【PHP8.x】get_called_class関数の使い方
get_called_class関数は、静的メソッドが呼び出された際のクラスの名前を取得する関数です。この関数は、主にオブジェクト指向プログラミングにおけるクラスの継承関係において、親クラスで定義された静的メソッドが子クラスから呼び出された際に、その実際に呼び出しを実行したクラス(つまり子クラス)の名前を特定したい場合に利用されます。
PHPには __CLASS__
というマジック定数がありますが、これは常にメソッドが定義されているクラス自身の名前を返します。しかし、get_called_class
関数は、遅延静的束縛(Late Static Binding)のコンテキスト、具体的には static::
キーワードが参照する先のクラスの名前を返します。
例えば、共通の処理を持つ親クラスに静的メソッドがあり、それを継承した複数の子クラスがそれぞれの文脈でそのメソッドを呼び出す場合、get_called_class
を使用することで、どのクラスからメソッドが呼び出されたかを実行時に判別できます。これにより、多態性を持つ静的メソッド内で、実行時の具体的なクラスに基づいて動的に処理を切り替えたり、関連するクラスのインスタンスを生成したりする際の柔軟性が高まります。クラス階層内での動的なクラス名解決が必要な場面で、重要な役割を担う関数です。
基本的な使い方
構文(syntax)
<?php
class MyClass {
public static function getClassName() {
return get_called_class();
}
}
echo MyClass::getClassName();
?>
引数(parameters)
引数なし
引数はありません
戻り値(return)
string
この関数は、現在実行されているメソッドが属するクラスの名前を文字列で返します。
サンプルコード
PHP get_called_classで呼び出し元クラス名を取得する
<?php
/**
* Base class to demonstrate get_called_class().
*/
class BaseClass
{
/**
* A static method that returns the name of the class from which it was called.
* This uses late static binding.
*
* @return string The name of the class that invoked this method.
*/
public static function getClassUsedForCall(): string
{
// get_called_class() returns the name of the class this static method was called on.
return get_called_class();
}
}
/**
* A derived class that extends BaseClass.
*/
class DerivedClass extends BaseClass
{
// No additional methods needed for this demonstration.
}
// Demonstrate calling the static method directly from the base class.
echo "Called from BaseClass directly: " . BaseClass::getClassUsedForCall() . PHP_EOL;
// Demonstrate calling the static method from the derived class.
echo "Called from DerivedClass: " . DerivedClass::getClassUsedForCall() . PHP_EOL;
// It can also be called from an object instance, though it's a static method.
$obj = new DerivedClass();
echo "Called from DerivedClass instance: " . $obj::getClassUsedForCall() . PHP_EOL;
?>
PHPのget_called_class
関数は、静的メソッドがどのクラスから呼び出されたかを特定するために使用されます。この関数は引数を持ちませんが、呼び出し元のクラス名を文字列として返します。
提供されたサンプルコードでは、BaseClass
に定義された静的メソッドgetClassUsedForCall
の中でget_called_class
が利用されています。このメソッドをBaseClass::getClassUsedForCall()
のように直接呼び出すと、get_called_class
はBaseClass
という文字列を返します。一方、DerivedClass
がBaseClass
を継承しており、DerivedClass::getClassUsedForCall()
