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【ITニュース解説】Shifting Security Left: Why DevSecOps is Not Optional Anymore

2025年09月19日に「Dev.to」が公開したITニュース「Shifting Security Left: Why DevSecOps is Not Optional Anymore」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

DevSecOpsは、ソフトウェア開発の初期段階からセキュリティ対策を組み込む手法だ。サイバー攻撃が多発する現代、開発終盤でのセキュリティチェックでは遅く、コスト増大を招く。DevSecOpsは開発全工程で自動検証を行い、安全で効率的な開発を実現する。これは現代のソフトウェア開発に不可欠な手法だ。

ITニュース解説

かつてソフトウェア開発の世界では、開発とセキュリティは別の領域として扱われることが多かった。開発チームは新しい機能を迅速に作り上げることに集中し、一方のセキュリティチームは、開発がほとんど完了したアプリケーションのリリース直前に、潜在的なリスクや脆弱性を見つけ出す役割を担っていた。この分断された作業方法は、開発されたアプリケーションが完成すると、そのままセキュリティチームに「投げ渡され」、リリース直前にまとめてセキュリティテストが行われるような状況を生み出した。その結果、直前になって重大な問題が発覚し、急いで修正作業を行うことでリリースが遅れたり、関係者全員が大きなストレスを感じたりすることが頻繁に起きていたのである。

しかし、このような旧来のやり方は、もはや非効率であるだけでなく、極めて危険なものとなった。現代ではサイバー攻撃が日常的に発生し、ソフトウェアに一つでも弱点があれば、それが大規模なデータ漏洩につながる可能性をはらんでいる。そのため、セキュリティは開発の「後付け」で考えるべきものではなく、ソフトウェアを構築するあらゆるプロセスの中に最初から組み込まれるべき不可欠な要素となった。この考え方こそがDevSecOps(デブセックオプス)であり、今やソフトウェアを開発するすべての企業にとって必須の取り組みとなっている。

DevSecOpsの核となる考え方は、「セキュリティを左へシフトする(Shifting Left)」という言葉に集約されている。これは、ソフトウェア開発のライフサイクル(SDLC)において、セキュリティに関するチェックや対策を、開発プロセスの非常に早い段階から開始し、その後も継続的に実施していくことを意味する。つまり、開発の最終段階で一度だけ大規模なセキュリティテストを行うのではなく、開発の各フェーズで繰り返しセキュリティ活動を行うのだ。

具体的に、開発のどの段階でどのようなセキュリティ活動が行われるのかを見てみよう。 まず、開発者がコードを記述する「コード」段階からセキュリティは始まる。開発者が使用する統合開発環境(IDE)には、コード内の潜在的なミスや、誤って公開されてしまう可能性のあるパスワードなどの機密情報を自動でスキャンし、リアルタイムで警告を出すツールが組み込まれる。 次に、コードが共有のリポジトリに保存され、自動的にプログラムがビルドされる「ビルド」段階では、SAST(Static Application Security Testing)と呼ばれるツールがソースコードを静的に解析する。これにより、SQLインジェクションのような、特定の条件下で悪用されうる既知の脆弱性を自動的に検出する。 「テスト」段階では、さらに高度なセキュリティツールが稼働する。DAST(Dynamic Application Security Testing)ツールは、実際に実行中のアプリケーションに対して外部から攻撃をシミュレートし、脆弱性がないかを確認する。また、現代のアプリケーションは多くのオープンソースの部品(ライブラリなど)を利用して構築されているため、SCA(Software Composition Analysis)ツールがそれらのオープンソース部品に既知のセキュリティホールがないかを自動的にスキャンする。 アプリケーションが本番環境にデプロイされる前の「デプロイ」段階では、クラウドサーバーの設定やインフラストラクチャの構成が適切であるか、意図せずインターネットに公開されている部分がないかなどをスキャンし、設定ミスによるリスクを未然に防ぐ。 そして、アプリケーションが稼働を開始した「運用(Operate)」段階でもセキュリティは継続される。ここでは、不審なアクティビティがないか継続的に監視が行われ、問題が発生すれば即座に対応できる体制が整えられる。

