基数変換 (キスウヘンカン) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
基数変換 (キスウヘンカン) の読み方
日本語表記
基数変換 (キスウヘンカン)
英語表記
radix conversion (ラディックスコンバージョン)
基数変換 (キスウヘンカン) の意味や用語解説
基数変換とは、ある基数(n進数)で表現された数値を、異なる基数で表現し直す操作のことである。基数とは、数値を表現する際に各桁の重み付けの基本となる数のことであり、n進数というときの「n」に相当する。我々が日常生活で最も頻繁に使用するのは、0から9までの10種類の数字を使って数を表現する10進数である。一方、コンピュータの内部では、電圧のオンとオフに対応する0と1の2種類の数字のみで情報を処理する2進数が基本となっている。しかし、2進数は桁数が非常に多くなりがちで人間には読みにくいため、2進数と親和性が高く、より簡潔に表現できる8進数や16進数もシステム開発の現場では頻繁に用いられる。8進数は0から7までの8種類の数字を、16進数は0から9までの数字とAからFまでのアルファベットを組み合わせて数を表現する。このように、人間が直感的に理解しやすい10進数と、コンピュータが処理する2進数、そしてそれを扱う上で便利な8進数や16進数との間で数値を相互に変換する必要が生じる。これが基数変換がシステムエンジニアにとって必須の知識である理由である。 具体的な変換方法について解説する。まず、10進数を他の基数(N進数)に変換する場合、整数部分と小数部分で計算方法が異なる。整数部分の変換は、変換したい10進数を目的の基数Nで割り、その商が0になるまで割り算を繰り返す。そして、各計算で得られた余りを逆順に並べることで、N進数の表現を得ることができる。例えば、10進数の「25」を2進数に変換する場合、まず25を2で割ると商が12、余りが1となる。次に商の12を2で割ると商が6、余りが0。これを続けると、6÷2は商3余り0、3÷2は商1余り1、1÷2は商0余り1となる。最後に得られた余りを下から順に並べると「11001」となり、これが10進数25の2進数表現である。 次に、N進数から10進数への変換方法である。これは、N進数の各桁の数値に、その桁の「重み」を掛けて、それらをすべて足し合わせることで行う。各桁の重みは、基数Nのべき乗で表される。小数点を基準として、左に1桁進むごとに指数が1ずつ増え(N^0, N^1, N^2…)、右に1桁進むごとに指数が1ずつ減る(N^-1, N^-2…)。例えば、2進数の「11001」を10進数に変換する場合、各桁の重みは右から順に2^0, 2^1, 2^2, 2^3, 2^4となる。これに各桁の値を掛けて合計すると、(1×2^4) + (1×2^3) + (0×2^2) + (0×2^1) + (1×2^0) = 16 + 8 + 0 + 0 + 1 = 25 となり、元の10進数に戻ることが確認できる。16進数の「1A」を10進数に変換する場合も同様である。Aは10進数で10を表すため、(1×16^1) + (10×16^0) = 16 + 10 = 26 と計算される。 特に、2進数、8進数、16進数の間の相互変換は、コンピュータサイエンスにおいて非常に重要である。これらの基数はすべて2のべき乗(8=2^3, 16=2^4)の関係にあるため、10進数を介さずに直接的かつ機械的に変換できる。2進数から8進数に変換するには、2進数のビット列を小数点を基準に右から3桁ずつ区切り、それぞれの区切りを1桁の8進数に変換する。例えば、2進数「10110111」は、右から「010 110 111」と区切り、それぞれを8進数に変換して「267」となる。同様に、2進数から16進数への変換は4桁ずつ区切って行う。同じく「10110111」を4桁ずつ区切ると「1011 0111」となり、それぞれを16進数に変換して「B7」となる。この方法は、コンピュータのメモリダンプやデータ通信のパケット内容を解析する際に、長大な2進数の羅列を人間が読みやすい形式で確認するために不可欠である。 基数変換は、単なる数学的な計算手続きにとどまらず、コンピュータがどのようにデータを保持し、演算しているかを理解するための基礎となる。システムエンジニアは、プログラムのデバッグ、ネットワーク設定、データ構造の設計など、業務の様々な局面でこの知識を活用することになる。したがって、これらの変換方法を正確に理解し、自在に使いこなせる能力は、技術者としての基本的な素養の一つであると言える。