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【PHP8.x】SplHeap::compare()メソッドの使い方

compareメソッドの使い方について、初心者にもわかりやすく解説します。

作成日: 更新日:

基本的な使い方

compareメソッドは、SplHeapクラスに属し、ヒープデータ構造内の要素の順序を決定するために実装する抽象メソッドです。SplHeapは、PHPで優先度に基づいて要素を管理するヒープ構造を扱うための抽象クラスです。このcompareメソッドは、SplHeapを継承して独自のヒープクラスを作成する際に、必ずオーバーライドして比較ロジックを実装する必要があります。

このメソッドは、比較対象となる2つの要素 $value1$value2 を引数として受け取ります。そして、$value1$value2 よりも大きい場合は正の整数を、小さい場合は負の整数を、等しい場合は0を返すように実装します。この戻り値によって、ヒープが最小の要素を常に上位に置く「最小ヒープ」として機能するのか、あるいは最大の要素を常に上位に置く「最大ヒープ」として機能するのかが決まります。

したがって、compareメソッドは、ヒープ内部での要素の並び順を定義し、ヒープ全体の挙動を制御する重要な役割を担います。システムエンジニアを目指す方にとって、このメソッドを適切に実装することは、独自の優先順位付けに基づいたカスタムヒープを柔軟に構築し、データ処理の効率化を図る上で不可欠な知識となります。

構文(syntax)

1<?php
2// SplHeap クラスの compare メソッドは抽象メソッドであり、
3// SplHeap を継承するクラスで実装する必要があります。
4// このメソッドは、ヒープ内で2つの要素の順序を決定するために使用されます。
5//
6// 戻り値の規則は以下の通りです。
7// - value1 が value2 より小さい場合は負の整数を返す
8// - value1 が value2 と等しい場合は 0 を返す
9// - value1 が value2 より大きい場合は正の整数を返す
10//
11// SplHeap はこの戻り値に基づいて、正の値を返した場合に value1 をより高い優先度として扱います。
12// 以下の例は、数値の大小を比較し、最も大きい値が優先される(最大ヒープ)ような実装です。
13
14class MyMaxHeap extends SplHeap
15{
16    protected function compare(mixed $value1, mixed $value2): int
17    {
18        // 宇宙船演算子 (<=>) は、左辺が右辺より小さい場合は -1、
19        // 等しい場合は 0、大きい場合は 1 を返します。
20        // これにより、大きい値が優先される最大ヒープとして機能します。
21        return $value1 <=> $value2;
22    }
23}

引数(parameters)

mixed $value1, mixed $value2

  • mixed $value1: 比較対象となる最初の値
  • mixed $value2: 比較対象となる2番目の値

戻り値(return)

int

SplHeap::compare メソッドは、2つの要素の比較結果を整数で返します。 比較結果が 0 未満の場合、最初の要素が2番目の要素より小さいことを示します。 比較結果が 0 の場合、2つの要素は等しいことを示します。 比較結果が 0 より大きい場合、最初の要素が2番目の要素より大きいことを示します。

