【PHP8.x】sinceプロパティの使い方

sinceプロパティの使い方について、初心者にもわかりやすく解説します。

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基本的な使い方

sinceプロパティは、ある要素が非推奨とされたPHPのバージョン情報を保持するプロパティです。PHP 8で導入された「属性(Attributes)」機能の一つとして、#[Deprecated]という属性が用意されています。この#[Deprecated]属性は、特定のクラス、メソッド、プロパティ、関数、定数などが、もはや推奨されないことや、将来のバージョンで削除される可能性があることを開発者に知らせるために使用されます。

sinceプロパティは、この#[Deprecated]属性の一部として機能し、対象の要素がどのPHPバージョンから非推奨とされたのかを明示的に指定するために用いられます。例えば、#[Deprecated(since: '8.1')]のように記述することで、その要素がPHP 8.1以降で非推奨となったことを示します。

システムエンジニアがコードを開発・保守する上で、このsinceプロパティが提供する情報は非常に重要です。非推奨化された時期を知ることで、コードのアップグレードや移行計画を立てる際に、どのバージョンから影響を受けるのかを正確に把握できます。これにより、古い機能から新しい代替機能へのスムーズな移行を促し、将来的な互換性の問題を防ぐ手助けとなります。このプロパティは、開発者がより堅牢で保守しやすいコードを書くための、重要な手がかりの一つとなるのです。

構文(syntax)

1<?php
2
3class ExampleClass
4{
5    #[Deprecated(reason: 'このメソッドはバージョン8.0以降非推奨です。新しいメソッドを使用してください。', since: '8.0')]
6    public function deprecatedMethod(): void
7    {
8        // 非推奨となった処理
9    }
10}

引数(parameters)

戻り値(return)

戻り値なし

戻り値はありません

サンプルコード

PHP Deprecated属性とsinceを理解する

1<?php
2
3/**
4 * 非推奨の機能を示す属性を適用した関数です。
5 * #[Deprecated] 属性は、将来的に削除される予定の機能や、
6 * より良い代替手段がある機能に適用します。
7 * 'since' パラメータは、どのPHPバージョンからその機能が非推奨になったかを示します。
8 *
9 * この関数をPHP 8.1以降の環境で呼び出すと、E_DEPRECATEDの警告が発生します。
10 */
11#[Deprecated(since: '8.1')]
12function exampleDeprecatedFunction(): string
13{
14    return "この関数は非推奨です。新しい代替機能の使用を検討してください。";
15}
16
17/**
18 * 非推奨ではない、通常の関数です。
19 * 上記の非推奨関数の代替として使用されることを想定しています。
20 */
21function exampleNewFunction(): string
22{
23    return "この関数は推奨される新しい関数です。";
24}
25
26// 非推奨の関数を呼び出す例
27// PHP 8.1 以降の環境で実行すると、ターミナルやエラーログに非推奨の警告が表示されます。
28echo exampleDeprecatedFunction() . "\n";
29
30// 新しい推奨される関数を呼び出す例
31echo exampleNewFunction() . "\n";
32
33?>

このPHPサンプルコードは、PHP 8で導入された「属性(Attribute)」機能の一つである#[Deprecated]属性の使い方を示しています。#[Deprecated]属性は、特定の関数やクラス、プロパティなどが将来的に削除される可能性があることや、既に推奨されないことを開発者に警告するために使用されます。

この属性には、sinceという名前のパラメータを指定できます。sinceパラメータは、その機能が「どのPHPバージョンから非推奨とされたか」を示す文字列の値を持ちます。例えば、since: '8.1'と記述すると、PHP 8.1からこの機能が非推奨になったことを意味します。このパラメータ自体は引数を取らず、戻り値もありませんが、属性が付加される対象のメタデータ(付加情報)として機能します。

サンプルコードでは、exampleDeprecatedFunction関数に#[Deprecated(since: '8.1')]を適用しています。そのため、PHP 8.1以降の環境でこの関数を呼び出すと、実行時にE_DEPRECATEDという非推奨の警告が生成されます。これは、この機能の使用を控え、より新しい代替機能であるexampleNewFunctionなどへの移行を促すものです。システム開発において、このような非推奨機能の警告を理解し、適切な代替機能への移行を計画することは、コードの保守性と将来性を高める上で非常に重要です。

この非推奨属性は、その機能が将来的に削除される可能性や、より良い代替手段があることを示す印です。since: '8.1'は、PHP 8.1以降でその機能が非推奨になったことを明示しています。非推奨の機能を呼び出すと、プログラムは動作しますが、実行時にE_DEPRECATED警告が表示されます。これはエラーではありませんが、コードを新しい推奨機能に置き換えるべきサインです。警告を無視し続けると、将来のPHPバージョンアップ時にプログラムが動かなくなるリスクがあります。警告が出た際は、代替機能への移行を検討し、安全で保守性の高いコードを心がけてください。