のように呼び出すと、get_called_class
はDerivedClass
という文字列を返します。
これはPHPの「遅延静的束縛(Late Static Binding)」という機能によるもので、メソッドが実際に実行された時点での呼び出し元クラスを正確に取得できるためです。静的メソッドは通常クラス名で呼び出しますが、オブジェクトのインスタンスから呼び出しても、そのインスタンスのクラス名が正しく取得されます。この機能は、共通処理を持つ継承クラス群において、呼び出し元クラスに応じて異なる振る舞いをさせたい場合などに非常に有用です。
get_called_class()
関数は、静的メソッドが実際に「どのクラスから呼び出されたか」のクラス名を文字列で取得します。この関数は、メソッドが定義されたクラス名を示す__CLASS__
マジック定数とは異なり、実行時の呼び出し元のクラス名を取得する「遅延静的束縛」の機能を提供します。
初心者が間違いやすい点として、__CLASS__
と混同しないように注意が必要です。get_called_class()
は、継承関係にあるクラスで、親クラスに定義された静的メソッドを子クラスから呼び出した際に、呼び出し元の子クラス名を動的に取得したい場合に特に有用です。これにより、子クラスの具体的な振る舞いに合わせた処理を記述できます。インスタンスからの静的メソッド呼び出しでも、そのインスタンスのクラス名が返されますので、この挙動を理解して活用してください。
PHP get_called_classで呼び出し元クラス名を取得する
<?php
/**
* プログラミング言語: PHP
* 関数名: get_called_class
* 説明: このサンプルコードは、get_called_class() 関数がどのように機能するかを示します。
* この関数は、静的メソッドが呼び出された際の「呼び出し元」のクラス名を取得するために使用されます。
* 名前空間を使用しないシンプルなケースで、その動作を理解するのに役立ちます。
*/
/**
* 親クラスを定義します。
* このクラスは、get_called_class() を使用する静的メソッドを持っています。
*/
class Animal
{
/**
* この静的メソッドは、現在静的呼び出しが行われているクラスの名前を返します。
*
* @return string 呼び出し元のクラスの名前
*/
public static function whoAmI()
{
// get_called_class() は、静的メソッドを「呼び出した」クラスの名前を返します。
// これは、メソッドが「定義されている」クラス名 (__CLASS__ など) とは異なる場合があります。
return get_called_class();
}
}
/**
* Animal クラスを継承する子クラスを定義します。
* このクラスは Animal の whoAmI() メソッドを継承します。
*/
class Dog extends Animal
{
// Dog クラスは whoAmI() メソッドを直接定義していませんが、親クラスから継承しています。
}
/**
* Animal クラスを継承する別の子クラスを定義します。
*/
class Cat extends Animal
{
// Cat クラスも whoAmI() メソッドを継承しています。
}
// --- get_called_class() の動作確認 ---
// Animal クラスから直接静的メソッドを呼び出す場合
// この場合、呼び出し元もメソッドの定義元も Animal なので "Animal" が返されます。
echo "Animal::whoAmI() の結果: " . Animal::whoAmI() . PHP_EOL;
// Dog クラスから静的メソッドを呼び出す場合
// whoAmI() メソッド自体は Animal クラスで定義されていますが、
// 実際に呼び出しを行ったのは Dog クラスなので "Dog" が返されます。
echo "Dog::whoAmI() の結果: " . Dog::whoAmI() . PHP_EOL;
// Cat クラスから静的メソッドを呼び出す場合
// 同様に、呼び出しを行ったのは Cat クラスなので "Cat" が返されます。
echo "Cat::whoAmI() の結果: " . Cat::whoAmI() . PHP_EOL;
// 実行結果は、get_called_class() がメソッドの「定義元」ではなく、
// メソッドの「呼び出し元」のクラス名を正確に返すことを示しています。
// このサンプルは、名前空間を使用しないシンプルな状況での動作を示しています。
PHPのget_called_class()
関数は、静的メソッドが呼び出された際に、実際にそのメソッドを「呼び出した」クラスの名前(文字列)を取得するために使用されます。この関数は引数を一切取らず、常に呼び出し元のクラス名を文字列として返します。
通常のクラスメソッド内では、__CLASS__
マジック定数を使うとメソッドが「定義されている」クラス名を取得できますが、get_called_class()
はメソッドが継承され、子クラスから静的に呼び出された場合など、「実際に呼び出しが行われた」クラスの名前を正確に特定する点で異なります。