サンプルコード

PHP SplHeapで配列要素数比較

1<?php
2
3/**
4 * SplHeapを継承し、配列の要素数に基づいて比較するカスタムヒープクラスです。
5 * SplHeapの抽象メソッド `compare` をオーバーライドして、配列の比較ロジックを定義します。
6 * このヒープは、要素数が多い配列を「大きい」と判断し、それらを優先的に抽出する「最大ヒープ」として機能します。
7 */
8class ArrayCountMaxHeap extends SplHeap
9{
10    /**
11     * 2つの値を比較し、その順序を決定します。
12     * このメソッドはSplHeapを継承するクラスで必ず実装する必要がある抽象メソッドです。
13     *
14     * ここでは、2つの配列を比較し、要素数が多い方を「大きい」と判断します。
15     * SplHeapの `extract` メソッドは常に「最大」と判断された要素を取り出すため、
16     * 要素数が多い配列から順に取り出されるように、比較ロジックを調整しています。
17     *
18     * @param mixed $value1 比較対象の最初の値(この例では配列を想定)
19     * @param mixed $value2 比較対象の2番目の値(この例では配列を想定)
20     * @return int `$value1` が `$value2` より小さい場合は負の数、
21     *             `$value1` が `$value2` より大きい場合は正の数、
22     *             両者が等しい場合は `0` を返します。
23     */
24    protected function compare(mixed $value1, mixed $value2): int
25    {
26        // 各配列の要素数を取得します。
27        $count1 = count($value1);
28        $count2 = count($value2);
29
30        // 要素数に基づいて比較を行います。
31        // SplHeapが要素数が多い配列を「最大」として扱ってほしいので、
32        // `$count2` と `$count1` を宇宙船演算子 (`<=>`) で比較します。
33        //
34        // 例:
35        // - `$value1` の要素数が4, `$value2` の要素数が2の場合:
36        //   `$count2 (2) <=> $count1 (4)` は `-1` を返します。
37        //   これは `$value1` が `$value2` より「大きい」ことを意味します(結果が正の数になるように`$count1 <=> $count2`を反転)。
38        // - `$value1` の要素数が2, `$value2` の要素数が4の場合:
39        //   `$count2 (4) <=> $count1 (2)` は `1` を返します。
40        //   これは `$value1` が `$value2` より「小さい」ことを意味します(結果が負の数になるように`$count1 <=> $count2`を反転)。
41        //
42        // このようにすることで、要素数が多い配列がヒープの最上位(最大値)に位置し、
43        // `extract` メソッドによって最初に取り出されるようになります。
44        return $count2 <=> $count1;
45    }
46}
47
48// --- サンプルコードの実行部分 ---
49
50// カスタムヒープのインスタンスを作成します。
51$arrayHeap = new ArrayCountMaxHeap();
52
53// 比較対象となる複数の配列を定義します。
54$arraysToInsert = [
55    ['apple', 'banana'],                      // 2要素
56    ['cat'],                                  // 1要素
57    ['dog', 'elephant', 'fox'],               // 3要素
58    ['grape', 'honeydew', 'kiwi', 'lemon'],   // 4要素
59    ['orange', 'pear'],                       // 2要素
60    ['bird', 'fish', 'snake'],                // 3要素
61];
62
63echo "--- 配列をヒープに挿入します ---" . PHP_EOL;
64foreach ($arraysToInsert as $arr) {
65    $arrayHeap->insert($arr); // 各配列をヒープに挿入します。
66    echo "挿入: " . json_encode($arr) . " (要素数: " . count($arr) . ")" . PHP_EOL;
67}
68
69echo PHP_EOL . "--- ヒープから配列を取り出します (要素数が多い順) ---" . PHP_EOL;
70// ヒープが空になるまで要素を取り出します。
71// `compare` メソッドのロジックにより、要素数が多い配列から順に取り出されます。
72while ($arrayHeap->valid()) {
73    $extractedArray = $arrayHeap->extract(); // ヒープの最上位(最大)要素を取り出します。
74    echo "取り出し: " . json_encode($extractedArray) . " (要素数: " . count($extractedArray) . ")" . PHP_EOL;
75}
76
77?>

このコードは、PHPのSplHeapクラスを継承したカスタムヒープArrayCountMaxHeapで、要素の比較ロジックを定義するcompareメソッドの実装を示しています。SplHeapは優先度キューの一種で、内部で要素を効率的に並べ替えて管理しますが、どの要素を「大きい」または「小さい」と判断するかは、抽象メソッドであるcompareを実装することで決定します。

compareメソッドは、比較対象となる2つの値$value1$value2を引数に取ります。このサンプルでは配列を想定しており、それぞれの配列の要素数をcount()関数で取得し比較しています。戻り値は整数型で、$value1$value2より小さい場合は負の数、大きい場合は正の数、等しい場合は0を返します。

特に注目すべきはreturn $count2 <=> $count1;という比較です。SplHeapextractメソッドは常に最も「大きい」と判断された要素を取り出すため、要素数が多い配列を「最大」として扱いたい場合は、比較の順序を逆にする必要があります。このコードでは、$count2$count1を宇宙船演算子<=>で比較することで、要素数が多い配列がヒープの最上位に位置し、extractされた際に優先的に取り出される「最大ヒープ」として機能するように調整されています。これにより、挿入された複数の配列は、要素数が多い順に取り出されるようになります。

SplHeap::compareメソッドは、ヒープ内の要素の順序を決定するために必ず実装する抽象メソッドです。戻り値の正負で要素の大小関係を定義し、SplHeapが「最大」と判断する要素を決定します。このサンプルコードでは、要素数が多い配列を「最大」として抽出するため、宇宙船演算子を通常の比較とは逆順に用いています。引数はmixed型なので、想定しない型のデータが渡された場合に備え、is_array()などで型チェックを行うと、より堅牢なコードになります。この比較ロジック一つでヒープの挙動が大きく変わるため、目的に合った正しい定義が重要です。