DevSecOpsが現代において必須とされるのには、いくつかの明確な理由がある。 一つ目の理由は、現代のソフトウェア開発が非常に高速化していることだ。多くの開発チームは、一日複数回もの頻度でソフトウェアをリリースしており、数週間を要するような手動のセキュリティレビューでは、このスピードに全く追いつけない。開発パイプラインに組み込まれた自動化されたセキュリティツールであれば、開発のスピードを妨げることなく、継続的かつ迅速にセキュリティチェックを実行できる。 二つ目の理由は、脆弱性の修正にかかるコストが、発見が遅れるほど大幅に増加することである。コードを書いている最中に見つかるバグの修正は数分で済むかもしれないが、アプリケーションが完成した後では数時間を要することもある。もしリリース後にデータ漏洩などのセキュリティインシデントが発生した場合、システムの停止、緊急対応、法的罰金、そして顧客からの信頼喪失といった、計り知れない損害が発生する可能性がある。問題は早期に発見するほど、修正にかかるコストは劇的に低くなるのだ。 三つ目は、オープンソースコードなどのサードパーティコードが主要なリスク源となっていることである。現代のアプリケーションは、多くの外部コンポーネントやライブラリを組み合わせて作られており、Log4jの脆弱性の事例が示すように、これらの部品に既知の弱点がないかを確認することは必須となった。SCAツールのような自動化された手段でこれらの脆弱性をチェックすることは、今や基本的な安全要件となっている。 四つ目は、クラウドシステムが新たなセキュリティリスクを生み出すことである。コンテナやマイクロサービスといったクラウドネイティブな技術を導入すると、設定ミス一つで膨大なデータが危険に晒される可能性がある。これらのインフラ設定もコードとして管理されることが多いため、デプロイ前にそのコードをスキャンし、誤りがないかを確認する必要がある。 最後に、DevSecOpsは開発者を「エンパワーメント」する。これは開発者全員がセキュリティの専門家になることを求めるという意味ではなく、開発者自身が自動化されたツールを使って問題を早期に発見し、修正できる環境を提供することである。これにより、開発者はより安全なソフトウェアを自ら構築できるようになり、セキュリティチームとの連携も強化され、より協力的な文化が生まれる。

DevSecOpsを導入するにあたり、一度に全てを完璧に行う必要はない。段階的なアプローチで始めることが現実的である。 まず、「一つのことを自動化する」ことから始める。例えば、SASTやSCAツールのような自動スキャナーを一つ選び、それをビルドプロセスに組み込んでみる。 次に、「重要な問題に焦点を当てる」ことが大切だ。ツールが大量の警告を出すと、開発チームは対応に疲弊してしまう。最初は最も重要度の高いセキュリティ問題だけをハイライトするようにツールを設定し、優先順位をつけて対応していく。 導入の進捗を測るために、「進捗を追跡する」ことも重要である。脆弱性が発見されてから実際に修正されるまでの時間を計測することで、プロセスが改善しているかどうかを客観的に確認できる。 そして最も重要なのは、「チームワークを奨励する」ことである。セキュリティ専門家と開発者が協力して解決策を見つけるような文化を育むことで、組織全体にセキュリティ意識が根付き、継続的な改善につながる。

セキュリティは、もはやソフトウェアの性能や使いやすさと同じように、ソフトウェア品質の核となる要素であり、開発プロセスに不可欠な一部となった。DevSecOpsは、この考え方を現実のものとするための実践的な手法である。 もはや企業がDevSecOpsを導入する余裕があるかどうかではなく、導入しないことのリスクを負う余裕があるのかが問われる時代になった。それを無視することのリスクはあまりにも高すぎる。開発の最初からセキュリティを組み込むことで、より高速で、より堅牢で、より安全なソフトウェアを構築し、結果として顧客とビジネスを確実に保護することができる。