提供されたサンプルコードでは、Animal
クラスに静的メソッドwhoAmI()
が定義されており、この中でget_called_class()
が使われています。Dog
クラスとCat
クラスはAnimal
クラスを継承しています。
Animal::whoAmI()
を呼び出すと、メソッドの定義元も呼び出し元もAnimal
なので「Animal」と返されます。しかし、Dog::whoAmI()
を呼び出すと、whoAmI()
メソッド自体はAnimal
に定義されていますが、実際に呼び出したのはDog
クラスであるため「Dog」と返されます。同様に、Cat::whoAmI()
は「Cat」を返します。
このように、get_called_class()
は、継承関係にあるクラスから静的メソッドを呼び出す際に、現在どのクラスのコンテキストで実行されているかを判断するのに非常に役立ちます。このサンプルは、名前空間を使用しないシンプルなケースで、その基本的な動作を明確に示しています。
get_called_class()
は、静的メソッドが「定義されたクラス」ではなく、「実際に呼び出しが行われたクラス」の名前を取得する関数です。これにより、継承された静的メソッドがどのサブクラスから呼び出されたかを正確に区別でき、PHPの遅延静的バインディングを実現するために不可欠となります。
初心者は、常にメソッドが定義されたクラス名を返す__CLASS__
定数や、インスタンスのクラス名を取得するget_class($this)
との違いを混同しやすいので注意が必要です。この関数は静的な文脈で最も効果を発揮し、インスタンスメソッド内ではget_class($this)
と似た結果になることがあります。サンプルコードは名前空間なしの状況を示していますが、名前空間を使用している場合は完全修飾クラス名が戻り値となりますので、その点も理解しておきましょう。
PHP get_called_classで呼び出し元クラス名を取得する
<?php
class BaseClass {
public static function whoCalled() {
// 呼び出し元のクラス名を取得
$className = get_called_class();
echo "呼び出したクラス: " . $className . PHP_EOL;
}
}
class SubClass extends BaseClass {
public static function test() {
parent::whoCalled();
}
}
// BaseClass から呼び出す
BaseClass::whoCalled();
// SubClass から呼び出す
SubClass::test();
?>
このPHPサンプルコードは、get_called_class()
関数を使用して、静的メソッドを呼び出したクラス名を取得する方法を示しています。get_called_class()
関数は引数を取らず、呼び出したクラスの名前を文字列として返します。この関数は、静的メソッドまたは遅延静的束縛(late static binding)で使用される場合に特に役立ちます。
BaseClass
という基底クラスには、whoCalled()
という静的メソッドが定義されています。このメソッド内でget_called_class()
関数を呼び出すことで、そのメソッドを呼び出したクラスの名前を取得し、出力しています。SubClass
はBaseClass
を継承しており、test()
メソッド内でparent::whoCalled()
を呼び出すことで、基底クラスのwhoCalled()
メソッドを呼び出しています。
サンプルコードを実行すると、まずBaseClass::whoCalled()
が直接呼び出されるため、「呼び出したクラス: BaseClass」と出力されます。次に、SubClass::test()
が呼び出され、その中でparent::whoCalled()
が呼び出されるため、「呼び出したクラス: SubClass」と出力されます。
このように、get_called_class()
関数は、継承関係にあるクラス間で、どのクラスからメソッドが呼び出されたかを特定する際に役立ちます。特に、親クラスで定義されたメソッドが、子クラスによってオーバーライドされる場合に、その振る舞いを制御するために利用できます。
get_called_class()
関数は、静的メソッド呼び出しの際に、実際に呼び出されたクラス名を取得するために使用します。継承関係にあるクラスで、親クラスのメソッドが子クラスから呼び出された場合に、その子クラス名を取得できる点が重要です。self::
やstatic::
とは異なり、静的束縛(late static binding)を利用した挙動となります。
注意点として、この関数は静的コンテキスト(static context)でのみ有効です。通常のインスタンスメソッド内では期待どおりの結果が得られない場合があります。また、get_called_class()
は、呼び出し元のクラス名が解決できない場合(たとえば、グローバルスコープから呼び出された場合など)は、false
を返します。エラー処理を追加することで、より安全なコードを作成できます。