境界値分析 (キョウカイチブンセキ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
境界値分析 (キョウカイチブンセキ) の読み方
日本語表記
境界値分析 (キョウカイチブンセキ)
英語表記
Boundary Value Analysis (バウンダリ バリュー アナリシス)
境界値分析 (キョウカイチブンセキ) の意味や用語解説
境界値分析とは、ソフトウェアテストにおけるテスト技法のひとつで、同値分割法と組み合わせて用いられることが多い。システムやプログラムの入力値として、有効な値と無効な値の境界にあたる値(境界値)に焦点を当ててテストケースを作成し、エラーが発生しやすい箇所を効率的に検出することを目的とする。 境界値分析が有効な理由として、プログラムは境界条件において誤った処理を行う可能性が高いという経験則が挙げられる。例えば、配列の要素数を判定する際に、最後の要素を指すインデックスを間違えたり、大小比較の不等号の向きを間違えたりするなどのミスが発生しやすい。そのため、境界値付近を重点的にテストすることで、これらの潜在的なバグを効果的に発見できる。 具体的な手順としては、まず入力値の範囲を特定する。例えば、年齢を入力するフィールドがあり、0歳から120歳までが有効な入力範囲だと定義されているとする。この場合、有効な値の範囲は0から120となる。次に、この範囲の境界値を特定する。この例では、0と120が境界値となる。さらに、境界値の周辺の値もテストケースに含める。一般的には、境界値そのもの、境界値より1つ大きい値、境界値より1つ小さい値の3つの値をテストケースとして使用することが多い。したがって、この例では、-1、0、1、119、120、121の6つの値をテストケースとして設計する。 境界値分析における注意点として、入力値が複数の変数で構成されている場合、それぞれの変数に対して境界値分析を行う必要がある。例えば、日付を入力するフィールドがあり、年、月、日のそれぞれが独立した入力項目である場合、年、月、日それぞれに対して境界値を設定し、それらを組み合わせたテストケースを作成する必要がある。また、入力値の型(整数、浮動小数点数、文字列など)によって、適切な境界値の選び方が異なる場合がある。例えば、浮動小数点数の場合、整数とは異なり、非常に小さな値の変化でも結果に影響を与える可能性があるため、より細かい間隔で境界値を設定する必要があるかもしれない。 境界値分析は、単独で使用されるだけでなく、他のテスト技法と組み合わせて使用されることも多い。特に同値分割法との組み合わせは一般的である。同値分割法は、入力値をいくつかのグループに分割し、各グループから代表的な値をテストケースとして選択する技法である。境界値分析と同値分割法を組み合わせることで、テストケースの数を削減しつつ、テストの網羅性を高めることができる。例えば、年齢の入力フィールドに対して同値分割法を適用する場合、0-19歳、20-64歳、65歳以上の3つのグループに分割し、それぞれのグループから代表的な値をテストケースとして選択する。そして、それぞれのグループの境界値付近の値もテストケースとして追加することで、より効果的なテストを行うことができる。 境界値分析は、ソフトウェアテストにおいて非常に重要な技法のひとつであり、システムエンジニアを目指す上で必ず理解しておくべき知識である。テスト設計の際に、境界値分析を意識することで、より品質の高いソフトウェアを開発することができる。