ダムハブ (ダムハブ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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ダムハブ (ダムハブ) の読み方

日本語表記

ダムハブ (ダムハブ)

英語表記

dumb hub (ダムハブ)

ダムハブ (ダムハブ) の意味や用語解説

ダムハブとは、ネットワークにおけるハブの一種で、受信したデータを無条件に全てのポートへ転送する機能しか持たないものを指す。インテリジェントハブやスイッチングハブといった高機能なハブと比較して、非常に単純な構造を持つ。 ダムハブの主な役割は、ネットワークに接続された複数のデバイス間でデータの物理的な伝送路を形成することである。具体的には、あるポートで受信した電気信号を、他の全てのポートに複製して送信する。この動作は、宛先アドレスの確認やフィルタリングといった処理を一切行わず、文字通り「ダム(英語のdumb:おろか、の意味)」な振る舞いであると言える。 ダムハブの構造は非常にシンプルであるため、低コストで導入できるというメリットがある。小規模なネットワーク環境や、特別な機能が不要な場合に適している。しかし、その単純な構造ゆえに、いくつかのデメリットも存在する。 最大のデメリットは、ネットワークの効率が悪化しやすい点である。ダムハブは、受信したデータを全てのポートに転送するため、本来宛先ではないデバイスにもデータが送信される。これは「コリジョン(衝突)」と呼ばれる現象を引き起こす可能性を高める。コリジョンが発生すると、データを再送する必要が生じ、ネットワーク全体のパフォーマンスが低下する。 コリジョンは、複数のデバイスが同時にデータを送信しようとした場合に発生する。ダムハブは、どのデバイスがデータを送信しているかを判断する機能を持たないため、複数のデバイスが同時に送信を開始すると、データが衝突してしまう。この問題を軽減するために、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)という仕組みが用いられる。CSMA/CDは、デバイスがデータを送信する前に、ネットワークが空いているかどうかを検知し、もし他のデバイスが送信中であれば、送信を遅らせるというものである。しかし、CSMA/CDも万能ではなく、ネットワークの負荷が高くなると、コリジョンの発生頻度が増加し、パフォーマンスの低下は避けられない。 また、ダムハブはセキュリティ上のリスクも抱えている。全てのポートにデータを転送するため、ネットワーク上の全てのデバイスが他のデバイスの通信内容を傍受することが可能になる。これは、機密情報が漏洩する危険性があることを意味する。そのため、セキュリティが重要なネットワーク環境では、ダムハブの使用は推奨されない。 ダムハブは、現在ではほとんど使用されなくなってきている。より高機能なスイッチングハブの価格が低下し、性能が向上したため、ダムハブのメリットが薄れてきたからである。スイッチングハブは、宛先アドレスに基づいてデータを特定のポートにのみ転送するため、コリジョンの発生を抑制し、ネットワークの効率を向上させることができる。また、VLAN(Virtual LAN)などの高度な機能も備えており、セキュリティの強化にも貢献する。 ダムハブの登場からスイッチングハブへの移行は、ネットワーク技術の進化を象徴する出来事と言える。ネットワークの高速化、大容量化が進むにつれて、より効率的で安全なデータ伝送のニーズが高まり、ダムハブのような単純なデバイスは、その役割を終えつつある。しかし、ダムハブの基本的な動作原理を理解することは、ネットワークの基礎を学ぶ上で非常に重要である。なぜなら、ダムハブの仕組みを知ることで、コリジョンが発生する原因や、スイッチングハブがどのようにしてネットワークの効率を向上させているのかを、より深く理解することができるからである。 システムエンジニアを目指す上で、最新の技術動向を把握することは重要であるが、同時に、基本的な技術の原理原則を理解することも不可欠である。ダムハブは、その良い例であると言えるだろう。

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