性

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ITニュース概要

複数のマイクロソフト製品に、セキュリティ上の弱点である「脆弱性」が見つかった。これを放置すると、情報漏えいやシステムへの不正侵入など、悪用される危険がある。利用者は速やかに修正プログラムを適用し、適切な対策を行う必要がある。

ITニュース解説

ソフトウェアの脆弱性とは、コンピュータープログラムやシステムに存在する「弱点」や「欠陥」のことだ。これは、ソフトウェアが本来意図しない動作をしたり、悪意のある第三者によって不正に利用されたりする可能性を指す。ちょうど、家の鍵が壊れていたり、窓が開けっ放しになっていたりするようなもので、悪い人がそこから侵入してくる恐れがある。 今回、JPCERT/CCが公開した「Weekly Report」では、マイクロソフトが提供する複数の製品にこのような脆弱性が発見されたと報じられている。マイクロソフトは、世界中の多くのコンピューターで利用されているWindowsというOSや、文書作成ソフトのWord、表計算ソフトのExcelなどが含まれるOffice製品、ウェブブラウザのEdgeなど、非常に幅広いソフトウェアを提供している。これらの基盤となる製品に弱点が見つかったということは、多くのユーザーに影響が及ぶ可能性があるということだ。 具体的にどのような影響があるのか。ニュース記事では「システムが停止する」「情報が漏えいする」「任意のコードが実行される」といった可能性が指摘されている。システム停止とは、利用しているコンピューターやソフトウェアが突然動かなくなったり、起動できなくなったりすることだ。これにより、作業中のデータが失われたり、ビジネスが中断されたりする恐れがある。情報漏えいは、個人の氏名や住所、クレジットカード情報、あるいは企業の機密情報といった大切なデータが、悪意のある第三者に盗み見られたり、外部に流出させられたりすることだ。これはプライバシーの侵害だけでなく、金銭的な被害や企業イメージの失墜にもつながる非常に深刻な問題だ。そして「任意のコードが実行される」とは、最も危険な影響の一つで、攻撃者が脆弱性を悪用して、被害者のコンピューター上で自分の好きなプログラムを勝手に動かせる状態になることを意味する。これにより、コンピューターの乗っ取り、マルウェア(悪意のあるソフトウェア)の感染、他のコンピューターへの攻撃の踏み台にされるなど、制御不能な状態に陥る可能性がある。 なぜこのような脆弱性が見つかるのか。現代のソフトウェアは非常に複雑で、何百万行ものプログラムコードで構成されていることが珍しくない。これほど大規模なプログラムを開発する過程で、人間が完璧なものを作ることは極めて難しい。どんなに注意を払っていても、思わぬミスや考慮漏れが発生し、それが弱点として残ってしまうことがあるのだ。また、悪意のある攻撃者たちは常に新しい攻撃手法を開発しており、今まで安全だと思われていた部分が、新しい視点や技術によって弱点として発見されることもある。セキュリティ研究者や、実際にソフトウェアを使っているユーザーからの報告によって、脆弱性が発見されることも多い。 マイクロソフトをはじめとするソフトウェアベンダーは、これらの脆弱性が発見されると、迅速に対応する。今回のニュースでも報じられているように、マイクロソフトはすでにこれらの脆弱性を修正するための「セキュリティ更新プログラム」をリリースした。これは「パッチ」とも呼ばれるもので、ソフトウェアの弱点部分を補強したり、修正したりするためのプログラムだ。この更新プログラムを適用することで、悪意のある攻撃者からシステムを守ることができる。 ユーザーが最も重要なことは、このセキュリティ更新プログラムを「速やかに適用する」ことだ。OSであるWindowsであれば、Windows Updateという機能を使って自動的に更新プログラムが適用されるように設定しておくことが強く推奨される。手動で確認する習慣をつけることも大切だ。Office製品やEdgeブラウザなども同様に、常に最新の状態に保つように心がける必要がある。更新を怠ると、既知の弱点を放置している状態となり、攻撃の格好の標的となってしまう。 システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このようなセキュリティに関するニュースは他人事ではない。システムエンジニア(SE)は、コンピューターシステムの設計、開発、構築、運用、保守といった幅広い業務に携わる。どの段階においても、セキュリティは最も重要な要素の一つとして常に意識していなければならない。 たとえば、システムを設計する際には、最初からセキュリティ対策を組み込んだ「セキュアバイデザイン」という考え方が重要になる。開発段階では、脆弱性を作り込まないように安全なプログラミング手法を身につけたり、開発したプログラムに脆弱性が潜んでいないか検査する技術を学んだりする必要がある。そして、システムが稼働し始めてからも、今回のニュースのように新たな脆弱性が発見されることは日常茶飯事だ。SEは、JPCERT/CCのような信頼できる情報源から最新のセキュリティ情報を常に収集し、自らが担当するシステムや顧客のシステムに影響がないかを確認し、適切なセキュリティ更新プログラムの適用計画を立て、実行する責任がある。 ニュース記事で「CVE番号」という言葉が出てくるが、これは「Common Vulnerabilities and Exposures」の略で、世界共通で脆弱性を識別するための番号のことだ。一つ一つの脆弱性にはユニークなCVE番号が割り当てられ、これにより、どの脆弱性について話しているのかを明確に区別できる。SEとしてセキュリティ情報を扱う際には、このCVE番号を使って特定の脆弱性について調査したり、情報を共有したりすることが一般的だ。 このように、ソフトウェアの脆弱性への対応は、システムを安全に運用し続けるために不可欠な業務であり、システムエンジニアの役割は非常に大きい。常に最新のセキュリティ動向にアンテナを張り、知識をアップデートし、適切な対策を講じる能力は、これからのITエンジニアにとって必須のスキルとなるだろう。今回のニュースは、日々のセキュリティ対策の重要性を改めて教えてくれるものだ。

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