可変リフレッシュレート (カヘンリフレッシュレート) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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可変リフレッシュレート (カヘンリフレッシュレート) の読み方

日本語表記

可変リフレッシュレート (カヘンリフレッシュレート)

英語表記

Variable Refresh Rate (バリアブル リフレッシュ レート)

可変リフレッシュレート (カヘンリフレッシュレート) の意味や用語解説

可変リフレッシュレートは、ディスプレイの表示更新頻度(リフレッシュレート)を、グラフィックカードが出力するフレームレートに合わせて動的に変化させる技術である。従来の固定リフレッシュレートディスプレイでは、リフレッシュレートが一定に保たれていたため、グラフィックカードのフレームレートとディスプレイのリフレッシュレートの間にずれが生じることがあり、これが映像のカクつき(スタッタリング)や画面の分断(テアリング)といった表示上の問題を引き起こしていた。可変リフレッシュレート技術は、これらの問題を根本的に解決し、より滑らかで一体感のある映像体験を提供する。 詳細に説明すると、まずディスプレイのリフレッシュレートとは、画面が1秒間に何回新しい画像に書き換えられるかを示す数値であり、単位はヘルツ(Hz)である。例えば、60Hzのディスプレイは1秒間に60回画面が更新される。一方、グラフィックカードは3Dグラフィックスや動画を処理し、1秒間に生成する画像の枚数、つまりフレームレートを決定する。このフレームレートは、コンテンツの種類やPCの性能によって変動する。 固定リフレッシュレートのディスプレイを使用している場合、ディスプレイは常に一定の周期で画面を更新しようとする。ここでグラフィックカードのフレームレートとディスプレイのリフレッシュレートが一致しない場合に問題が発生する。 一つ目の問題はスタッタリング(カクつき)である。グラフィックカードがディスプレイのリフレッシュレートよりも低いフレームレートで画像を生成している場合、ディスプレイは同じフレームを複数回表示することになる。例えば、ディスプレイが60Hzで動作しているときに、グラフィックカードが40fps(フレーム/秒)しか出力できない場合、ディスプレイは新しいフレームが来るまでの間に前のフレームを再び表示するため、映像が不自然にカクついているように見える。 二つ目の問題はテアリング(画面の分断)である。グラフィックカードのフレームレートがディスプレイのリフレッシュレートよりも高い場合や、フレームレートがリフレッシュレートと非同期である場合に発生する。ディスプレイが画面を更新する途中でグラフィックカードから新しいフレームが送られてくると、画面の上半分は前のフレーム、下半分は新しいフレームというように、画面が水平方向に分断されて表示されることがある。これは特に動きの速い映像で顕著に現れる。 これらの問題を解決するために、V-Sync(垂直同期)という技術が使われてきた。V-Syncは、グラフィックカードのフレームレートをディスプレイのリフレッシュレートに同期させることでテアリングを防ぐ。具体的には、ディスプレイが画面更新を終えるまで、グラフィックカードの新しいフレームの出力を待機させる。しかし、V-Syncはスタッタリングや、入力遅延の増加、フレームレートの低下といった別の問題を引き起こすことがあった。グラフィックカードがリフレッシュレートを下回るフレームレートしか出せない場合、V-Syncはフレームレートをリフレッシュレートの約数(例えば60Hzのディスプレイで45fpsなら30fpsに落とす)に強制的に合わせようとすることがあり、これによりフレームレートがさらに大きく低下する可能性がある。 可変リフレッシュレート技術は、これらの固定リフレッシュレートとV-Syncの問題を根本的に解決する。この技術の核心は、ディスプレイのリフレッシュレートをグラフィックカードの出力フレームレートにリアルタイムで合わせることにある。つまり、グラフィックカードが新しいフレームのレンダリングを終え、それをディスプレイに送る準備ができたときに、ディスプレイはそのフレームを受け取ってすぐに表示するようにリフレッシュレートを調整する。これにより、常にディスプレイの表示とグラフィックカードの出力が同期し、スタッタリングもテアリングも発生しない滑らかな映像が実現される。 可変リフレッシュレートの具体的な実装としては、NVIDIA社のG-Sync、AMD社のFreeSync、VESA(Video Electronics Standards Association)が策定したAdaptive-Sync(DisplayPort標準の一部として)、そしてHDMI Forumが策定したHDMI VRR(Variable Refresh Rate、HDMI 2.1標準の一部として)などがある。これらの技術はそれぞれ異なるアプローチや要求されるハードウェアを持つが、目指すところはグラフィックカードとディスプレイ間の同期による滑らかな映像表示である。例えば、G-Syncはディスプレイ側に専用のモジュールを必要とするが、FreeSyncは既存のDisplayPortのAdaptive-Sync機能をベースにしており、より多くのディスプレイで採用されている。HDMI VRRはHDMI 2.1に対応するテレビやモニターで利用可能である。 可変リフレッシュレート技術を導入する主なメリットは、まず圧倒的に滑らかな映像体験である。特にPCゲームのようなフレームレートが常に変動するコンテンツにおいて、テアリングやスタッタリングに悩まされることなく、開発者が意図した通りの映像を享受できる。次に、V-Syncを有効にする必要がなくなるため、それに伴う入力遅延の増加も解消され、より応答性の高い操作が可能となる。また、コンテンツによってはフレームレートが低い時にディスプレイのリフレッシュレートも下げられるため、不必要な電力消費を抑える効果も期待できる。ただし、この技術を利用するには、対応するグラフィックカードとディスプレイの両方が必要であり、またそれぞれの技術が動作するリフレッシュレートの範囲(例えば48Hzから144Hzまでといった具合)が定められていることも考慮する必要がある。

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