基本交換法 (キホンコウカンホウ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
基本交換法 (キホンコウカンホウ) の読み方
日本語表記
基本交換法 (キホンコウカンホウ)
英語表記
basis exchange (ベーシス エクスチェンジ)
基本交換法 (キホンコウカンホウ) の意味や用語解説
基本交換法は、データを昇順や降順といった特定の順序に並べ替えるためのソートアルゴリズムの一種である。「バブルソート」という別名で広く知られている。このアルゴリズムの基本的な考え方は極めて単純であり、隣り合う二つの要素を比較し、指定された順序(例えば昇順)になっていなければ、それらの位置を交換するという操作を繰り返すことにある。この比較と交換の操作をデータの先頭から末尾まで一通り行う処理を「パス」と呼ぶ。このパスを何度も繰り返すことで、データ全体を徐々に整列させていく。この過程で、値の大きい要素がデータの末尾方向へ、あたかも泡が水面に浮かび上がっていくかのように移動していく様子から、バブルソートという名前が付けられた。そのアルゴリズムの単純さから、プログラミング初学者がソートの概念や実装方法を学ぶ際の最初の題材として取り上げられることが多い。しかし、処理効率の観点からは性能が良いとは言えず、データ数が多くなると処理時間が著しく長くなるという欠点を持つ。そのため、実用的なシステム開発において、大規模なデータをソートする目的で基本交換法が採用されることは稀である。 基本交換法の具体的な処理手順は次のようになる。まず、ソート対象となるデータ列、例えば整数の配列があると仮定する。処理はデータ列の先頭から開始される。先頭の要素(1番目)とその隣の要素(2番目)の値を比較する。昇順でソートする場合、もし1番目の要素が2番目の要素より大きければ、二つの要素の位置を入れ替える。そうでなければ、そのままにする。次に、比較対象を一つずらし、2番目の要素と3番目の要素を同様に比較し、必要であれば交換する。この操作をデータ列の末尾まで順に繰り返していく。データ列の最後の要素とその一つ手前の要素の比較・交換が完了した時点で、一回の走査、すなわち最初のパスが完了する。この最初のパスが完了した時点で、データ列の中に存在した最も大きい値を持つ要素が、必ずデータ列の末尾に移動していることが保証される。これにより、最も大きい値の要素の位置が確定する。次のパスでは、この確定した末尾の要素は比較対象から除外してよい。したがって、二回目のパスでは、再びデータ列の先頭から開始し、末尾から二番目の要素までを対象に同様の比較と交換の操作を繰り返す。この二回目のパスが完了すると、今度はデータ列の中で二番目に大きい値を持つ要素が、末尾から二番目の位置に確定する。以降、このパスを繰り返すごとに、比較・交換を行う範囲を末尾から一つずつ狭めていく。データ列の要素数をnとすると、理論上は最大で(n-1)回のパスを実行すれば、全ての要素が正しい順序に並び、ソートが完了する。 このアルゴリズムの性能を評価する指標として計算量がある。基本交換法の計算量は、最悪の場合も平均的な場合もO(n^2)と表記される。これは、処理時間がデータ数nの二乗に比例して増加することを意味する。例えば、データ数が10倍になると、処理時間は約100倍になる。この理由は、外側のループ処理であるパスの繰り返しが最大で(n-1)回行われ、内側のループ処理である各パスでの比較・交換が最大で(n-1)回行われるため、全体の計算回数がn×nのオーダーになるからである。この特性により、データ数が数万を超えるような大規模なデータセットに対しては非現実的な処理時間となってしまう。一方で、この基本的なアルゴリズムには改良の余地がある。例えば、あるパスの実行中に一度も要素の交換が行われなかった場合、その時点でデータ列は既に完全にソートされていると判断できる。この性質を利用し、交換の有無をチェックするフラグ変数を導入し、交換が発生しなかった時点で処理を打ち切るように実装を改良すると、既にソート済みのデータやそれに近い状態のデータに対しては、処理時間を大幅に短縮できる。この場合の最良計算量はO(n)となる。また、基本交換法は「安定ソート」であるという重要な特性を持つ。安定ソートとは、同じ値を持つ要素が複数存在する場合に、ソート前のそれらの順序関係がソート後も維持されるソートアルゴリズムを指す。基本交換法では、値が等しい隣接要素は交換されないため、この安定性が保証される。この特性は、複数のキー項目でデータをソートする際などに重要となることがある。総括すると、基本交換法はアルゴリズム学習の基礎として教育的な価値は高いものの、性能的な制約から実用性は限定的である。しかし、その単純明快な動作原理と特性を理解することは、より高度で効率的なソートアルゴリズムを学ぶ上での重要な礎となる。