【PHP8.x】setlocale関数の使い方

setlocale関数の使い方について、初心者にもわかりやすく解説します。

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基本的な使い方

setlocale関数は、PHPスクリプトが実行される環境の地域(ロケール)に関する情報を設定する関数です。ロケールとは、言語、国、文字エンコーディング、日付や時刻の表示形式、数値の表記方法など、地域に固有の情報の集合体です。この関数を使用することで、PHPはこれらの地域情報を正しく解釈し、日付の書式や数値の小数点の区切り方といった表示を適切に調整します。

setlocale関数は、第一引数に設定対象のカテゴリ(例えば、全てのカテゴリに影響するLC_ALL、数値表示のみに限定するLC_NUMERICなど)を、第二引数には'ja_JP.UTF-8'のような形式でロケール名を文字列で指定します。これにより、PHPスクリプトの処理が指定ロケールに基づいて行われます。

設定成功時には実際に設定されたロケール名が文字列で返され、失敗時はfalseです。指定ロケールはサーバーのオペレーティングシステムにインストールされている必要があります。setlocaleの設定はPHPスクリプト全体に影響し、日付・時刻、数値、文字列比較などの関数挙動に反映され、利用者に合わせたアプリケーションの振る舞いを実現するために重要です。

構文(syntax)

1<?php
2setlocale(LC_ALL, 'ja_JP.UTF-8');
3?>

引数(parameters)

int $category, string|array $locales, string ...$rest

  • int $category: ロケール設定のどのカテゴリを変更するかを指定する整数。
  • string|array $locales: 設定するロケールを指定する文字列または文字列の配列。
  • string ...$rest: 追加のロケールを指定する文字列。

戻り値(return)

string|false

setlocale 関数は、ロケール設定の成功・失敗に応じて、設定されたロケール文字列または false を返します。

サンプルコード

PHP setlocale が効かない理由を検証する

1<?php
2
3/**
4 * setlocale関数の動作を確認し、「動作しない」場合の一般的な原因を検証します。
5 *
6 * setlocaleが期待通りに機能しない主な理由は以下の通りです。
7 * 1. 目的のロケールがサーバー(OS)にインストールされていない。
8 * 2. OSによってロケール名の形式が異なる(例: 'ja_JP.UTF-8', 'japanese')。
9 * 3. setlocaleは一部のPHP関数(例: strftime)にしか影響を与えない。
10 *
11 * このコードはこれらの点を確認できるように作られています。
12 */
13function checkSetlocaleBehavior(): void
14{
15    // 日本のタイムゾーンを設定
16    date_default_timezone_set('Asia/Tokyo');
17
18    // サーバーにインストールされている可能性のあるロケール名を複数試すための配列。
19    // OS(Linux, Windowsなど)によって正しいロケール名が異なります。
20    $localeCandidates = [
21        'ja_JP.UTF-8', // 主にLinuxで使われる形式
22        'ja_JP.utf8',
23        'japanese',    // 主にWindowsで使われる形式
24        'ja',
25    ];
26
27    echo 'setlocale() の実行を試みます...' . PHP_EOL;
28
29    // LC_TIME は日付と時刻の書式に関する情報を設定するカテゴリです。
30    // 配列を渡すと、成功するまで順番に試されます。
31    $currentLocale = setlocale(LC_TIME, $localeCandidates);
32
33    // --- 実行結果の確認 ---
34
35    // setlocaleは成功すると設定されたロケール文字列を、失敗すると false を返します。
36    if ($currentLocale === false) {
37        echo 'ロケール設定に失敗しました。' . PHP_EOL;
38        echo 'サーバーに日本語ロケール(ja_JP.UTF-8など)がインストールされていない可能性があります。' . PHP_EOL;
39        echo '利用可能なロケールは、サーバーで `locale -a` コマンドを実行して確認できます。' . PHP_EOL;
40    } else {
41        echo 'ロケール設定に成功しました。' . PHP_EOL;
42        echo '現在の日時ロケール (LC_TIME): ' . $currentLocale . PHP_EOL;
43    }
44
45    echo PHP_EOL;
46    echo '--- 日付フォーマット関数の出力比較 ---' . PHP_EOL;
47
48    // setlocale() の影響を受ける関数の例: strftime()
49    // ロケールが日本語に正しく設定されていれば、曜日が日本語で表示されます。
50    // 注意: strftime() は PHP 8.1.0 で非推奨となりました。
51    echo 'strftime("%Y年%m月%d日 %A"): ' . strftime('%Y年%m月%d日 %A') . PHP_EOL;
52
53    // setlocale() の影響を受けない関数の例: date()
54    // date() はロケール設定を無視するため、曜日は常に英語(サーバーのデフォルト)で表示されます。
55    echo 'date("Y-m-d l"):             ' . date('Y-m-d l') . PHP_EOL;
56}
57
58// 作成した関数を実行
59checkSetlocaleBehavior();

setlocale関数は、プログラムのロケール情報を設定します。引数$categoryで設定対象のカテゴリ(日付や通貨など)を指定し、$localesにはロケール名を文字列または配列で指定します。配列で指定した場合、関数はリストの先頭から順にロケール設定を試み、最初に成功したロケールを使用します。$rest引数を使用すると、複数のロケールを個別に指定できます。

