値(アタイ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
値(アタイ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
値 (アタイ)
英語表記
value (バリュー)
用語解説
値とは、コンピュータが処理する情報の基本的な単位であり、データそのものを指す。プログラミングにおいて、計算の対象となる数値、画面に表示するテキスト、あるいは処理の判断基準となる条件など、コンピュータが扱うあらゆるデータが値として扱われる。値は通常、変数という名前のついた箱に格納されて利用される。変数が値を保持するための入れ物であるとすれば、値はその中身に相当する。プログラムは、これらの値を生成し、変数に代入し、演算や比較を行い、その結果に基づいて様々な処理を実行する。コンピュータが行う全ての処理は、突き詰めればこの値の操作の連続であり、値を正しく理解することはシステム開発の基礎を固める上で不可欠である。
値には様々な種類があり、これをデータ型と呼ぶ。データ型は、その値がどのような性質を持ち、どのような操作が可能であるかを定義するものである。プログラムはデータ型に基づいて値を解釈し、メモリ上に適切な領域を確保する。代表的なデータ型には、数値を扱う数値型、文字の並びを扱う文字列型、真か偽かの二つの状態のみを表す真偽値型などがある。数値型はさらに、小数点を含まない整数型と、小数点を含む浮動小数点数型に分けられる。整数は個数や回数を数える際に、浮動小数点数はより高い計算精度が求められる科学技術計算や金融システムなどで用いられる。文字列型は、人の名前や住所、メッセージなど、テキスト情報を表現するために使用され、多くのプログラミング言語ではダブルクォーテーションやシングルクォーテーションで囲んで記述される。真偽値型は、true(真)とfalse(偽)のいずれかの値のみを持つ。この型は、特定の条件が満たされているかどうかを判断する条件分岐処理において中心的な役割を果たす。例えば、「ユーザーがログインしているか」という状態は真偽値で管理される。これらに加え、値が存在しないことを明示的に示すための特殊な値としてnullがある。これはエラーや未設定の状態を表すために意図的に利用される。
プログラムのソースコード上に直接記述された値そのものをリテラルと呼ぶ。例えば、age = 30という記述における30は整数リテラルであり、message = "Hello"における"Hello"は文字列リテラルである。リテラルは、変数に初期値を設定したり、計算式の中で定数として使用されたりする、値の源泉となるものである。プログラムはこれらの値に対して様々な操作を行う。最も基本的な操作は代入であり、これは変数に値を格納する行為を指す。また、値同士を計算する演算も頻繁に行われる。数値型であれば加算や減算などの四則演算、文字列型であれば文字列同士を連結する操作が可能である。さらに、二つの値を比較する比較演算も重要である。二つの値が等しいか、どちらが大きいかなどを評価し、その結果は必ず真偽値として返される。この真偽値を利用して、プログラムは次に実行すべき処理の流れを決定する。
プログラムが複雑になるにつれて、値を関数などの別の処理ブロックに引き渡す場面が増える。その際の渡し方には、大きく分けて値渡しと参照渡しの二つの方式が存在する。値渡しは、値を渡す際にその値のコピーが生成されて渡される方式である。そのため、渡された先の関数内で値を変更しても、元の変数に影響が及ぶことはない。主に数値型や文字列型などの基本的なデータ型で採用される。一方、参照渡しは、値そのものではなく、その値が格納されているメモリ上のアドレス情報が渡される方式である。この場合、渡された先の関数で値を変更すると、元の変数も同じメモリ上の場所を参照しているため、その変更が反映される。配列やオブジェクトのような、複数の要素から構成される複雑なデータ構造で採用されることが多い。この二つの違いを理解していないと、意図しない箇所でデータが書き換わってしまうといったバグの原因となるため、両者の挙動を正確に把握しておく必要がある。このように、値は単なるデータというだけでなく、その型や扱われ方によってプログラムの動作に大きな影響を与える、極めて重要な概念である。