エレクトロルミネッセンス(エレクトロルミネッセンス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

エレクトロルミネッセンス(エレクトロルミネッセンス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

エレクトロルミネッセンス (エレクトロルミネッセンス)

英語表記

electroluminescence (エレクトロルミネセンス)

用語解説

エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence, EL)は、物質に電場を加えた際に光を放出する現象のこと。簡単に言えば、電気の力で光る仕組みだ。ELは、照明やディスプレイなど、様々な分野で利用されている。

ELの原理を理解するには、まず物質内の電子の状態を知る必要がある。物質を構成する原子内の電子は、特定のエネルギー準位を持つ軌道を周回している。通常、電子は最も低いエネルギー準位にある。しかし、外部からエネルギーが与えられると、電子はより高いエネルギー準位へと励起される。この励起された電子は、不安定な状態なので、元の低いエネルギー準位に戻ろうとする。その際、エネルギーの差に相当する光を放出する。この光放出が発光現象であり、ELはその一種だ。

ELには、大きく分けて無機ELと有機ELの2種類が存在する。それぞれの特徴と仕組みを見ていこう。

無機ELは、硫化亜鉛(ZnS)などの無機化合物に電圧をかけることで発光する。硫化亜鉛にマンガンなどの発光中心となる不純物を添加し、絶縁層で挟んだ構造が一般的だ。電圧をかけると、絶縁層内で加速された電子が硫化亜鉛に衝突し、発光中心の電子を励起する。励起された電子が元の状態に戻る際に光を放出する。無機ELは、比較的高い電圧を必要とするが、寿命が長く、明るい光を得られるという特徴を持つ。以前は、EL照明や一部のディスプレイに利用されていたが、現在では有機ELの普及により、その用途は減少傾向にある。

一方、有機ELは、有機化合物に電圧をかけることで発光する。有機ELは、無機ELに比べて低い電圧で駆動できる、薄型化しやすい、色再現性が高いなどの利点を持つ。有機ELの基本的な構造は、陽極、有機発光層、陰極で構成されている。電圧をかけると、陽極から正孔(ホール)、陰極から電子が有機発光層に注入される。有機発光層内で正孔と電子が再結合すると、励起状態の分子(励起子)が生成される。励起子が基底状態に戻る際に光を放出する。

有機ELには、低分子系と高分子系がある。低分子系有機ELは、真空蒸着法という方法で有機材料を薄膜として形成する。均一な薄膜を形成しやすく、高性能なデバイスを作製できるが、製造コストが高いという欠点がある。高分子系有機ELは、印刷技術などを用いて有機材料を塗布することで薄膜を形成する。製造コストを抑えられるが、低分子系に比べて性能が劣る場合がある。

有機ELは、スマートフォン、テレビ、パソコンのディスプレイなど、幅広い用途で使用されている。特に、自己発光方式であるため、バックライトが不要で、薄型・軽量化、高コントラスト、広視野角といった特徴を持つ。また、フレキシブルディスプレイや透明ディスプレイなど、新しいディスプレイの開発にも貢献している。

ELは、エネルギー効率や寿命などの課題も抱えている。しかし、材料やデバイス構造の改良が進められており、今後の発展が期待される技術だ。特に、有機ELは、ディスプレイだけでなく、照明や医療分野など、様々な分野への応用が期待されている。システムエンジニアを目指す上で、ELの原理や種類、応用例などを理解しておくことは、今後の技術トレンドを把握する上で重要となるだろう。