誤り訂正(アヤマテイセイ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
誤り訂正(アヤマテイセイ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
誤り訂正 (アヤマテイセイ)
英語表記
Error Correction (エラーコレクショん)
用語解説
誤り訂正とは、データが通信路を伝送されたり、記憶媒体に記録・再生されたりする過程で発生した誤りを自動的に検出し、元の正しいデータに復元する技術である。デジタルデータは「0」と「1」のビット列で構成されているが、通信中のノイズや記憶媒体の物理的な傷、劣化など様々な要因によって、ビットが反転してしまうことがある。これをビットエラーと呼ぶ。たった1ビットのエラーであっても、プログラムが誤動作したり、画像や音声データが正しく再生されなかったりと、深刻な問題を引き起こす可能性がある。誤り訂正は、このようなデータの破損が発生しても、受信側や読み出し側でデータを修復し、システムの信頼性と安定性を確保するために不可欠な役割を担っている。類似の技術に誤り検出があるが、これは誤りの存在を検知するだけで、訂正は行わない。誤り検出の場合は、誤りが見つかると送信元にデータの再送を要求するなどの対策が必要になる。一方、誤り訂正は再送要求が困難な一方向の通信(例:デジタル放送)や、リアルタイム性が求められる通信、あるいはストレージからのデータ読み出しにおいて特に重要となる。
誤り訂正の基本的な原理は、データに「冗長性」を持たせることにある。これは、元のデータに加えて、誤りを検出・訂正するための余分な情報(冗長ビットや検査符号と呼ばれる)を付加して送信・記録することを意味する。受信側や読み出し側では、受け取ったデータ本体と冗長情報との間に成り立つはずの関係性を検証する。この関係性が崩れていれば誤りが発生したと判断でき、さらに、どのように崩れたかを分析することで、誤りの位置を特定し、ビットを反転させるなどして正しい状態に復元することが可能になる。
誤り訂訂正符号には様々な種類が存在するが、代表的なものとしてハミング符号やリード・ソロモン符号が挙げられる。ハミング符号は、比較的単純な仕組みで単一ビットの誤りを訂正できる符号である。この符号では、元のデータビットに対して複数のパリティビットを特定の位置に挿入する。パリティビットは、自身が担当する特定のデータビット群の中に含まれる「1」の数が偶数か奇数かを示す情報を持つ。受信側で各パリティビットの計算を行い、送信されてきたパリティビットと一致しない箇所を調べる。その不一致のパターンを組み合わせることで、どの1ビットが誤っているのかを一意に特定し、訂正することができる。ハミング符号は、その仕組みの単純さから誤り訂正の基本を学ぶ上でよく用いられ、コンピュータのメインメモリ(特にサーバーなどで使われるECCメモリ)などで利用されている。
一方、リード・ソロモン符号は、より強力な誤り訂正能力を持つ符号であり、特に「バースト誤り」に強いという特徴がある。バースト誤りとは、連続した複数のビットが一度に破損するような誤りのことである。CDやDVDの盤面に付いた傷、QRコードの一部のかすれ、無線通信における一時的な電波障害など、現実世界ではこうした誤りが頻繁に発生する。リード・ソロモン符号は、データをビット単位ではなく、複数のビットをまとめた「シンボル」という単位(例えば8ビット=1バイト)で扱う。そして、多数のシンボルからなるブロックに対して冗長シンボルを付加する。これにより、ブロック内の一部のシンボルが完全に破壊されたとしても、残りの正常なシンボルと冗長シンボルから、失われた元のシンボルを数学的な計算によって復元することができる。この強力な訂正能力から、リード・ソロモン符号はCD、DVD、Blu-ray Discといった光学ディスク、QRコード、デジタルテレビ放送、宇宙通信など、極めて広範な分野で採用されており、現代のデジタル情報社会を支える基盤技術の一つとなっている。これらの誤り訂正技術は、完全なデータの伝送や保存が物理的に困難な環境においても、私たちが情報を受け取る際にはあたかも誤りがなかったかのように見せかけることで、デジタルシステムの高い信頼性を実現している。