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【ITニュース解説】RAG for Dummies

2025年09月14日に「Dev.to」が公開したITニュース「RAG for Dummies」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

RAGは、LLMが外部の知識ベースから最新情報を検索し、質問に最適な回答を生成する技術だ。情報を細かく分け、数値化して効率的に検索。質問と検索結果を組み合わせ、LLMがより正確で信頼性の高い応答を返す。チャットボットなどで活用され、情報の精度を高める。

出典: RAG for Dummies | Dev.to公開日:

ITニュース解説

Retrieval Augmented Generation、略してRAG(ラグ)は、大規模言語モデル(LLM)の能力を向上させ、より正確で最新の応答を提供するための機械学習技術である。LLMは膨大なテキストデータから学習しているため、一般的な知識は豊富だが、特定の専門分野の最新情報や特定の組織内の情報については、その知識が古かったり、そもそも持っていなかったりする課題がある。RAGはこの課題を解決し、LLMがより信頼性の高い、文脈に即した情報を基に回答できるように支援する重要な技術として注目されている。

RAGの仕組みは、ユーザーが大規模言語モデルに質問を投げかけることから始まる。この最初のステップが、RAGシステム全体を動かすきっかけとなる。

ユーザーからの質問を受け取ると、次に「Retrieval(検索)」のステップが実行される。ここでは、RAGシステムがユーザーの質問を利用し、外部の知識ベースから関連性の高い情報を探し出す。この外部知識ベースは、企業独自のドキュメント、最新の学術論文、特定の業界のデータベースなど、LLMが学習していない可能性のある多種多様な情報源で構成される。検索プロセスは、主に三つの技術を組み合わせて行われる。一つ目は「チャンキング」である。これは、知識ベースに格納されている膨大な情報を、効率的に検索できるよう、小さく管理しやすい「塊」(チャンク)に分割する作業を指す。例えば、長いドキュメントを意味のまとまりごとに区切るようなイメージである。二つ目は「エンベディング」である。チャンクに分割された情報は、そのままではコンピュータが意味を理解しにくい。そこで、それぞれのチャンクをその意味を捉えた数値表現、つまり「ベクトル」に変換する。これにより、意味的に近いチャンク同士は数値的にも近くに位置するようになり、コンピュータが情報の関連性を判断しやすくなる。そして三つ目は「ベクトルデータベース」である。エンベディングされたチャンクのベクトルは、このベクトルデータベースに格納される。システムはユーザーの質問も同様にベクトルに変換し、ベクトルデータベース内で、質問のベクトルと最も類似性の高いチャンクのベクトルを高速に探し出す。これが、ユーザーの質問に関連する情報を見つけ出す具体的な方法である。

検索プロセスで最も関連性の高い情報が見つかると、次の「Augmentation(拡張)」のステップに移る。ここでは、検索によって得られた情報が、ユーザーの元の質問に追加される。この結果、元の質問と検索された文脈情報が結合された、より豊かな「拡張プロンプト」が作成される。この拡張プロンプトは、LLMが回答を生成する際の強力なヒントとなり、質問の意図や必要な文脈をより明確に伝える役割を果たす。

最後に、大規模言語モデル(LLM)がこの拡張プロンプトを受け取る。LLMは、元の質問と、検索によって提供された追加の文脈情報を利用して、これまでの学習知識と照らし合わせながら、より包括的で正確な回答を生成する。このようにして、RAGシステムはLLM単独では提供できなかったであろう、より質の高い情報を提供できるようになるのである。

RAGのシステムを構築する際には、主に二種類のモデルが使用される。一つ目は「Retrieval Models(検索モデル)」である。これは、まるで情報収集の専門家のように、LLMが回答を生成する前に、外部の知識ベースから関連性の高い文書や情報を収集する役割を担う。検索モデルには、大きく分けて「Sparse(疎な)リトリーバー」と「Dense(密な)リトリーバー」がある。Sparseリトリーバーの例としては、キーワードの出現頻度などに基づいて関連性を評価するBM25やTF-IDFといった手法が挙げられる。一方、Denseリトリーバーは、単語の意味的な類似性に着目し、より高度な方法で関連情報を検索する。LlamaindexやHaystackといったツールが、このDenseリトリーバーの具体例として知られている。

二つ目は「Language Models (LLMs)(言語モデル)」である。これはRAGシステムの「生成」部分を担う中核的なコンポーネントであり、ユーザーの元のプロンプトと検索によって得られた情報を基に、その学習済みの知識を使って、首尾一貫した自然言語の応答を作成する。現代のLLMの多くは「Transformerベースモデル」と呼ばれるアーキテクチャを採用しており、GPT-2、GPT-3、BART(Bidirectional and Auto-Regressive Transformers)などが代表的な例である。また、Flan T5なども生成部分で活用されることがある。これらのモデルは、与えられた情報を解釈し、論理的かつ自然な文章を生成する能力に優れている。

RAGは、その汎用性の高さから多岐にわたる分野で応用されている。例えば、医療AIの分野では、最新の医学論文や患者の診療記録から関連情報を検索し、診断や治療計画の支援に役立てられる。カスタマーサポートの「チャットボット」や「チャットエンジン」では、顧客からの質問に対して、企業の製品マニュアルやFAQ、サポート履歴などから最適な回答を瞬時に見つけ出し、迅速かつ正確な対応を実現する。また、法律分野における法的支援においても、膨大な判例や法規の中から関連情報を抽出し、弁護士の業務を効率化するのに貢献している。

RAGの最大の目的は、静的な情報(LLMが事前に学習した時点の情報)と動的な知識(外部知識ベースにある最新情報や特定の専門情報)との間に存在するギャップを埋めることにある。これにより、LLMが生成する回答の曖昧さが減少し、精度、透明性、そして正確性が飛躍的に向上する。結果として、ユーザーはより信頼性の高い情報を得られるようになり、様々な業界での課題解決に大きく貢献する技術となっている。

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