【ITニュース解説】「ゼロトラスト」を根付かせるには? 実装を成功させる“7つのステップ”

2025年09月05日に「TechTargetジャパン」が公開したITニュース「「ゼロトラスト」を根付かせるには? 実装を成功させる“7つのステップ”」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

ゼロトラスト導入には時間と継続的な努力が不可欠。まずは現状把握と目標設定を行い、可視化ツールでアクセス状況を監視する。次に多要素認証やID管理を強化し、最小権限の原則を適用。マイクロセグメンテーションで境界を細分化し、継続的な監視と改善を繰り返すことが重要だ。これらのステップを着実に進めることで、ゼロトラストの実現に近づける。

ITニュース解説

ゼロトラストとは、従来の「境界防御」という考え方を根本的に覆すセキュリティモデルだ。従来のセキュリティは、社内ネットワークを「安全な場所」、社外ネットワークを「危険な場所」とみなし、境界線で防御することを基本としていた。しかし、近年、クラウドサービスの利用拡大やモバイルワークの普及により、境界線は曖昧になり、内部からの脅威も増加している。そこで、ゼロトラストは、ネットワークの内外を問わず、全てのアクセスを信用しないという前提で、厳格な認証と認可を行うことでセキュリティを確保する。

ゼロトラストを導入するにあたっては、以下の7つのステップを踏むことが重要となる。

まず、最初のステップは「現状の把握」だ。これは、組織内のIT環境全体を可視化し、何を守るべきか、どこにリスクがあるのかを明確にすることから始まる。具体的には、ネットワーク構成、利用しているアプリケーション、データの種類と保存場所、アクセス権限の設定状況などを洗い出す必要がある。この段階で、セキュリティ対策が不十分な箇所や、改善が必要な点が明らかになるはずだ。現状把握は、ゼロトラストアーキテクチャを設計するための土台となる。

次に、「目標の定義」を行う。ゼロトラストの導入によって、どのようなセキュリティ上の課題を解決したいのか、具体的な目標を設定する。例えば、「クラウドサービスへの安全なアクセスを確保する」「従業員のデバイスからの情報漏洩を防ぐ」「サプライチェーン攻撃のリスクを軽減する」といった目標が考えられる。目標は、定量的で測定可能なものにすることが望ましい。

3つ目のステップは「アーキテクチャの設計」だ。現状の把握と目標の定義に基づいて、ゼロトラストを実現するための具体的なアーキテクチャを設計する。アーキテクチャは、ID管理、デバイス認証、ネットワークセグメンテーション、データ保護など、複数の要素を組み合わせたものとなる。重要なのは、組織の規模やIT環境、ビジネスニーズに合わせて、最適なアーキテクチャを構築することだ。

4つ目のステップは「PoC(概念実証)」の実施だ。アーキテクチャ設計に基づいて、小規模な範囲でゼロトラストの検証を行う。PoCでは、実際にシステムを構築し、運用することで、アーキテクチャの有効性や運用上の課題を検証する。PoCの結果を踏まえて、アーキテクチャを改善することも重要だ。

5つ目のステップは「段階的な実装」だ。PoCで得られた知見を活かして、ゼロトラストを段階的に実装していく。最初から全てのシステムに適用するのではなく、優先順位の高いシステムから順に実装していくことが望ましい。段階的な実装により、リスクを最小限に抑えながら、着実にゼロトラストを実現することができる。

6つ目のステップは「監視と分析」だ。ゼロトラスト環境を構築した後も、継続的な監視と分析を行うことが重要だ。セキュリティイベントやログデータを分析することで、脅威を早期に発見し、対応することができる。また、監視と分析の結果は、セキュリティ対策の改善にも役立つ。

最後に、7つ目のステップは「継続的な改善」だ。ゼロトラストは、一度導入したら終わりというものではない。IT環境や脅威は常に変化するため、ゼロトラストのアーキテクチャや運用方法も継続的に改善していく必要がある。定期的な見直しや改善を行うことで、ゼロトラストの効果を最大限に引き出すことができる。

これらのステップを踏むことで、ゼロトラストの導入を成功させ、より安全なIT環境を実現することが可能になる。システムエンジニアを目指す上で、ゼロトラストの概念と実装方法を理解しておくことは、非常に重要だと言えるだろう。

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