戻り値は、成功した場合に設定されたロケール名を文字列で返し、失敗した場合はfalseを返します。

このサンプルコードでは、setlocaleが期待通りに動作しない場合の一般的な原因を検証します。よくある原因として、サーバーに目的のロケールがインストールされていない、OSによってロケール名の形式が異なる、setlocaleが一部のPHP関数にしか影響を与えない、といった点が挙げられます。

コードでは、まず日本のタイムゾーンを設定し、複数のロケール名候補を試します。LC_TIMEカテゴリを使用し、日付と時刻の書式に関する情報を設定します。setlocaleの実行結果を確認し、成功または失敗のメッセージを表示します。

次に、setlocaleの影響を受ける関数strftimeと、影響を受けない関数dateの出力を比較します。strftimeはロケール設定に応じて曜日を日本語で表示しますが、dateはロケール設定を無視し、常に英語で表示します。これにより、setlocaleの動作範囲を確認できます。setlocalefalseを返す場合は、サーバーに日本語ロケールがインストールされているか確認する必要があります。

setlocale関数を使う際の注意点です。まず、ロケールがサーバーにインストールされているか確認が必要です。OSによってロケール名が異なるため、候補を複数試すと良いでしょう。setlocalestrftimeのような一部の関数にしか影響しません。date関数は影響を受けません。strftimeはPHP 8.1.0で非推奨になったため、代替手段も検討しましょう。ロケールの設定に失敗した場合、サーバーでlocale -aコマンドを実行して、利用可能なロケールを確認してください。

PHPで日本語ロケールを設定する

1<?php
2
3// ロケール設定のカテゴリを全てに指定します (LC_ALL)。
4// 第二引数には、システムがサポートしている可能性のある日本語ロケール名を複数指定します。
5// PHPは配列の要素を順に試し、最初に成功したロケールを設定します。
6// 環境によって有効なロケール名が異なるため、一般的な候補を優先順位が高いものから順に記述します。
7// 主な候補:
8//   'ja_JP.UTF-8': Linux/macOSなどのUTF-8環境で一般的
9//   'ja_JP': 一部のUnix系システムや古い環境
10//   'Japanese_Japan.932': Windows環境で一般的 (Shift-JIS)
11$setLocaleResult = setlocale(LC_ALL, 'ja_JP.UTF-8', 'ja_JP', 'Japanese_Japan.932');
12
13if ($setLocaleResult === false) {
14    // ロケールの設定に失敗した場合
15    echo "エラー: 日本語ロケールの設定に失敗しました。\n";
16    echo "お使いのシステムで利用可能なロケール名を確認してください。\n";
17} else {
18    // ロケールの設定に成功した場合
19    echo "成功: 日本語ロケールが設定されました。\n";
20    echo "設定されたロケール名: " . $setLocaleResult . "\n";
21}
22

setlocale関数は、PHPでロケール(地域化設定)を制御するために使用します。ロケールは、日付、通貨、数値などの表示形式や、ソート順序などの地域に依存する設定を決定します。

このサンプルコードでは、setlocale関数を使って、システムのロケールを日本語に設定しようとしています。第一引数LC_ALLは、全てのロケールカテゴリ(日付、通貨、数値など)に対して設定を適用することを意味します。

第二引数以降には、設定したいロケール名を文字列または配列で指定します。複数の候補を指定することで、システムがサポートしているロケールを順番に試し、最初に成功したものが設定されます。例として、'ja_JP.UTF-8'(Linux/macOSのUTF-8環境)、'ja_JP'(一部のUnix系システム)、'Japanese_Japan.932'(Windows環境)といった、代表的な日本語ロケール名を指定しています。

setlocale関数は、設定に成功した場合は設定されたロケール名を文字列で返し、失敗した場合はfalseを返します。サンプルコードでは、戻り値を $setLocaleResult 変数に格納し、設定の成否を確認しています。失敗した場合、エラーメッセージを表示し、利用可能なロケール名を確認するように促します。成功した場合は、設定されたロケール名を表示します。

ロケール設定はシステム環境に依存するため、動作しない場合は、お使いの環境で有効なロケール名を確認し、指定する必要があります。locale -aコマンドなどで確認できます。

setlocale関数は、ロケールを設定する際に環境依存性が高い点に注意が必要です。引数に指定するロケール名は、OSの種類やバージョン、設定によって異なるため、複数の候補を配列で指定し、成功するまで試すのが安全です。Windows環境ではJapanese_Japan.932、Unix系環境ではja_JP.UTF-8などが一般的ですが、環境によっては異なる可能性があります。設定に失敗した場合に備え、エラー処理を必ず実装し、利用可能なロケール名を確認する手段を提供することが重要です。戻り値がfalseの場合、ロケール設定に失敗しているため、その後の処理に影響がないよう注意してください。

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