PHP 8: 非推奨申請処理と推奨処理の切り替え

1<?php
2
3// PHP 8では、#[Deprecated]属性を使用して、非推奨となった関数やメソッドをマークできます。
4// これは、将来的に削除される予定の機能を開発者に知らせるために使われます。
5// 'since'パラメータは、その機能がいつから非推奨になったのかを示します。
6// ここでは、古い申請処理を非推奨とし、新しい処理への移行を促す例を示します。
7#[Deprecated(reason: 'この申請処理は非推奨です。新しい processApplication 関数を使用してください。', since: '8.2')]
8function processApplicationLegacy(string $applicantName, string $applicationType): string
9{
10    // 非推奨の申請処理ロジック
11    // 例えば、古いシステムとの連携や非効率な処理が含まれる可能性があります。
12    error_log("警告: 非推奨の申請処理が呼び出されました - 申請者: {$applicantName}, 種類: {$applicationType}");
13    return "申請 '{$applicationType}' を旧方式で処理しました。";
14}
15
16/**
17 * 新しい推奨される申請処理を実行します。
18 *
19 * @param string $applicantName 申請者の名前
20 * @param string $applicationType 申請の種類(例: 'サービス利用', '資料請求')
21 * @param array $options 申請処理の追加オプション(例: ['urgent' => true])
22 * @return string 処理結果のメッセージ
23 */
24function processApplication(string $applicantName, string $applicationType, array $options = []): string
25{
26    // 新しい推奨される申請処理ロジック
27    // 最新のAPI連携や最適化された処理が含まれます。
28    $status = '審査中';
29    if (isset($options['urgent']) && $options['urgent']) {
30        $status = '緊急処理中';
31    }
32
33    // 実際のデータベース保存や外部サービスへの連携処理などがここに含まれます。
34    return "申請 '{$applicationType}' を受け付けました。申請者: {$applicantName} (状態: {$status})。";
35}
36
37// --- 申請処理のシミュレーション ---
38
39echo "--- 申請処理の開始 ---\n\n";
40
41// 非推奨の申請処理関数を呼び出す例
42// 実行時にはPHPの環境設定によっては警告が表示されます。
43echo "【非推奨処理の呼び出し】\n";
44$legacyResult = processApplicationLegacy("田中 太郎", "サービス利用申請");
45echo $legacyResult . "\n";
46echo "開発者はこの関数が非推奨であり、新しい関数に移行すべきだと認識できます。\n\n";
47
48// 新しい推奨される申請処理関数を呼び出す例
49echo "【推奨処理の呼び出し】\n";
50$newResult = processApplication("山田 花子", "資料請求申請");
51echo $newResult . "\n";
52
53// オプション付きで新しい申請処理関数を呼び出す例
54$urgentResult = processApplication("鈴木 一郎", "製品購入申請", ['urgent' => true]);
55echo $urgentResult . "\n\n";
56
57echo "--- 申請処理の終了 ---\n";

PHP 8で導入された#[Deprecated]属性は、今後削除される予定の関数やメソッドを開発者に知らせるための機能です。この属性は、コードの可読性を高め、メンテナンスを容易にします。特に、sinceパラメータは、その機能が「いつから」非推奨になったのかを具体的に示します。また、reasonパラメータで非推奨になった理由や、代わりに使うべき新しい機能に関する情報を提供できます。

サンプルコードでは、古い申請処理を行うprocessApplicationLegacy関数に#[Deprecated(reason: '...', since: '8.2')]が適用されています。この関数は、申請者の名前と申請の種類を文字列として受け取り、旧方式での処理結果を文字列で返します。この非推奨関数が呼び出されると、PHPの環境設定によっては警告が表示され、開発者に新しい処理への移行を促します。

対照的に、推奨されるprocessApplication関数は、申請者の名前、申請の種類に加え、追加のオプションを配列で受け取ることができ、より柔軟な申請処理が可能です。この関数も処理結果を文字列で返します。このように、#[Deprecated]属性を使用することで、システムエンジニアは古い機能と新しい機能の区別を明確にし、計画的なコードの改善を進めることができます。

このコードは、PHP 8以降で非推奨となった機能を明示する#[Deprecated]属性とそのsinceパラメータの使い方を示しています。非推奨とマークされた関数(例:processApplicationLegacy)は、将来的に削除される可能性があり、バグ修正やセキュリティアップデートの対象外となることがあります。そのため、非推奨機能の利用は避け、コードの保守性と安全性を確保するためにも、速やかに新しい推奨される関数(例:processApplication)への移行を進めることが重要です。非推奨機能を呼び出すと、PHPの環境設定によっては実行時に警告が表示される点にも注意してください。新しい機能へ移行することで、より安全で効率的な処理を実現できます。