アドレス(アドレス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
アドレス(アドレス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
住所 (ジュショ)
英語表記
address (アドレス)
用語解説
アドレスとは、コンピュータシステムやネットワークにおいて、データやリソースがどこに存在するか、あるいはどのようにアクセスできるかを示すための、一意の識別子や場所を指す概念である。非常に広範な意味を持つ用語だが、その根本には「特定のものを見つけ出すための目印」という共通の役割がある。情報処理のあらゆる場面で利用されており、コンピュータが適切に機能し、互いに通信するためには、このアドレスという仕組みが不可欠である。
コンピュータの内部では、メモリや入出力デバイスといったハードウェア資源にアドレスが割り当てられている。まず、メモリ(主記憶装置)におけるアドレスは、データを一時的に保存する記憶領域の場所を示す番号である。メモリは非常に多くの小さな箱(バイト単位)の集まりとして構成されており、それぞれの箱には0番から始まる一意の通し番号が振られている。これがメモリアドレスである。CPU(中央処理装置)がプログラムの命令やデータを読み書きする際には、このメモリアドレスを指定することで、目的のデータが格納されている場所を正確に特定し、アクセスできる。例えば、ある変数に値を格納する場合、その変数がメモリ上のどこに配置されているかを示すメモリアドレスが用いられる。OS(オペレーティングシステム)は、複数のプログラムがメモリを効率的に共有できるように、物理メモリアドレスとは異なる「仮想メモリアドレス」を各プログラムに割り当てる仕組みを提供しており、プログラムはこの仮想アドレスを意識して動作する。また、プログラム内で他のデータが格納されているメモリアドレスを直接指し示す「ポインタ」という概念も、メモリアドレスの利用例の一つである。
次に、I/O(入出力)アドレスは、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタ、ネットワークカードといった周辺機器や、それらを制御するレジスタ(一時的な記憶領域)に割り当てられるアドレスである。CPUがこれらの入出力デバイスとデータをやり取りする際には、特定のI/Oアドレスを指定することで、目的のデバイスやその制御機能にアクセスする。これにより、CPUはデバイスの状態を読み取ったり、デバイスに対して命令を送信したりすることが可能になる。
コンピュータが相互に通信するネットワーク環境においても、様々な種類のアドレスが利用されている。代表的なものとして、MACアドレスとIPアドレスがある。MACアドレス(Media Access Control address)は、ネットワークインターフェースカード(NIC)などのネットワーク機器に製造時に焼き付けられる、世界中で一意の物理アドレスである。これは48ビットの番号で表現され、ネットワーク上の特定の機器を識別するために使用される。主にローカルネットワーク内でのデータフレームの送受信において、送信元と送信先の機器を特定する際に機能する。
IPアドレス(Internet Protocol address)は、インターネットプロトコルにおいて、ネットワーク上の各デバイスに割り当てられる論理的なアドレスである。MACアドレスが「機器固有の物理的な識別子」であるのに対し、IPアドレスは「ネットワーク上での接続場所を示す識別子」と考えると理解しやすい。IPアドレスは、データをインターネット上で正確な宛先に届けるためのルーティング(経路制御)において極めて重要な役割を果たす。現在は主にIPv4(32ビット)とIPv6(128ビット)の二つの形式が使われており、IPv4アドレスは「192.168.1.1」のようなドットで区切られた4つの数値で表現され、IPv6アドレスはより多くのデバイスを識別できるよう長い形式を持つ。また、IPアドレスにはインターネットから直接アクセスできる「グローバルIPアドレス」と、特定のネットワーク内部でのみ有効な「プライベートIPアドレス」がある。
さらに、IPアドレスだけでは、そのデバイス上のどのアプリケーションやサービスにデータを届けたいのかを特定できない。そこで用いられるのが「ポート番号」である。ポート番号は、IPアドレスと組み合わせて使われ、Webサーバー(通常80番)、メールサーバー(SMTPは25番、POP3は110番など)といった特定のアプリケーションやサービスを識別するための番号である。これにより、同じIPアドレスを持つデバイス上でも、異なるサービスに対して同時に通信を行うことが可能になる。ポート番号は0から65535までの範囲で設定され、特定のサービスに予約された「ウェルノウンポート」(0~1023番)などが存在する。
インターネット上のウェブサイトやファイルなどのリソースを指し示す際には、「URL(Uniform Resource Locator)」や「URI(Uniform Resource Identifier)」という形式のアドレスが利用される。URLは、リソースの場所とそのアクセス方法(プロトコル)を指定する文字列であり、「https://www.example.com/path/to/page.html」のように表現される。これには、リソースにアクセスするためのプロトコル(https)、サーバーのドメイン名(www.example.com)、そしてサーバー内のリソースのパス(/path/to/page.html)などが含まれる。ドメイン名は、人間にとって分かりやすい名前だが、実際に通信を行う際にはDNS(Domain Name System)によって対応するIPアドレスに変換(名前解決)される。
これらのアドレスは、単に場所を示すだけでなく、システムがデータや資源を正確に管理し、効率的に連携するための基盤を形成している。アドレスという概念を理解することは、コンピュータの動作原理やネットワーク通信の仕組みを深く理解する上で不可欠である。