PHP SplHeap でオブジェクトを比較する

1<?php
2
3/**
4 * タスクを表すシンプルなクラス。
5 * タスク名と優先度を持ちます。
6 */
7class Task
8{
9    public string $name;
10    public int $priority;
11
12    /**
13     * 新しいタスクインスタンスを生成します。
14     *
15     * @param string $name タスク名
16     * @param int $priority タスクの優先度 (数値が小さいほど高優先度)
17     */
18    public function __construct(string $name, int $priority)
19    {
20        $this->name = $name;
21        $this->priority = $priority;
22    }
23
24    /**
25     * オブジェクトを文字列に変換するメソッド。デバッグ出力に便利です。
26     */
27    public function __toString(): string
28    {
29        return "Task: \"{$this->name}\" (Priority: {$this->priority})";
30    }
31}
32
33/**
34 * Taskオブジェクトのpriorityプロパティに基づいて優先度順に並べるカスタムMinHeap。
35 * SplMinHeapを継承することで、extract()時に最も「小さい」要素が取り出されるようになります。
36 * ここでの「小さい」は、compareメソッドで定義される比較ロジックに基づきます。
37 */
38class TaskPriorityMinHeap extends SplMinHeap
39{
40    /**
41     * SplHeapの抽象メソッドを実装し、ヒープ内の要素(Taskオブジェクト)を比較します。
42     * このメソッドの戻り値によって、ヒープの内部構造が決定されます。
43     *
44     * @param mixed $value1 比較対象の最初の要素(Taskオブジェクトを想定)
45     * @param mixed $value2 比較対象の2番目の要素(Taskオブジェクトを想定)
46     * @return int value1がvalue2より小さい場合は負の整数、大きい場合は正の整数、等しい場合は0
47     *             SplMinHeapの場合、負の整数を返すと$value1が$value2より優先度が高い(「小さい」)と判断され、ヒープのトップに来やすくなります。
48     */
49    protected function compare(mixed $value1, mixed $value2): int
50    {
51        // ここではTaskオブジェクトのpriorityプロパティを比較します。
52        // priorityの値が小さいほど高優先度とするため、
53        // $value1->priority - $value2->priority とすることで、
54        // $value1のpriorityが$value2より小さい場合(高優先度)、結果は負の数になります。
55        // SplMinHeapは負の数を返された要素を「小さい」と判断し、ヒープのトップに配置します。
56        return $value1->priority - $value2->priority;
57    }
58}
59
60/**
61 * TaskPriorityMinHeapの動作をデモンストレーションする関数。
62 */
63function demonstrateSplHeapObjectComparison(): void
64{
65    echo "--- PHP SplHeap でオブジェクトの比較(優先度キュー) ---\n\n";
66
67    // カスタムヒープ(優先度キュー)のインスタンスを作成
68    $priorityQueue = new TaskPriorityMinHeap();
69
70    // タスクオブジェクトを作成し、ヒープに追加します。
71    // 各タスクには異なる優先度(数値が小さいほど高優先度)を設定します。
72    echo "--- タスクを優先度キューに追加 ---\n";
73    $priorityQueue->insert(new Task("ドキュメント作成", 3));
74    $priorityQueue->insert(new Task("クリティカルバグ修正", 1));
75    $priorityQueue->insert(new Task("レガシーコードリファクタリング", 5));
76    $priorityQueue->insert(new Task("新機能開発", 2));
77    $priorityQueue->insert(new Task("コードレビュー実施", 4));
78    echo "全てのタスクが追加されました。\n\n";
79
80    echo "--- 優先度キューからタスクを取り出し(高優先度から順)---\n";
81    // ヒープからタスクを一つずつ取り出します。
82    // compareメソッドのロジックに基づき、優先度が高い(priorityが小さい)タスクから順に取り出されます。
83    while (!$priorityQueue->isEmpty()) {
84        $task = $priorityQueue->extract(); // 最も優先度の高いタスクを取り出す
85        echo "- " . $task . "\n";
86    }
87    echo "全てのタスクが取り出されました。\n";
88}
89
90// 関数を実行してデモンストレーションを開始
91demonstrateSplHeapObjectComparison();
92

PHPのSplHeap::compareメソッドは、ヒープというデータ構造において要素同士の順序を決定するために用いられる、抽象メソッドです。このメソッドはSplHeapを継承したクラスで実装する必要があり、ヒープに格納されるオブジェクトなどをどのように比較するかを定義します。

引数$value1$value2には、比較対象となる二つの要素が渡されます。戻り値は整数型で、$value1$value2より「小さい」と判断される場合は負の整数、大きい場合は正の整数、等しい場合はゼロを返します。この「小さい」「大きい」の判断基準は、開発者がこのcompareメソッド内で自由に定義できます。

サンプルコードでは、Taskオブジェクトのpriorityプロパティに基づいてタスクの優先度を比較する例が示されています。TaskPriorityMinHeapクラスはSplMinHeapを継承しており、compareメソッド内で$value1->priority - $value2->priorityと計算しています。これにより、$value1の優先度が$value2より高い(priorityの値が小さい)場合、結果が負の数となり、SplMinHeap$value1を「小さい」と判断してヒープのトップに配置します。

この仕組みを利用することで、様々なタスクを優先度順に管理し、最も優先度の高いタスクから効率的に処理する優先度キューを簡単に実装できるのです。

SplHeap::compareメソッドは、$value1$value2より「小さい(優先)」場合に負の整数を、大きい場合に正の整数を、等しい場合にゼロを返すルールを厳守してください。この戻り値によってヒープ内の要素の順序が決定されるため、優先度の定義と照らし合わせて正確に実装することが重要です。特にSplMinHeapでは、負の値を返した$value1が優先度が高い(先に抽出される)と判断されます。引数の型はmixedですが、このサンプルではTaskオブジェクトを前提としています。異なる型のオブジェクトが挿入されると、プロパティが存在しないなどの実行時エラーを引き起こす可能性があるため、渡すデータ型には十分注意してください。

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